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君嶋彼方さん〈結婚以上恋愛未満〉の愛の物語『一番の恋人』が刊行

映画化決定で話題の『君の顔では泣けない』著者、君嶋彼方さんの長編小説『一番の恋人』がKADOKAWAより刊行されました。

 

僕を愛してないくせに、結婚しようと彼女は言った――。

2021年に圧倒的リアリティを激賞された『君の顔では泣けない』で第12回〈小説 野性時代 新人賞〉を受賞(応募時タイトルは「水平線は回転する」)し、鮮烈なデビューを飾った君嶋彼方さん。その3作目は、アロマンティック・アセクシャルの女性と、自身の男性性に苦しむ男性についての物語です。

登場人物の心情が手に取るように分かる生々しい筆致で描かれた本作品は、現代社会における「性」「恋愛」「結婚」の価値観の急速な変化に直面するアラサーの男女が、「普通」の幸せを模索する姿をリアルに捉えています。

 
【あらすじ】

『君の顔では泣けない』の著者が描く、恋愛を超える愛の物語

道沢一番という名前は、「何事にも一番になれるように」という父の願いで付けられた。
重荷に感じたこともあったが、父には感謝している。「男らしく生きろ」という父の期待に応えることで一番の人生はうまくいってきたからだ。
しかし二年の交際を経て恋人の千凪にプロポーズしたところ、彼女の返事は「好きだけど、愛したことは一度もない」だった――。
千凪はアロマンティック・アセクシャル(他人に恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)で、長年、恋愛ができないが故に「普通」の人生を送れないことに悩み、もがいていたのだった。
千凪への思いを捨てられない一番と、普通になりたい千凪。恋愛感情では結ばれない二人にとっての愛の形とは。

 
〈恋愛を超える愛の物語に応援のコメント続々!(※一部抜粋)〉

読み終わった後、むしょうに誰かにやさしくしたくなる。
――書評家 三宅香帆さん

何が愛なのかは人によってまったく違うのだ。分かりあいたくても分かりあえない切なさも、断絶の深さに感じる絶望も、身に迫って感じられた。
恋でもなく愛でもない。まだ私たちが言葉で表現することができない親密さを、かけがえのない二人の姿を丁寧に描き出している。
これは君嶋彼方にしか書けない。
―― HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん

恋愛感情を持たない主人公が描かれていながら、これは紛れもなく愛の物語でした。
「愛には色々な形がある」「考え方、生き方は人それぞれ」
そんな当たり前のことをきれいごとでもなく、建前でもなく純粋に表現した物語だと思いました。
――本と文具のBSさんわ 山田由樹さん

色々な立場の人たちがそれぞれ思いを巡らせるであろう作品だと思う。
ひとことで言えない難しいテーマを真正面から描いた救いと希望に満ちたこの物語が今悩む誰かのもとへと届きますように。
――有隣堂トレアージュ白旗店 小出美都子さん

ただただ多くの人に読んでほしいと同時に、いつかこの物語が“時代を逆行している”
それどころか題材にすらならないほど、彼らの想いが、決断が、特別に見えないそんな世界にしていきたいと強く思わずにはいられない作品でした。
――紀伊國屋書店グランフロント大阪店 豊永 大さん

多くの人が当たり前だと思うことに対する葛藤と生きづらさが痛いくらいに伝わってきました。
自分の愛情がパートナーにとっては苦痛でしかなかったとき、お互いの愛情が違うものだった時、自分だったらどうするだろうと考えさせられました。この本を読めて良かったです。
――未来屋書店碑文谷店 福原夏菜美さん

このお話を読んで初めてアロマンティックアセクシャルの存在を知った。
誰しも完全に相手のことを理解することなんてできないと知っていても、相手のことを知ろうと思う気持ちは忘れたくないなと思った。
――明屋書店喜田村店 高橋杏奈さん

 

著者よりコメント

今まで自分も誰も知らない世界の話を書いてきました。今回は、自分は知らない世界だけれど、誰かの世界の話です。手探りで頭を悩ませながら、どうにか書き上げることができました。誰かの心に届いてもらえると嬉しいです。

――君嶋彼方

 

著者プロフィール

君嶋彼方(きみじま・かなた)さんは、1989年生まれ。東京都出身。2021年「水平線は回転する」で第12回 小説 野性時代 新人賞を受賞、同作を改題した『君の顔では泣けない』でデビュー。

他の著作に『夜がうたた寝してる間に』がある。

 

一番の恋人
君嶋 彼方 (著)

私が番ちゃんを好きじゃないままでいいなら、結婚しよう。

道沢一番という名前は「何事にも一番になれるように」と父が付けた。父の期待に応えることで一番の人生はうまくいってきたのだが、恋人の千凪にプロポーズしたとき、「好きだけど、愛したことは一度もない」との返事に一番はショックを受ける。
千凪はアロマンティック・アセクシャル(恋愛感情も性的欲求も抱くことがない性質)で、ずっと「普通」になろうともがいてきたのだった。思いを断ち切れない一番と普通になりたい千凪は、そのまま結婚することを選ぶのだが――。

装丁:坂詰佳苗
写真:酒井貴弘

 
【関連】
試し読み|一番の恋人
君嶋彼方 特設サイト | カドブン

 


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