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歌人・俵万智さん翻訳「クマ森」シリーズ完結作『クマとこぐまのコンサート』刊行 俵万智さんインタビューも公開

『クマとこぐまのコンサート』(作:デイビッド・リッチフィールドさん/訳:俵万智さん/ポプラ社刊)

『クマとこぐまのコンサート』(作:デイビッド・リッチフィールドさん/訳:俵万智さん/ポプラ社刊)

歌人・俵万智さんが翻訳を手掛けた「第11回 MOE絵本屋さん大賞」入賞の『クマと森のピアノ』シリーズの完結作『クマとこぐまのコンサート』、がポプラ社より刊行されました。

 

俵万智さんが紡ぎだす “美しい日本語” で読む、イギリス発ハートフル絵本が感動のフィナーレ

クマのブラウンは、小さいときからピアノがだいすき。森から街へ行き、大スターになりました。けれど時はながれ、夢のような日々は終わりました。ブラウンは引退して、ふるさとの森へ帰ることにしました。パパになったブラウンは、森のピアノを見つけたこぐまにむかしの話をします。パパのかなしい顔を見て、こぐまはあることを思いつきました…。

 
シリーズ第一作『クマと森のピアノ』は、当時、イギリスで話題沸騰中の新人作家、デイビッド・リッチフィールドさんのデビュー作。ウォーターストーンズ児童書賞・絵本部門ほか多数の賞を受賞し、2017年にその翻訳版が日本で発表されました。

その続編である『イヌと友だちのバイオリン』、そして今回新たに刊行となる『クマとこぐまのコンサート』と併せて、子どものみならず大人が読んでも楽しめる感動的な作品に仕上がっています。

 

『クマと森のピアノ』(作:デイビッド・リッチフィールドさん/訳:俵万智さん/ポプラ社刊)

『クマと森のピアノ』(作:デイビッド・リッチフィールドさん/訳:俵万智さん/ポプラ社刊)

【『クマと森のピアノ』あらすじ】

ある日、こぐまのブラウンは森のなかで「へんてこなもの」を見つけます。やがて、ブラウンはその「へんてこなもの」を弾けるようになります。そこを偶然通りかかった人間の女の子とお父さんが、ブラウンの奏でる美しい「ピアノ」の音楽を聞きます。そして、ブラウンはふたりと一緒に町へ行き、ピアニストとして大成功をおさめました。でも、ブラウンは森と、友だちと、森のピアノが恋しくなり…。

 

訳者・俵万智さんインタビューをnoteで公開!

『クマとこぐまのコンサート』刊行に寄せて、訳者の俵万智さんに様々なお話を伺ったインタビュー記事が「note」で公開中です。

以下、その一部を、抜粋して紹介します。

 
幼い子に知ってほしい

――新刊『クマとこぐまのコンサート』についてお伺いします。シリーズ1作目『クマと森のピアノ』を初めて読んだときの印象は?

 
「絵がすごく魅力的ということと、ストーリーが幼い子に知ってほしいこと―音楽のすばらしさ、夢をかなえること、あるいは、ふるさと、友情… そういう生きていく上で、ものすごく基本になることを素敵なストーリーで伝えている。説教くさい感じじゃなくて。自分がまず読者として本当に心惹かれました。」

 
素敵な日本語

――『クマとこぐまのコンサート』を翻訳されるにあたって、工夫された点はありますか?

 
「最後の “心のおみやげ” っていう言葉は、原文には直接そういう表現はなくて、ちょっと踏み込んだ訳ではあったんですけれども。”おみやげ” って『忘れないということ、ここでなにか得たものを持って帰る』という感じ。日本語のすごく素敵な言葉でもあるので。」

 
世界観を伝えたい

――読者へのメッセージをお願いします。

 
「絵本そのものが素敵なメッセージを持ってくれているので、ある意味、翻訳する人間は透明人間になってもいいと思っていますね。この絵本を読む人は、原文の英語と訳文を見比べるわけではないですよね。子どもにとっての、この絵本の言葉は私の日本語になるわけですから、責任は感じますね。だから、日本語として美しい、完結しているものということを意識します。英語と日本語は言語が違うので、直訳していたのでは、逆に世界観がずれてしまう。日本語を使ってその世界観を訳すということを心掛けます。だからその世界観が伝わってほしいなと思います。

生きていく上ですごく大事なことが含まれている絵本なので、多くの子どもたちに読んでほしいし、読み聞かせをする大人の方も深く考えさせられる絵本じゃないかなと。音楽以外にも「表現すること」は人間しかしないことだし、たぶんそれを読んでる大人もみんな何かしら芸術とか文化とか表現することに関わることがあるはずです。大人が読んでも得るものがある絵本だと思いますね。

すべての子どもに、というと漠然としちゃうけれど、楽しんで読んでもらえればうれしいです。」

 
※インタビューの完全版は、「ポプラ社 こどもの本編集部」note(https://note.com/poplar_jidousho/n/ne8e4c4a66303)にて読むことができます。

 

俵万智さん プロフィール

俵万智(たわら・まち)さんは、大阪府門真市生まれ。歌人。

早稲田大学在学中に短歌を始める。第一歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)で第32回現代歌人協会賞を受賞。絵本の翻訳作品に『ドリー、泳ぎつづけてごらん』(講談社)、『ずっといっしょ』(WAVE出版)がある。

 

クマとこぐまのコンサート
デイビッド・リッチフィールド (著), 俵 万智 (翻訳)

『クマと森のピアノ』(第11回MOE絵本屋さん大賞2018第10位入賞)、『イヌと友だちのバイオリン』につづく感動の最終作!

■既刊(シリーズ第1弾)

クマと森のピアノ
デイビッド リッチフィールド (著), David Litchfield (原著), 俵 万智 (翻訳)

ある日、森のなかで、こぐまのブラウンは、へんてこなものを見つけました。そーっと、さわってみるとそれは…。夢をかなえること、そして大切な友だちとのつながりを描いた心あたたまる物語。2016年ウォーターストーンズ児童書賞(絵本部門)受賞作。

■既刊(シリーズ第2弾)

イヌと友だちのバイオリン
David Litchfield (原著), デイビッド リッチフィールド (著), 俵 万智 (翻訳)

今日も、バイオリンひきのヘクターは、大のなかよしイヌのヒューゴといっしょに街で演奏しています。ヒューゴはヘクターのひくバイオリンが大すきで、楽しいときも、かなしいときもいつもいっしょ。
そんなある日、世界的に有名なクマのピアニストのニュースを見たヘクターは、老いぼれてしまった自分の音楽に落胆し、バイオリンをしまい手にとろうとしなくなりました。
ため息ばかりの生活を送るヘクターに代わって、イヌのヒューゴはバイオリンを手にし…。

楽しいときも、かなしいときもいつもいっしょに過ごしてきた友だちどうしの心温まる物語。

第11回 MOE絵本屋さん大賞2018 第10位受賞作『クマと森のピアノ』待望の続編!

人生において大切な何かを気づかせてくれる翻訳絵本。

 
【関連】
歌人が絵本を翻訳するということ――俵万智さん 『クマとこぐまのコンサート』刊行記念インタビュー|ポプラ社 こどもの本編集部|note

 


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