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【第36回坪田譲治文学賞】岩瀬成子さん『もうひとつの曲がり角』が受賞

第36回坪田譲治文学賞が決定!

第36回坪田譲治文学賞が決定!

岡山市は1月26日、第36回坪田譲治文学賞の受賞作を発表しました。

 

第36回坪田譲治文学賞が決定!

第36回坪田譲治文学賞は、2019年9月1日から2020年8月31日までの1年間に全国で刊行された小説・児童文学等の中から、小説家・児童文学者等から推薦された96作品について、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」という観点で、予備選考会を経て候補作5作品を選定。この5作品について、1月19日に都内で開催された最終選考委員会で審査し、次の通り受賞作が決定しました。

 
<第36回坪田譲治文学賞 受賞作品>

岩瀬成子(いわせ・じょうこ)さん
『もうひとつの曲がり角』(講談社)

 
受賞者の岩瀬成子さんは、1950年生まれ。山口県出身。1977年に『朝はだんだん見えてくる』でデビューし、翌年に同作で日本児童文学者協会新人賞を受賞。1992年『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞および産経児童出版文化賞、1995年『ステゴザウルス』と『迷い鳥とぶ』で路傍の石文学賞、2008年『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞、2014年『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、2015年『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞を受賞。

 
選考委員は、阿川佐和子さん、五木寛之さん、川村湊さん、中脇初枝さん、西本鶏介さん、森詠さん、森絵都さんの7名。

 
受賞者コメント、作品の概要、選考委員のコメントなど詳細は、https://www.city.okayama.jp/bungaku/0000027764.html をご覧ください。

 

坪田譲治文学賞について

坪田譲治文学賞は、「岡山市出身で、わが国の児童文学に新しい分野を拓いた、岡山市名誉市民の故坪田譲治さんのすぐれた業績を称えると共に、市民の創作活動を奨励し、市民文化の向上に資することを目的」として、1984年(昭和59年)に岡山市が制定した文学賞です。

9月1日を基準日とし、前一年間に刊行された文学作品の中から、「大人も子どもも共有できる世界を描いたすぐれた作品」を対象とします。

受賞者には、正賞として賞状及び楯(蛭田二郎さん作「鳥の少年」)、副賞として100万円が授与されます。

 

もうひとつの曲がり角
岩瀬 成子 (著), 酒井 駒子 (著)

柵には半開きになった木の扉がついていて、その扉に「どうぞお入りください」と青色のマジックで書かれた板がぶらさがっていた。
「いやだ。あたしはそんなところへは、ぜったいに入らないから」ときこえた。
えっ。どきんとした。
庭木のむこうからだった。わたしにむかっていったんだろうか。
わたしは耳をすまして、木々にさえぎられて見えない庭のようすをうかがった。
しんとしていた。
だれがいるんだろう。
わたしはぶらさがっている板をもう一度見た。
それから足音を立てないようにして、そっと扉のあいだから庭に入っていった。しかられたら、すぐににげだすつもりだった。ちょっとだけ、のぞいてみたかった。──本文より。

小学五年のわたしと中一の兄は二ヶ月前、母の理想の新しい家、市の東側から西側へ引っ越してきた。この町で通い出した英会話スクールが休講だったので、わたしはふと通ったことのない道へ行ってみたくなる。道のずっと先には道路にまで木の枝が伸びている家があり、白い花がちらほらと咲いて・・・・・・。

日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏による美しい装画にも注目!

 
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令和2年度 第36回坪田譲治文学賞 | 岡山市

 


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