約10年後の203Q年、地方局の再編が始まり、その10年後の204Q年、キー局は3大ネットワークに統合される――『テレビ局再編』が刊行
元キー局経営幹部の根岸豊明さんがテレビ70年の歴史を振り返りながら、「2030年代の地方局再編」「2040年代の3大メガネットワーク誕生」など、テレビの近未来を大胆に予測する『テレビ局再編』(新潮新書)が新潮社より刊行されました。
元キー局経営幹部が、テレビの近未来を大胆に予測する『テレビ局再編』
今から約10年後の203Q年、地方局の再編が始まり、その10年後の204Q年、キー局は3大ネットワークに統合される――。ネットに押され、「メディアの覇者」の座から陥落したテレビに未来はあるのか?
長きにわたってテレビは「メディアの覇者」として君臨してきました。しかし、その栄光の時代は、確実に過去のものになりつつあります。
2020年度の日本の広告総額費は6兆1600億円。その中で、インターネット広告が2兆2290億円を占め、初めて第1位を獲得しました。かつての王者、地上テレビ広告は1兆8949億円で第2位に。翌21年度は、インターネット広告費が、マス4媒体(新聞・テレビ・ラジオ・雑誌)の総広告費をも上回る結果となりました。さらに22年度に至っては広告費総額が過去最高の7兆1021億円となる中で、インターネット広告は3兆912億円。もちろん堂々の第1位で、2019年から数えて僅か3年で1兆円の上積みに成功しました。
これに対してテレビ広告費は前年よりは回復したものの、1兆8019億円に留まり、かつての「2兆円産業」の面影はもはやありませんでした。メディアの覇者は、テレビからインターネットに明らかに代わり、「汎テレビ」時代から「汎インターネット」時代となったのです。
テレビは「メディアの覇者」の座からは滑り落ちましたが、相変わらず2兆円近くの広告費は稼いでいるわけですから、突然、奈落の底に落ちていくわけではありません。
ただ、これまでのように安泰かと言えば、そういうわけにはいきません。たとえば、2020年度の民放決算では、地上民放127社中、20社が最終損益で赤字を計上しました。内訳は系列地方局16社、独立U局4社。翌21年度決算では、民放各局とも売り上げを前年より伸ばして、赤字局は系列局で11と、若干回復しましたが、22年度の赤字局も計20社。テレビ経営の現在位置は、長く続いた安定期の終盤にあるのかもしれません。
そして、少子化の波は、テレビ局の経営にも容赦なく襲いかかります。まず、今から10年後の2030年代には、不振の地方局から再編の動きが始まります。それは「1局2波」「1エリア3局体制」など、様々な形で起こります。そして地方から始まった再編の動きは、2040年代にはキー局をも飲み込んでいく――。「メディアの覇者」の近未来を、元キー局経営幹部が大胆に占います。
【本書の内容紹介】
203Q年、地方局の統廃合が始まり、その十年後にキー局は3つに収斂される――。長きにわたってメディア界の覇者として君臨してきたテレビだが、広告収入はネットに追い抜かれ、「オワコン」と揶揄する声も。落日の巨人はどうすれば栄光を取り戻すことができるのか? その具体的な道筋とは?
我が国のテレビ70年の歴史を振り返りながら、キー局の元経営幹部がいま明かす、終わりなきテレビの未来とは。
本文より(抜粋)
かつてテレビは「メディアの覇者」だった。そのテレビは今や覇者の座をインターネットに奪われ、あまつさえネットに追随するようなサービスの開拓に腐心しているようにみえる。
日本中の視聴者を沸かせたテレビ番組は確かに減った。リビングの真ん中に鎮座し、紛れもない「家族の一員」だったテレビの影は薄くなった。「オワコン」、終わったコンテンツなど と揶揄する向きもある。しかし、思う。テレビは本当に終わったと言い切れるのだろうか。
本書の構成
序章 テレビは若者に支持されているか
第1章 成熟の汎テレビ時代 1980年代~90年代
第2章 デジタルの時代 2000年代~2010年代
第3章 新たな覇者、インターネット 1990年代~
第4章 インターネットと、放送の自律
第5章 テレビ経営の現在位置
第6章 ネットワークは誰が救うのか
第7章 「テレビ局再編」を考えるヒント
第8章 テレビの価値再発見 2023
第9章 203Q年のテレビ局再編
終章 テレビは終わらない
著者プロフィール
根岸豊明(ねぎし・とよあき)さんは、1957(昭和32)年生まれ、東京都出身。ジャーナリスト、メディア研究者。早大政経学部卒業。日本テレビにて編成、報道、メディア戦略に従事。同社取締役執行役員、札幌テレビ社長を歴任。
著書に『新天皇 若き日の肖像』『誰も知らない東京スカイツリー』などがある。
テレビ局再編 (新潮新書) 根岸 豊明 (著) |
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