冷戦下、一冊の小説を武器にソ連と戦った女性たちを描いた『あの本は読まれているか』が文庫化
冷戦下のソ連で、一冊の小説を武器に世界を変えようと危険な任務に挑んだ女性たちを描いた、ラーラ・プレスコットさん著『あの本は読まれているか』(訳:吉澤康子さん)が創元推理文庫から刊行されました。
単行本版刊行前から大きな話題を呼んだ作品
『あの本は読まれているか』は、デビュー作にも関わらずアメリカで出版契約金200万ドル(約2億円)、初版20万部という異例の規模で出版されました。約30カ国で翻訳出版が決定し、その後もエドガー賞最優秀新人賞ノミネート、Amazon.com2019年9月のベスト・ブック選出など、世界的に高い評価を博しました。
日本では2020年4月に、東京創元社より四六判で刊行されました。刊行前から話題を呼び、新聞、雑誌、WEB等で続々と紹介され重版を重ね、年末のミステリランキングでも「週刊文春ミステリーベスト10」第3位など、上位を獲得しました。
史実を基に描かれた、エンターテインメント
本書は実際にあった出来事を土台に、冷戦下の過酷な時代をたくましく生き抜いた女性たちを描いたミステリ作品です。
CIAに所属する女性スパイ・イリーナに課された極秘任務は、反体制的であるとして共産圏で禁書とされていた小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめること。このドクトル・ジバゴ作戦はCIAが実際に行った戦略のひとつです。
またソ連側の登場人物であるオリガという女性の視点でも、並行して物語が語られていきます。
大きな苦難にぶつかりながらも懸命に自分の道を進む女性たちの姿には、多くの共感や感動の声が寄せられました。
読者から寄せられた感想は、http://www.webmysteries.jp/archives/22640764.html からご覧になれます。
<本書のあらすじ>
冷戦下のアメリカ。ロシア移民の娘であるイリーナは、CIAにタイピストとして雇われる。だが実際はスパイの才能を見こまれており、訓練を受けて、ある特殊作戦に抜擢された。
その作戦の目的とは、反体制的だと見なされ、共産圏で禁書となっているボリス・パステルナークの小説『ドクトル・ジバゴ』をソ連国民の手に渡し、言論統制や検閲で迫害をおこなっているソ連の現状を知らしめることだった。そう、文学の力で人々の意識を、そして世界を変えるのだ。
一冊の小説を武器とし、危険な極秘任務に挑む女性たちを描く傑作長編、待望の文庫化!
著者プロフィール
■著者:ラーラ・プレスコットさん
アメリカ、ペンシルヴェニア州グリーンズバーグ出身。アメリカン大学で政治学を学ぶ。2018年にテキサス大学オースティン校のミッチェナー・センターで美術学修士号を取得。執筆活動を始める前は政治キャンペーンのコンサルタントとして活躍していた。
2016年に『あの本は読まれているか』の最初の章をもとにした作品“Aedinosaur”で、クレイジーホース・フィクション賞を受賞。2019年にデビュー作である『あの本は読まれているか』が刊行され、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)主催の2020年エドガー賞最優秀新人賞にノミネートされた。
■訳者:吉澤康子(よしざわ・やすこ)さん
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。英米文学翻訳家。
主な訳書にアン・ペリー〈ウィリアム・モンク・シリーズ〉、エリザベス・ウェイン『コードネーム・ヴェリティ』『ローズ・アンダーファイア』などがある。
あの本は読まれているか (創元推理文庫) ラーラ・プレスコット (著), 吉澤 康子 (翻訳) |
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