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角田光代さん訳『源氏物語』文庫版が刊行開始&対談イベントを開催

河出書房新社は「河出文庫 古典新訳コレクション」より、角田光代さん訳『(河出文庫)源氏物語』(全8巻)を2023年10月より刊行開始しました。

角田光代さん訳『源氏物語』は、「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」収録作品として2017年9月~2020年2月に刊行(上・中・下巻)した、紫式部『源氏物語』の全訳版です。河出文庫版は、2023年10~12月の3ヶ月連続で1~3巻まで刊行、以降隔月刊行で2024年10月に全8巻完結予定です。

なお、11月9日(木)には、角田光代さんと京都先端科学大学教授・山本淳子さんによる対談イベント「『源氏物語』が今語りかけてくるもの」も開催されます。

 

『源氏物語』について

紫式部によって約1000年前に書かれた『源氏物語』は、いわずとしれた世界最古の長篇小説であり、世界規模で読まれている日本文学最大の傑作です。日本文学史へ多大な影響を与えたことはもちろんのこと、海外でも多くの作家に愛されていますが、現代でもカズオ・イシグロやイーユン・リーなど、好きな小説として『源氏物語』を挙げる作家は少なくありません。

 
『源氏物語』は、桐壺(きりつぼ)から夢浮橋(ゆめのうきはし)まで五十四帖で成り立ち、輝く皇子として生まれた光源氏が、女たちとさまざまな恋愛を繰り広げる華麗な物語であると同時に、そこには生と死、無常観など人生や社会の深淵が描かれています。

その素晴らしさは、400人もの個性溢れる登場人物が織りなすストーリーの面白さ、卓越した構成力、きめ細やかな心情を豊かに綴った筆致にあり、約800首もの和歌に加えて、漢詩、漢文など、文学、宗教、歴史が盛り込まれた壮大かつ重層的な作品です。

 
これまで与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴など、文豪たちが現代語訳に挑み、さまざまな訳が出たことで広く一般にも親しまれてきましたが、原稿用紙4000枚とも言われる長さゆえ、たとえ現代語訳でも読み通すには覚悟がいる作品の筆頭かもしれません。とはいえ、『源氏物語』の面白さは、やはり長篇小説ならではの仕掛けや巧みな構成にあり、ある程度短時間のうちに通読しなければ、本当の面白さには出会えないとも言われています。

 
<“角田源氏” の特徴について>

このたび文庫化となる角田光代さん訳は、何より小説としての面白さが堪能できる『源氏物語』です。

10月発売の『源氏物語 1』は、「一帖・桐壺(きりつぼ)」から「六帖・末摘花(すえつむはな)」までを収録。類い稀なる美しさと才を兼ね備えた光源氏の誕生から、女君たちとの恋の遍歴、藤壺へ思慕など、若き光君を描いた巻です。

角田版『源氏物語』は、以下のように読みやすさの工夫が凝らされています。
(1) 原文に忠実に沿いながらも現代的で歯切れがよく、心の襞に入り込む自然な訳文
(2) 地の文の敬語をほぼ廃し、主語を入れたことで細部まで分かりやすい
(3) 生き生きとした会話文
(4) 草子地と呼ばれる著者や第三者の声を魅力的に訳して挿入
(5) 和歌や漢詩などの引用はほぼ全文を補って紹介

 
今までの現代語訳で挫折した読者からは、「この角田訳ではじめて最後まで読めた!」「どういう物語か、初めてわかることができた!」と好評を博しています。小説としての魅力を余すところなく現代に蘇えらせた、第72回読売文学賞(研究・翻訳賞)受賞の “角田源氏”。疾走感がある、今に息づく現代語訳で『源氏物語』というとてつもなく大きな作品を、心ゆくまで堪能することができます。

 
【河出文庫『源氏物語 1』内容紹介】

日本文学最大の傑作を、小説としての魅力を余すことなく現代に甦えらせた “角田源氏”。輝く皇子として誕生した光源氏が、数多くの恋と波瀾に満ちた運命に動かされてゆく。「桐壺」から「末摘花」までを収録。

