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【第164回芥川賞&直木賞】芥川賞に宇佐見りんさん「推し、燃ゆ」、直木賞は西條奈加さん「心淋し川」

第164回芥川賞&直木賞が決定!

第164回芥川賞&直木賞が決定!

第164回芥川龍之介賞および直木三十五賞の選考委員会が1月20日に都内で開催され、それぞれ受賞作が決定しました。

 

芥川賞は宇佐見りんさんが初のノミネートで受賞!

第164回芥川賞は、下記候補作の中から宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」(『文藝』秋季号)が受賞作に決定しました。

 
宇佐見りんさんは、1999年生まれ。静岡県出身。大学生。2019年「かか」で文藝賞を受賞し、デビュー。2020年に同作で三島由紀夫賞を最年少で受賞。芥川賞は今回が初のノミネートでした。なお、21歳での受賞は、2004年に同時受賞した綿矢りささん(19歳)と金原ひとみさん(20歳)につぐ史上3番目の若さとなります。

 
選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さん。

 
【芥川賞 候補作】
◎宇佐見りんさん「推し、燃ゆ」(『文藝』秋季号)
◎尾崎世界観さん「母影(おもかげ)」(『新潮』12月号)
◎木崎みつ子さん「コンジュジ」(『すばる』11月号)
◎砂川文次さん 「小隊」(『文學界』9月号)
◎乗代雄介さん 「旅する練習」(『群像』12月号)

 

直木賞も西條奈加さんが初ノミネートで受賞!

第164回直木賞は、下記候補作の中から西條奈加さんの『心淋し川(うらさびしがわ)』(集英社)が受賞作に決定しました。

 
西條奈加さんは、1964年生まれ。北海道出身。東京英語専門学校卒業。2005年『金春屋ゴメス』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞。

 
選考委員は、浅田次郎さん、伊集院静さん、角田光代さん、北方謙三さん、桐野夏生さん、高村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさん。

 
【直木賞 候補作】
◎芦沢央さん『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)
◎伊与原新さん『八月の銀の雪』(新潮社)
◎加藤シゲアキさん『オルタネート』(新潮社)
◎西條奈加さん『心淋し川』(集英社)
◎坂上泉さん『インビジブル』(文藝春秋)
◎長浦京さん『アンダードッグス』(KADOKAWA)

 

芥川賞と直木賞について

芥川賞と直木賞は、1935(昭和10)年に制定され、芥川賞は新聞・雑誌(同人雑誌を含む)に発表された純文学短編作品、直木賞は新聞・雑誌(同)・単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られます。

芥川賞は主に無名・新進作家が、直木賞は無名・新進・中堅作家が対象となります。受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が授与されます。

 

推し、燃ゆ
宇佐見りん (著)

「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい」

◎未来の考古学者に見つけてほしい
時代を見事に活写した傑作
――朝井リョウ

◎すごかった。ほんとに。
――高橋源一郎

◎一番新しくて古典的な、青春の物語
――尾崎真理子

◎ドストエフスキーが20代半ばで書いた
初期作品のハチャメチャさとも重なり合う。
――亀山郁夫

◎今を生きるすべての人にとって歪(いびつ)で、でも切実な自尊心の保ち方、を描いた物語
――町田康

◎すべての推す人たちにとっての救いの書であると同時に、絶望の書でもある本作を、わたしは強く強く推す。
――豊崎由美

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』は第56回文藝賞及び第33回三島賞を受賞(三島賞は史上最年少受賞)。21歳、圧巻の第二作。

心淋し川
西條 奈加 (著)

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。

 
【関連】
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会

 


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