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谷川俊太郎さんの詩「うそ」が絵本になってエイプリルフールに刊行 中山信一さんの原画展も開催

『うそ』(詩:谷川俊太郎さん/絵:中山信一さん)

『うそ』(詩:谷川俊太郎さん/絵:中山信一さん)

2021年4月1日(エイプリルフール)に、絵本『うそ』(詩:谷川俊太郎さん/絵:中山信一さん)が、主婦の友社より刊行されます。

 

エイプリルフールに、谷川俊太郎さんの珠玉の詩「うそ」が絵本になって登場!

1988年に発表された谷川俊太郎さんの詩集『はだか』のなかの一編「うそ」が、新進気鋭のイラストレーター・中山信一さんによって、子どもだけでなく、大人にも届く絵本に生まれ変わりました。

 
詩のシリアスな言葉が、犬と散歩をしている男の子という一見ほのぼのとした絵で展開されていきます。

うそに誠実であるほど、「ぼく」の言葉が心に深く響きます。絵本でありながら、哲学の書とも言える一冊です。

 

“いっていることは うそでも うそをつく きもちは ほんとうなんだ” “うそでしかいえない ほんとのことが ある” (本書より)

「うそはくるしい」はずなのに、平気でうそをつく人がいます。最近、そういう人がますます増えている気もします。うそをくり返したら、ほんとうになるのでしょうか。この世はほんとのことより、うそであふれています。うそをつかない人なんて、いないでしょう。でも、どうして、人はうそをつくのでしょう。ついついてしまったうそ、相手をごまかすためのうそ、自分を守るためのうそ、相手の幸せを願ってつくうそ……。

 
昔から“嘘つきは泥棒の始まり”“嘘も方便”といわれるけれど、そもそも[ついていいうそ]と[ついてはいけないうそ]、[いいうそ]と[悪いうそ]って、あるのでしょうか。

 
いい・悪いや、軽い・重いという単純な基準で、うそを測れるものでしょうか。

 
この絵本では、ある男の子が犬と散歩をしながら、うそについてあれこれ考え、思いを巡らせます。

<NetGalleyに寄せられたレビューから(※一部抜粋)>

「うそのない正しい世界は、きっと生きにくい世界に違いありません。うそだと知っていながら話す。うそだとわかっていながら受け入れる。そんなことがだれにでもあるし、それはある意味で生きていく悲しみのようなものです。
『いっていることは うそでも うそをつくきもちは ほんとうなんだ』
それがわかっていても、大人は子どもに、うそをついてはいけませんと言います。不誠実な人間であってはいけないということを、うそを通して伝えたいからです。でも、
『うそでしかいえない ほんとのことが ある』。
苦しくても、うそがばれても、とがめられても、自分にとっては大切なうそもあるのです」

 

「大人にも読んでほしい。うそについて考えるきっかけになる本だと思う」(中山信一さん)

初めてこの詩「うそ」を読んだとき、強烈に心を揺さぶられましたね。深いなぁと思いました。

だれにも関係のある「うそ」というテーマに、どういう絵を考え、ストーリーとして表現するか、とてもむずかしかったです。

谷川さんにお会いしたとき、「詩を説明しなくていいよ」とおっしゃってくれました。詩のなかに登場する犬から、散歩というアイデアが浮かびました。直接的な説明にならないけど、イメージを喚起させるような絵で、ささやかな暗示しかしないように心かげました。演出過多にならないように、男の子の表情にも気をつかいました。

この絵本は、うそについて考えるきっかけになる本だと思う。子どもだけでなく、大人にこそ読んでほしいですね。思いあたる節(ふし)がたくさんあるから、大人のほうがグッとくるんじゃないかな(中山信一さん)。

 

「どっちかに割り切れないところに、生きていることの本当の姿があります」(谷川俊太郎さん)

谷川俊太郎さんによるあとがきには、こんなふうに書かれています。

 
「何年も前に私が書いた詩『うそ』をもとにして、こんな不思議な絵本ができました。(中略)この絵本に登場する男の子は、口に出しては何も言いませんが、心の中にいろんな気持ちが渦巻いているようです。