 

「角田光代×源氏物語」対談イベントのご案内

「BOOK MEETS NEXT2023」の一環として今年開催される「KYOTO BOOK SUMMIT」では、古都・京都でいくつかのイベントが組まれるうち、このたび下記のイベントの開催が決定しました。

『源氏物語』をテーマに、角田光代さんと平安文学研究者の山本淳子さん(京都先端科学大学教授)による対談です。『源氏物語』の京都を舞台に、作家の立場、研究者の立場から、そして今の時代から見えてくる、新たな『源氏物語』の魅力が語られます。

 
<“『源氏物語』が今語りかけてくるもの” 対談イベント(KYOTO BOOK SUMMIT)開催概要>

■登壇者:角田光代さん(作家)、山本淳子さん(京都先端科学大学教授)

■日時:2023年11月9日(木)11:00~12:30

■場所:平安神宮会館 栖鳳殿(京都府京都市左京区岡崎西天王町97)

■定員:180名

■参加費:無料

■主催:BOOK MEETS NEXT事務局、(一財)出版文化産業振興財団(JPIC)

★詳細&申込み:https://www.jpic.or.jp/topics/2023/10/02/170000.html
※事前登録制です、

 

訳者プロフィール

角田光代(かくた・みつよ)さんは、1967年生まれ。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。

著書に『対岸の彼女』(直木賞)、『八日目の蝉』(中央公論文芸賞)など。『源氏物語』の現代語訳で読売文学賞を受賞

 

源氏物語 1 (河出文庫)
角田 光代 (翻訳)

日本文学最大の傑作を、小説としての魅力を余すことなく現代に甦えらせた角田源氏。輝く皇子として誕生した光源氏が、数多くの恋と波瀾に満ちた運命に動かされてゆく。「桐壺」から「末摘花」までを収録。

<疾走感ある自然な訳文で、なにより物語の醍醐味が味わえる、現代語訳の決定版!>

恋に生き、切なさに、嫉妬に、美しさに涙する――
日本文学最大の傑作が、明瞭な完全新訳で甦る、全8巻!
【読売文学賞(研究・翻訳賞)受賞作】

とりかかる前は、この壮大な物語に、私ごときが触れてもいいのだろうかと思っていた。
実際にとりくみはじめて、私ごときが何をしてもまるで動じない強靭な物語だと知った。
――角田光代

<出版社から>
「最後まで初めて読めました!」「角田さんの訳で物語の全体が分かりました」等、小説としての面白さが分かる現代語訳として大好評の角田源氏。

【読みやすさの工夫を凝らした角田訳の特徴】
●原文に忠実に沿いながらも、読みやすく、感情に引きつけて読める自然な訳文
●主語を補い、地の文の敬語をほぼ廃したことで、細部までわかりやすい
●現代的で歯切れがよく、生き生きとした会話文
●作者や第三者の声(草子地)を魅力的に訳して挿入
●和歌や漢詩などの引用はほぼ全文を補って紹介

 平安時代中期の11世紀初めに紫式部によって書かれた『源氏物語』は、54帖から成る世界最古の長篇小説。輝く皇子として生まれた光源氏が、女たちとさまざまな恋愛を繰り広げる物語であると同時に、生と死、無常観など、人生や社会の深淵が描かれている。400人以上の登場人物が織りなす物語の面白さ、卓越した構成力、細やかな心情を豊かに綴った筆致と、1000年読み継がれる傑作。
 『源氏物語 1』は、若き光源氏の姫君たちとの恋と許されぬ藤壺への思慕を描く。

カバー装幀:大久保伸子
装画:yasuo-range

 
【関連】
BOOK MEETS NEXT2023 「KYOTO BOOK SUMMIT」開催! | JPIC 一般財団法人 出版文化産業振興財団

 


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