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明治・大正・昭和激動の時代を駆け抜けた日本の女性ジャーナリストの先駆け『じょっぱりの人 羽仁もと子とその時代』が刊行

明治草創期の日本で女性ジャーナリストの草分けとして活躍した羽仁もと子の生きざまを描く、森まゆみさん著『じょっぱりの人 羽仁もと子とその時代』が婦人之友社より4月23日に刊行されます。

 

羽仁もと子とはどんな人か?

女性記者の先駆けとして近代女性史に大きな足跡を残した羽仁もと子の生き様を、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』の編集長を25年務め、『鷗外の坂』など数多の著作を執筆した森まゆみさんが一冊にまとめ上げました。

 
なお、「じょっぱり」はもと子の故郷・青森では、信じたことをやり通す強さをいう言葉。よいことは必ずできると信じて、多くの人を巻き込みながら突き進んだ、もと子そのものです。

 
<羽仁もと子(はに・もとこ) プロフィール>

青森県八戸に生まれる。16歳で上京。
明治女学校を経て、報知新聞の記者となる。1903年、夫の羽仁吉一と『家庭之友』(婦人之友の前身)を創刊。1921年、自由学園を創立。
1930年、婦人之友読者による「全国友の会」が誕生。生活の中で思索し続けた日本の女性ジャーナリストの先駆け。

 
【年譜】

明治
6年 青森県八戸市に生まれる
22年 16歳 祖父と上京。東京府高等女学校入学
23年 17歳 築地明石町の教会で洗礼を受ける
25年 19歳 明治女学校から、八戸の小学校教師を経て盛岡女学校に奉職後、上京
30年 24歳 報知新聞に入り、新聞記者の仕事にたずさわる
34年 28歳 報知新聞の同僚であった羽仁吉一と結婚
36年 30歳 「婦人之友」の前身となる「家庭之友」を創刊
37年 31歳 「家計簿」を創案・出版
39年 33歳 「主婦日記」出版
41年 35歳 「婦人之友」を創刊

大正
3年 41歳 「子供之友」創刊
4年 42歳 「新少女」創刊
10年 48歳 自由学園創立

昭和
2年 54歳 自由学園小学校設立
5年 57歳 「婦人之友」愛読者の会として「全国友の会」が誕生
10年 62歳 凶作の東北六県で農村セットルメント運動を始める
32年 83歳 4月7日。脳血栓後の心臓衰弱のため83歳7ヵ月の生涯を閉じる

 

本書「あとがき」より

今まで私ほどよく働く女はいないのではないかと思っていた。しかし本書に取りかかって、羽仁もと子には負けた。小柄ながら健康だったのだろうし、精神力も強かった。ただもと子の寸分も休まない勤勉さにはやや辟易するところもある。よく働く、体の健康なことは似ている。(略)アイディアを次々思いつき、やってみたくてうずうずするのも似ている。(略)

かなわないのは、アイディアを形にして猪突猛進、大きな運動にしてしまうこと。それには人を動かす力が要る。

 

本書の目次より(一部抜粋)

第1部 青森の少女、新聞記者になる
・明治時代の女学生生活
・最初の恋愛、結婚、離婚
・『家庭之友』創刊
・中産階級の視点
・日露戦争と家計簿

第2部 火の玉のように、教育者、事業家へ
・自由学園創立
・「友の会」の誕生
・木を植える男― 羽仁吉一
・東北の大凶作とセツルメント
・戦争への道

 

著者プロフィール

森まゆみ(もり・まゆみ)さんは、作家、エッセイスト、編集者。1954年生まれ、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。1984年に友人らと地域雑誌「谷中・根津・千駄木」を創刊、2009年の終刊まで編集人。歴史的建造物の保存活動などにも取り組み、日本建築学会文化賞、サントリー地域文化賞を受賞。

著書に『鷗外の坂』『京都不案内』『聞き書き・関東大震災』ほか多数。2021年より「婦人之友」に「羽仁もと子とその時代」を連載。番外編が2024年春に完結。

 

じょっぱりの人-羽仁もと子とその時代-
森 まゆみ (著)

羽仁もと子とはどんな人か━━?

1883(明治22)年、青森県八戸市生まれ。明治草創期の日本で、女性ジャーナリストの草分けとして活躍。
1903(明治36)年、夫羽仁吉一と共に雑誌『婦人之友』を創刊。その後「自由学園」「全国友の会」を設立した。

明治、大正、昭和の時代を情熱と行動力で駆け抜けた羽仁もと子。
次々にアイデアを思いついては、強い意志を持って形にし、大きな運動体を巻き起こしていった。

そんなもと子の生きざまを、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』の編集長を25年務め、『?外の坂』など数多の著作を執筆した森まゆみ氏が、1冊にまとめ上げた。

じょっぱり(信じたことをやり通す強さという意味の青森の方言)の人は、激動の時代をどう生きたのか。鮮やかな文章で浮かび上がる。

 


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