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【本の雑誌が選ぶ2019年度ベスト10】宇佐美まことさん『展望塔のラプンツェル』が第1位

本の雑誌社が発行する『本の雑誌』2020年1月特大号において「本の雑誌が選ぶ2019年度ベスト10」が発表され、宇佐美まことさん著『展望塔のラプンツェル』(光文社)が第1位に選出されました。
なお、同作品は、文芸評論家・北上次郎さんが選ぶ「エンターテインメントベスト10」の第2位にもランクインしています。

 

『展望塔のラプンツェル』について

宇佐美まことさん著『展望塔のラプンツェル』

宇佐美まことさん著『展望塔のラプンツェル』

 
<あらすじ>

「その子は死ぬために生まれてきたんじゃない」
弱者に光をあてる書き下ろし長編ミステリー

多摩川市は労働者相手の娯楽の街として栄え、貧困、暴力、行きつく先は家庭崩壊など、児童相談所は休む暇もない。児相に勤務する松本悠一は、市の「こども家庭支援センター」の前園志穂と連携して、問題のある家庭を訪問する。石井家の次男壮太が虐待されていると通報が入るが、どうやら五歳児の彼は、家を出てふらふらと徘徊しているらしい。この荒んだ地域に寄り添って暮らす、フィリピン人の息子カイと崩壊した家庭から逃げてきたナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け、面倒を見ることにする。
居場所も逃げ場もない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか――。

 

著者・宇佐美まことさん コメント

『展望塔のラプンツェル』に出てくるのは暴力、貧困、児童虐待、不妊と重いものばかりだ。こんな過酷な状況からの脱却は、困難極まりないと誰もが思うに違いない。だがそれをなし遂げるのは、ほんのちょっとした気づきと想像力なのである。赤の他人の気持ちが偶然につながって、思いもよらない形で救いが生まれる。そんなささやかな物語を私は書きたかった。この度、「本の雑誌が選ぶ2019年度ベスト10 第1位」に、この物語を選んでいただいたことを光栄に思うと同時に、こうした奇跡はどこででも起こりえると感じていただければ幸いである。

 

宇佐美まことさん プロフィール

宇佐美まこと(うさみ・まこと)さんは、1957年愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞、同作品を含む『るんびにの子供』で作家デビュー。

2017年『愚者の毒』で、第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。ほかの著作に『角の生えた帽子』『熟れた月』『骨を弔う』『いきぢごく』などがある。

 

展望塔のラプンツェル
宇佐美 まこと (著)

労働者相手の娯楽の街として栄えた多摩川市は、貧困、暴力、行くつく先は家庭崩壊と、児童相談所は休む暇もない。この荒んだ地域に寄り添って暮らすカイとナギサは、街をふらつく幼児にハレと名付け面倒をみることにする。居場所のない子供たち。彼らの幸せはいったいどこにあるのだろうか――。

本の雑誌439号2020年1月号
本の雑誌編集部 (編集)

特集:本の雑誌が選ぶ2019年度ベスト10

さあ、今年も年間ベスト10の季節がやってきた! 「本の雑誌」1月特大号は、待ってましたのベスト10特集号。本の雑誌が選んだ2019年度ノンジャンルのベスト10に、鏡明のSFベスト10、池上冬樹のミステリーベスト10、佐久間文子の現代文学ベスト10、栗下直也のノンフィクションベスト10、縄田一男の時代小説ベスト10、そして北上次郎のエンターテインメントベスト10と並ぶ、怒濤のベスト10七連発だ!さらに作家、評論家、翻訳家など総勢32名が選ぶ「私のベスト3」、もちろん忘れちゃいけない読者のベスト1もあるぞ!のベスト尽くしの大特集。珍鳥標本に北極のサメが飛び交い、メタなツッコミに滋賀県民が大喜びする中、営A営B発人が一致団結。三人の熱烈推薦でベスト1に輝いたのは、本年度のピカイチエンタメ『〇望〇の〇プン〇〇ル』!愛とパッションがあふれる嵐のベスト10攻勢で2019の面白本は一目瞭然。正月休みの読書計画もこれで万全だ。

新刊めったくたガイドは、小財満が『隠された悲鳴』に込められたボツワナの人々の叫びにうーむと唸れば、林さかなは『ヒア・アイ・アム』が語る私たちの人生に喝采。大森望が当代日本最高の物語の18年ぶりの長篇を寿げば、千街晶之は小役人が頑張る佐藤亜紀『黄金列車』をイチ推し。大塚真祐子が生きていくことの理を問う青山七恵『私の家』にどっぷり浸れば、本誌初登場冬木糸一は現在進行形の危機を扱う『危機と人類』をぐいぐい強烈に読んでよろしく。そして北上次郎は小野寺史宜の新刊『まち』を2ページのほとんどを使って絶賛。さあ、おじさんが名づけた「砂町銀座クロニクル」とはなにか。「筧ハイツ・クロニクル」と合わせて読んでみよう!

そして今月は新年特別企画として2019年の出版界トピックスを振り返る「真っ黒い新年会」が登場!おなじみ「黒い昼食会」と合わせて出版界の今におおいにツッコムのだ。さらに、冬木糸一の新刊ガイドに加え、石川春菜、田中香織、下井草秀3氏の強力連載もスタート。表紙も変わり、本文デザインも一新して、ますますパワーアップの「本の雑誌1月号」と「おすすめ文庫王国」があれば、正月休みの読書計画も迷うことなし!こたつにみかんを用意して読書三昧のこの世の春を堪能するのだあ!

 


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