トーハンと日販が2023年年間ベストセラーを発表 総合1位はトーハンが『大ピンチずかん』、日販は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』
書店取次大手のトーハンと日本出版販売(日販)が12月1日、それぞれ2023年の年間ベストセラーランキングを発表しました。
【2023年年間ランキング】※トーハン・日本出版販売調べ 〔敬称略〕
順位 | トーハン | 日本出版販売 |
---|---|---|
1位 | 『大ピンチずかん』 鈴木のりたけ/小学館 |
『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』 小杉拓也/ダイヤモンド社 |
2位 | 『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』 小杉拓也/ダイヤモンド社 |
『大ピンチずかん』 鈴木のりたけ/小学館 |
3位 | 『汝、星のごとく』 凪良ゆう/講談社 |
『変な家』 雨穴/飛鳥新社 |
4位 | 『変な家』 雨穴/飛鳥新社 |
『変な絵』 雨穴/双葉社 |
5位 | 『街とその不確かな壁』 村上春樹/新潮社 |
『街とその不確かな壁』 村上春樹/新潮社 |
6位 | 『地獄の法』 大川隆法/幸福の科学出版 |
『汝、星のごとく』 凪良ゆう/講談社 |
7位 | 『変な絵』 雨穴/双葉社 |
『キレイはこれでつくれます』 MEGUMI/ダイヤモンド社 |
8位 | 『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略』 著:元宮秀介・ワンナップ、監修:ポケモン/オーバーラップ |
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略』 著:元宮秀介・ワンナップ、監修:ポケモン/オーバーラップ |
9位 | 『キレイはこれでつくれます』 MEGUMI/ダイヤモンド社 |
『パンどろぼう』 柴田ケイコ/KADOKAWA |
10位 | 『パンどろぼう』『パンどろぼうvsにせパンどろぼう』『パンどろぼうとなぞのフランスパン』『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』『パンどろぼうとほっかほっカー』 柴田ケイコ/KADOKAWA |
『地獄の法』 大川隆法/幸福の科学出版 |
※集計期間はトーハン・日販ともに、2022年11月22日~2023年11月21日。
11位以降のランキング、ジャンル別ランキングなど詳細は、
◎トーハン:https://www.tohan.jp/topics/20231201_2216.html
◎日販:https://www.nippan.co.jp/ranking/annual/
をご覧ください。
日本出版販売(日販)による総評
■ランキング全体の傾向
2023年は、「コスパを重視した消費」や「SNSを通じた購買行動」といった社会的な傾向が、書籍の購買にも表れる結果となった。
【傾向のサマリー】
(1) 数ある書籍の中から話題の書籍を堅実に購入したいという意識を反映してか、テレビやSNSでの紹介、タイトル受賞をきっかけとして売上が大きく伸びる傾向
(2) TikTokなどのSNSが、商品の比較や購入の検討において大きな影響力を発揮
(3) YouTuberが手掛けた書籍が上位にランクインするなど、動画コンテンツの影響力も健在
■ジャンル別の傾向
【総合】『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』が総合第1位に!
