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【令和6年度日本歌人クラブ各賞】日本歌人クラブ大賞は伊藤一彦さん『牧水・啄木・喜志子 近代の青春を読む』

日本歌人クラブは、第15回日本歌人クラブ大賞および第51回日本歌人クラブ賞、第30回日本歌人クラブ新人賞、第22回日本歌人クラブ評論賞の受賞者・受賞作品を発表しました。

 

令和6年度日本歌人クラブ各賞が決定!

令和6年度日本歌人クラブ各賞の受賞者・受賞作品は次の通りです。

 
【第15回日本歌人クラブ大賞】

伊藤一彦(いとう・かずひこ)さん
『牧水・啄木・喜志子 近代の青春を読む』(ながらみ書房)を中心とした永年の功績に対して

〔選考委員〕黒岩剛仁さん、鈴木英子さん、結城千賀子さん、和嶋勝利さん

 
伊藤一彦さんは、1943年生まれ、宮崎県宮崎市出身・在住。「心の花」「現代短歌・南の会」所属。宮崎県立宮崎大宮高等学校、早稲田大学第一文学部哲学科卒業。学生時代に同級の福島泰樹さんのすすめで短歌をはじめ、「早稲田大学短歌会」に入会。大学卒業後は帰郷し、教員のかたわら作歌活動を続けます。郷土の歌人若山牧水の研究者でもあり、若山牧水記念文学館長、「牧水研究会」会長を務めます。同会が編集する『牧水研究』の第8号は2011年に第9回前川佐美雄賞を受賞。宮崎県立図書館長、名誉館長。宮崎公立大学教授、校名変更で宮崎看護大学教授、2014年定年で客員教授。 2009年より読売文学賞選考委員。毎日新聞、産経新聞、西日本新聞、宮崎日日新聞、熊本日日新聞の歌壇選者。
1996年海号の歌』で第47回読売文学賞詩歌俳句賞、2008年『微笑の空』で第42回迢空賞、2010年『月の夜声』で第21回斎藤茂吉短歌文学賞、2015年に第38回現代短歌大賞、2016年に第57回毎日芸術賞、2018年『遠音よし遠見よし』で第33回詩歌文学館賞を受賞。

 
【第51回日本歌人クラブ賞】

萩岡良博(はぎおか・よしひろ)さん
歌集『漆伝説』(本阿弥書店)

〔選考委員〕黒岩剛仁さん、生沼義朗さん、大森悦子さん、高山邦男さん、山内頌子さん

 
萩岡良博さんは、1950年生まれ、奈良県出身。同志社大学文学部英文学専攻卒業。同大学在学中より前登志夫さんに師事。奈良県下の高校教諭、校長など歴任。2013年『禁野』で日本歌人クラブ近畿ブロック優良歌集賞を受賞。「ヤママユ」編集長。

 
【第30回日本歌人クラブ新人賞】

中井スピカ(なかい・すぴか)さん
歌集『ネクタリン』(本阿弥書店)

〔選考委員〕黒岩剛仁さん、上條雅通さん、菊池裕さん、古谷円さん

 
中井スピカさんは、1975年生まれ、大阪府出身。兵庫県西宮市在住。同志社大学文学部卒業。2016年「塔」入会。2022年に魚谷真梨子さん、江戸雪さんと短歌冊子「Lily」を創刊。2022年「空であって窓辺」30首で第33回歌壇賞を受賞。

 
【第22回日本歌人クラブ評論賞】

濱田美枝子(はまだ・みえこ)さん
『『女人短歌』 小さなるものの芽生えを、女性から奪うことなかれ』(書肆侃侃房)

〔選考委員〕黒岩剛仁さん、大西久美子さん、佐田公子さん、森本平さん

 
濱田美枝子さんは、1947年生まれ、富山県出身。神奈川県逗子市在住。日本女子大学大学院修士課程修了後、フェリス女学院中学高等学校国語科教諭として勤務。在勤中、聴講生、客員研究員として二度母校に内地留学。2020年、日本女子大学大学院博士課程後期単位修得満期退学。同年4月より日本女子大学学術研究員。共著に『祈り──上皇后・美智子さまと歌人・五島美代子』など。

 

日本歌人クラブ各賞について

日本歌人クラブ各賞は、日本歌人クラブが主催する賞です。

日本歌人クラブ大賞は、創立60余年となる本会の伝統と蓄積を反映し、地道に励み、斯道に貢献している歌人を顕彰するため、2010年に設立。

 
日本歌人クラブ賞は、中堅・ベテランの歌集を対象にしています。1995(昭和30)年創設の「日本歌人クラブ推薦歌集」がその前身。

 
日本歌人クラブ新人賞は60歳未満の作者による第一歌集が対象です。

 
日本歌人クラブ評論賞は、歌壇で唯一の、短歌の評論集および研究書を対象にした賞です。

 
なお、各賞受賞者には正賞並びに副賞金10万円が贈られます。授賞式は、5月25日(土)に東京・明治神宮参集殿で開催される日本歌人クラブ定期総会の席上で行われます。

 

日本歌人クラブとは

日本歌人クラブは、1948年(昭和23年)9月に発足。斎藤茂吉、土屋文明、釈迢空・尾上柴舟、佐佐木信綱、窪田空穂、土岐善麿、前田夕暮をはじめとする183名の発起人、および太田靑丘、渡辺順三、近藤芳美、佐藤佐太郎、木俣修、宮柊二、香川進ら当時の中堅歌人らによって結成されました。現在、約3,000名の会員が所属する、日本で最も大きな歌人の団体です。

 

牧水・啄木・喜志子
伊藤一彦 (著)

若山牧水の同時代歌人との交流、影響、比較、そして彼らの作品を通して現在と未来のありようを考える歌論集。

漆伝説
萩岡良博 (著)

「ヤママユ」編集人の第5歌集。

ネクタリン
中井スピカ (著)

第33回歌壇賞受賞者の第1歌集。栞・東直子 江戸雪 山下洋。

『女人短歌』 小さなるものの芽生えを、女性から奪うことなかれ
濱田美枝子 (著)

わたしたちの歌誌をつくろう!

女性のために女性自身の手によって編まれた歌誌『女人短歌』。第二次大戦の敗戦直後に創刊され、48年にわたって刊行された。
男性中心の歌壇のなかで結社を超えて女性たちが結束し、相互研鑽に努めた。女性歌人が活躍できる地平を切り拓いた役割は大きい。
五島美代子、長沢美津、生方たつゑ、阿部静枝、山田あき、葛原妙子、中城ふみ子、森岡貞香ら、『女人短歌』に集った歌人たちの魂のリレーを追う。
『女人短歌』について初めての総合的研究書。

【本書に登場する発言の一部】

「私達を自由自在に詠わしてください。(中略)小さなるものの芽生えを、わが民衆から、女性から奪うことなかれ、と私は大きい声で叫びたい」(五島美代子)

「皆さん、男の人を頼っていてなにが出来ましょうや」(長沢美津)

「今までの古い殻をぬぎ、封建性をすて、ただひたすら作品の力による向上を目指す明るい集団を作りたいのが念願であります。ただ作品のみがものを言う正しい集りで終始したいと思います」(北見志保子)

 
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