うそとほんと、良いことと悪いこと、美しいものと醜いもの、どっちかに割り切れないところに、生きていることの本当の姿があります。それを少しずつわかっていくのが、大人になるということではないでしょうか。」
(あとがき「うそとほんと」より)

 
生きているほど、うそをつく機会は多くなります。生きていくほど、忘れられないうそも増えていくでしょう。悩み、苦しみ、後悔し、うそと向き合うほど、救われることもあるかもしれません。

 
自分にうそをつかない、ってどういうことだろう。
自分を信じるって、どういうことだろう。
うそに戸惑う子どもと、うそに慣れた大人たちへ――。

心の奥深いところに届く、時おり読み返したくなる宝物のような絵本が、ここに誕生しました。

 

著者プロフィール

 
■詩:谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さん

1931年生まれ。東京都出身。詩人。

1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。1962年「月火水木金土日の歌」で第4回日本レコード大賞作詩賞、1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1982年『日々の地図』で第34回読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で第1回萩原朔太郎賞を受賞するなど、受賞歴・著書多数。

詩作のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表している。この「うそ」は、1988年刊の『はだか 谷川俊太郎詩集』(絵:佐野洋子さん)の一編。

撮影:深堀瑞穂

撮影:深堀瑞穂

 
■絵:中山信一(なかやま・しんいち)さん

1986年生まれ。神奈川県出身。イラストレーター。

広告や書籍、アパレルグッズなどのイラストを手がけるほか、個展開催や作品と合わせたエッセイ集も発表するなど、作家としても活動中。また、HIPHOPユニット「中小企業」のラッパーとしても活動しており、これまでに1stアルバム 「cookie」と 2ndアルバム 「NESS」をリリース。D&AD賞2018 Wood Pencil (銅賞)、JAGDA2018 亀倉雄策賞ノミネート、JAGDA賞ノミネート、東京装画賞2013銅賞、そのほかADC入選、TDC入選など多数。

 

代官山蔦屋書店で絵本『うそ』の原画展を開催!

代官山蔦屋書店にて、絵本『うそ』のイラスト原画の展示、および『うそ』のイラストを用いたオリジナルグッズや、中山信一さんのイラストグッズの販売が行われます。

 
■場所:代官山 蔦屋書店(https://store.tsite.jp/daikanyama/

■期間:2021年4月1日(木)~4月19日(月)

 

うそ
谷川俊太郎 (著), 中山信一 (イラスト)

「あやまってすむようなうそはつかない」――。嘘に誠実であるほど、「ぼく」の言葉が深く響く。谷川俊太郎の珠玉の詩が絵本に!

「いっていることは うそでも うそをつく きもちは ほんとうなんだ」――。
この絵本は、詩人・谷川俊太郎さんが1988年に刊行した詩集『はだか』のなかの一編「うそ」に、 イラストレーター・中山信一さんが詩からイメージして絵を描き、構成した一冊。 「うそはくるしい」はずなのに、平気でうそをつく人がいる。 大きな声でうそをつき、しらを切り通す人もいる。 うそをくり返したら、ほんとうになるのだろうか。 この世のほんとのことより、うそであふれている。 うそをつかない人なんて、この世にはいないだろう。 でも、どうして人はうそをつくのだろうか。 ついついてしまったうそ。ごまかすためのうそ。 自分を守るためのうそ。相手の幸せを願ってつくうそ。 うそだと知りながら、つき通すことを選んだ大切なうそ。 うそだと知っていながら、ほんとを装って受け入れるうそ。 ある男の子が犬と散歩しながら、うそについていろいろ思い、考える。 嘘に誠実であるほど、「ぼく」の言葉が、心に深く響く。 そもそも[ついていいうそ]と[ついてはいけないうそ]、 [いいうそ]と[悪いうそ]って、あるのだろうか。 あるとすれば、その違いはなんだろう。 いい・悪いや、軽い・重いという基準で測れるものだろうか。 「うそとほんと、良いことと悪いこと、美しいものと醜いもの、 どっちかに割り切れないところに、生きていることの本当の姿があります」 (あとがき「うそとほんと」谷川俊太郎)

 


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