総合では『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』が年間ベストセラー第1位となった。学参ジャンルでは初の総合第1位となる快挙で、2023年1月にテレビで取り上げられたことをきっかけに人気に火が付いた。その後も多数のメディアで取り上げられ、子どもが楽しく算数力を強化できることはもちろん、大人にとっても脳の体操として、圧倒的なわかりやすさと楽しさが話題になり、幅広い層に受け入れられた。
第2位は『大ピンチずかん』。次々と訪れるピンチをレベルの大きさや起こる頻度で分類し、子どもならではのユニークな視点で紹介した絵本で、大人も楽しめることから老若男女に人気を博した。また発売からわずか1年半で絵本賞を8冠獲得したことでも話題となった。
第3位と第4位にはホラー作家、YouTuberでもある雨穴による『変な家』『変な絵』がランクイン。Web記事発のオカルトミステリーであるが、X(旧Twitter)やYouTubeの動画が人気のきっかけとなった。『変な家』は映画化も決定し、2024年3月に公開予定となっている。「変な家」のYouTube動画は再生回数 1,500 万回を超えた(2023年11月30日時点)。
タレント・俳優MEGUMIの自身初の美容本『キレイはこれでつくれます』が第7位となった。自身が実践した1,000以上の美容法の中から本当に効果があったものだけを厳選し紹介。SNSで取り上げられたことで著者と同年代の女性のみならず、男性からも幅広く支持を集めた。
第9位の『パンどろぼう』は、2020年4月に刊行を開始した根強い人気の絵本シリーズ。第15位、第17位にも同シリーズの『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』『パンどろぼうとほっかほっカー』がランクイン。キャラクターの見た目のインパクトやタイトルのキャッチーさ、ストーリーの展開やシュールな世界観など、子どもも大人も楽しめる要素が多いことが人気の理由。書籍だけでなく、服や雑貨、食品などの関連グッズも多く発売されている。
第18位は『20代で得た知見』。TikTokでのハッシュタグ投稿などで話題となったが、10~20代の若い読者層とSNSの強い結びつきが表れている。
【単行本ビジネス】ついにビジネスジャンル第1位の座が入れ替わり!!
『頭のいい人が話す前に考えていること』が第1位となり、2020年の年間ベストセラーから3年連続第1位だった『人は話し方が9割』が第2位に入れ替わった。『頭のいい人が話す前に考えていること』は、累計発行部数37万部。オンライン記事や新聞広告の効果とともに、ブルーを基調とした柔らかいデザインの表紙により、女性読者も取り込んで大きく売り伸ばした。
第3位の『とにかく仕組み化』は、『リーダーの仮面』『数値化の鬼』に続く、安藤広大の第3弾の著書。累計発行部数は22万部で、シリーズ累計での発行部数は97万部を突破している。
ビジネス書全体では、物価上昇や円安など将来への不安からか、引き続き資産形成・資産運用への関心の高さが感じられ、『本当の自由を手に入れる お金の大学』、『ジェイソン流お金の増やし方』、『1年で億り人になる』がランクイン。
【写真集】『乃木坂46 遠藤さくら1st写真集 可憐』が堂々の第1位に
『乃木坂46 遠藤さくら1st写真集 可憐』が第1位となった。2023年12月発売のシングル「Monopoly」でもWセンターを務めるなど、乃木坂46の中心的な人気メンバーである遠藤さくらの勢いもあり、2023年10月発売ながら第1位を獲得した。
第2位には『齋藤飛鳥写真集 ミュージアム』がランクイン。2023年5月に乃木坂46の卒業コンサートを終えた齋藤飛鳥のアイドル活動の集大成となる1冊がファンの注目を集めた。
第3位には、2023年上半期ベストセラー写真集ジャンル第1位の男性5人組YouTuber・コムドットの写真集『コムドット写真集 JOURNEY 通常版』がランクイン。2023年10月に結成5周年を迎えたコムドットの人気はいまだに健在といえる。
【コミック】「呪術廻戦」が連覇達成。上位作品が不動の人気
2023年上半期ベストセラーのコミックジャンル第1位「呪術廻戦」が、年間ベストセラーでも第1位となった。原作屈指の人気エピソードである「懐玉・玉折」「渋谷事変」を含むアニメ第2期が2023年7月から放映開始。それも後押しとなり、他作品の追い上げを振り切り2年連続の年間首位の座を守った。
また、コミック全体では、2023年上半期ベストセラーと顔ぶれも順位も変動がなく、上位作品の不動の人気をうかがわせる結果となった。
大ピンチずかん 鈴木 のりたけ (著) もういつピンチが来ても大丈夫だ! 大ピンチを知れば、いつ大ピンチになってもこわくない。 【編集担当からのおすすめ情報】 |
小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本 小杉拓也 (著) 18×17=□? |
【関連】
▼2023年 年間ベストセラー発表 | 株式会社トーハン
▼年間ベストセラー|日本出版販売株式会社
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