本のページ

SINCE 1991

的場昭弘さんの“反”世界史講義『「19世紀」でわかる世界史講義』が刊行 資本主義と近代国家が生んだ西欧人による「世界史」を問い直す

的場昭弘さん著『「19世紀」でわかる世界史講義』

的場昭弘さん著『「19世紀」でわかる世界史講義』

マルクス研究の第一人者・的場昭弘さん著『「19世紀」でわかる世界史講義』が日本実業出版社より7月1日に刊行されます。

 

近代国家と資本主義が「世界史」を生んだ

《本書は、世界史を扱う書物です。しかし、これまでの世界史の書物と決定的な違いがあります。それは、本書では「世界史」という概念自体を批判し、「世界史」という概念で見えてこないものを見ようとしているからです。》
(本書「はじめに」より)

 
私たちが知る「世界史」とは、資本主義と近代国家を生み出した西欧人が自らを中心に構築した、ひとつの世界観にすぎません。

利潤を追求する資本主義は、常に外部に市場を必要とします。近代国家が世界市場をこじ開けた19世紀、西欧人にとっての「世界史」という概念が生まれ、アジア人やアフリカ人はある意味でその“支配”を受けてきたといえます。

 
本書は、一般向け書籍にまで浸透している西欧的な「世界史」概念を疑い、「教養としての世界史」を相対化する試みです。

◎日本人は「西欧人から見た世界史」しか知らない
◎西欧支配の時代はこの200年に過ぎない
◎近代化のため自らの文化を捨てた「ロシアと日本の類似」
◎資本主義の限界が世界に災厄をもたらす
◎侵略、内戦、民族対立──国民国家はなぜかくも不安定なのか……

 

マルクス研究の第一人者による“反”世界史講義! 戦争、格差、貧困、環境……現代の諸問題を読み解くカギは、近代国家と資本主義が生まれた「19世紀」にあり!

《「ワールドヒストリー」は、18世紀後半から19世紀に、初めてヨーロッパで出現した特殊な言葉です。それは、たんに世界をリードするとか、世界で一番優れているといった意味での「世界史」ではなく、それ以外の選択肢がない未来の歴史の先取りとしての普遍的世界史です。

西欧人にとっての西欧史は、それ自身がすでに「ワールドヒストリー」です。それは、西欧以外の世界の人々が、すべて西欧の背中を追っていかざるを得ない、西欧が世界に範を垂れるという意味での世界史だったのです。》
(「序章」より)

 
「フランス革命から第一次世界大戦終結までの長い一世紀」を、哲学、文学、宗教、民族、芸術、モードまで、“知の全体史”を踏まえて、マルクス研究の第一人者が縦横に語ります。

 

本書の構成

序章 世界史を語る意味

第1部 18世紀
第1章 世界史とは何か
第2章 先進アジアと後進ヨーロッパ
第3章 ヨーロッパの真実
第4章 近代という視点──三十年戦争と国民国家
第5章 絶対王政と啓蒙主義──アジアの閉塞とヨーロッパの世界進出
第6章 17世紀から18世紀に至る民主革命
第7章 絶対王政の崩壊と国民国家の勝利
第8章 国民国家による歴史の読み替え

第2部 19世紀
第9章 労働運動の増大と社会主義・共産主義
第10章 アメリカへの移民
第11章 貴族支配とブルジョア
第12章 ロシアの南下と黄禍論の再燃
第13章 世界市場の分割 帝国主義の時代
第14章 産業資本主義から金融資本主義への移行
終章 第一次大戦と19世紀の終焉

 

著者プロフィール

著者の的場昭弘(まとば・あきひろ)さんは、1952年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士神奈川大学教授。マルクス研究の第一人者。社会思想史、マルクス経済学専攻。

著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『未来のプルードン』(亜紀書房)、『カール・マルクス入門』(作品社)、『最強の思考法「抽象化する力」の講義』(日本実業出版社)、『資本主義全史』(SB新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『いまこそ「社会主義」』(池上彰さんとの共著/朝日新書)、『復権するマルクス』(佐藤優さんとの共著/角川新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』『新訳 初期マルクス』『新訳 哲学の貧困』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)など多数。

 

「19世紀」でわかる世界史講義
的場 昭弘 (著)

本書のポイント
・日本を代表するマルクス学者・的場教授による19世紀世界史講義。
・「世界史」は資本主義とともに生まれた。19世紀は資本主義生成と成熟の世紀。
・ウクライナ問題も19世紀でわかる! 19世紀とウクライナ戦争は直結している。

【出版社からのコメント】
近代国家と資本主義の誕生が「世界史」を生んだ――最初にそう唱えたのはカール・マルクス(1818?1883)だった。世界史が現在のグローバル世界へのきざしと発展を見せたのは、フランス革命から第一次世界大戦の終結までの “長い1世紀”であり、ここが世界史の核心を成す。
日本を代表するマルクス学者が、通常の歴史学を超えて、哲学、文学、宗教、民族、言語、芸術、モードまで、《知の全体史》を踏まえて構想した怒涛の世界史講義。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です