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一千年の時を繋ぐ魂のトリビュート『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』が刊行

「平家物語」の現代語訳で知られる「同業者」(古川日出男さん)によって召喚された紫式部本人が自身の日記を現代人に解説する(!)、奇想天外な”現代語訳”『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』が新潮社より刊行されました。

 

2024年大河ドラマ化で話題、『源氏物語』の作者にして当時最先端を生きた女性の肉声が現代に甦る!

2024年の大河ドラマ「光る君へ」の主人公・紫式部が、世界的文学『源氏物語』を執筆の傍ら、日々の出来事や一人の女性としての率直な心情を書き記した「紫式部日記」。平安時代随一の作家による、当時の宮中や貴族たちの人間模様が克明に記された一級の文学作品が、「紫式部本人による現代語訳」という驚きの設定で、現代の「同時代文学」として甦ります。

 
著者は、「平家物語」の現代語訳がアニメ化され大きな反響を呼んだ当代随一の琵琶法師的作家・古川日出男さん。一千年前の人々の「ボイス」を獲得した作家が、「先輩」と親しみを込めて呼ぶ紫式部の依り代となって、平安時代と現代を結びます。「光る君へ」の世界をより深く、そしてよりリアルに知るための必読ダイアリーです。

 
「あなたはいまからわたしの日記をのぞこうとしています」

『源氏物語』の作者の日記には、平安から現代まで、一千年の日本が凝縮されている。
「平家物語」の現代語訳で知られる「同業者」が紫式部を召喚して描く、この国に生きる人々の肖像画。

「さあ、いきます。現代語訳です」

 
「一千年に一度」と言われる巨大地震が起こり、干支が一巡りした日本。ではその一千年前、この国で何が起こったのか――寛弘5年(1008年)、「日本」を体現する家に赤子=皇子が産まれた。赤子の母である一条天皇の后・彰子に仕える「女房」としてその模様をつぶさに見ていたのは、現在もなお読まれる世界的長篇『源氏物語』の著者・紫式部。彼女が遺した日記には、宮中の様子はもちろん、和泉式部や赤染衛門、そして清少納言といった「ライバル」文学者たちへの率直な評価も書き込まれ、さらには彰子の父親にして当時の最高権力者・藤原道長と自身のあやしい関係にも触れられており……平安時代の最先端女性が記した謎めいた日記が、本人の解説入り(!)で現代にリ・リリース!

 
<本文より>

あなたはどんどんわたしの日記を読んでいます。どうですか? もしも「そんなに曲げないで理解できている感じがする」といえるようだったら、わたしは純粋にうれしいです。「理解できるところと、どうにも『うまくイメージができない。わからない』部分とに、はっきり二つに割れている気がする」といわれても、じつはとてもうれしかったりします。とまどいは、あって当然です。ここは――この日記の内側の世界は――少しも「現代」ではないのですから。一千年以上もむかしなんですから!

けれども、こうもかんがえられます。「たかが一千年では、ひとは変わらないよ」と。

 

著者プロフィール

古川日出男(ふるかわ・ひでお)さんは、1966年生まれ、福島県郡山市出身。1998年『13』でデビュー。

『アラビアの夜の種族』(2001)で日本推理作家協会賞および日本SF大賞、『LOVE』(2005)で三島由紀夫賞、『女たち三百人の裏切りの書』(2015)で野間文芸新人賞および読売文学賞を受賞。

『平家物語』全巻の現代語訳(2016)は後にTVアニメ化され、その現代語訳から生まれた『平家物語 犬王の巻』(2017)もアニメ映画として劇場公開された。戯曲「冬眠する熊に添い寝してごらん」ならびに「ローマ帝国の三島由紀夫」は岸田國士戯曲賞の候補となった。

他の著作に『聖家族』『馬たちよ、それでも光は無垢で』『ミライミライ』『おおきな森』『曼陀羅華X』『ゼロエフ』『の、すべて』、長篇詩『天音』など。アメリカ、フランス、イタリア等、海外での評価も高い。

 

紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」
古川 日出男 (著)

『源氏物語』の作者・紫式部の肉声が甦る。一千年を繋ぐ魂のトリビュート。

クリスチャン暦なら最初のミレニアムを迎えた少し後、里帰り中の一条天皇の后が臨月を迎えた。その父で朝廷の最高権力者・藤原道長を始め、皆が固唾を飲んで見守る中、后に仕えるわたしはなぜか感傷的(ブルー)で、グルーミィ。そのわけをあなたにお伝えします――2024年大河ドラマで大注目、世界的文学を書いた当時の最先端女性のすっぴんダイアリーを、現代の「同業者」がリ・リリース!

 
【関連】
試し読み | 古川日出男 『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』 | 新潮社

 


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