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吉本由美さん×田尻久子さん「熊本暮らし」随想集『熊本かわりばんこ』が刊行

吉本由美さんと田尻久子さん、二人のエッセイストが 「かわりばんこ」に紡いだ『熊本かわりばんこ』がNHK出版より刊行されました。

水が湧き、花は咲き、猫がいる。時間は記憶となり、身の裡に降り積もる――。 同じ街に暮らす二人の女性が、それぞれの日々をそれぞれに綴った28のエッセイです。

 

吉本由美さんと田尻久子さん、二人のエッセイストが「かわりばんこ」に紡いだ、28篇の熊本の日々

18歳で上京、64歳で帰郷した吉本由美さんが綴る熊本は、かつての記憶と未知の魅力が併存する街。他界した親から譲り受けた「実家」での庭造りや多くの猫との暮らし、新たな友人たちと展開するイベントや市政への参加などに、老いの問題をまじえて、リズム感とユーモア溢れる筆致で記します。

 
熊本で生まれ、市内で書店を営む田尻久子さんは最近、祖父母が暮らしたエリアに住まいを移しました。子ども時代を過ごした山や池が残る地域での新しい暮らしを軸に、ほろ苦い思い出、保護猫たちとの出会い、季節の花々や近隣の人びととの触れ合いを、精緻かつ上質な描写で綴ります。

 
互いが持つ友情や敬意によって「かわりばんこ」に紡がれたエッセイには、地方都市での暮らし(移住)や老後の生活、女性が積極的に参加するコミュニティづくり、潔い生き方の実践など、さまざまな示唆も含まれます。

(c)坂口恭平

(c)坂口恭平

カバーの装画と本文中の挿画は、熊本在住のマルチクリエイター・坂口恭平さんの作品。装丁は、数々の文芸書を手がけている名久井直子さんによる「仮フランス装」。上質なブックデザインにもご注目ください。

「仮フランス装」による味わいある装丁

「仮フランス装」による味わいある装丁

 

村上春樹さんも推薦!

 
【推薦文(帯裏)】

『熊本かわりばんこ』を読んでいると、「ひさしぶりにまた熊本に行きたいな」という気持ちにじわじわとなってきます。吉本さんの個人的ガイドで巡る熊本の街は、ことのほか素敵なところです。それから田尻さんの「橙書店」の白玉くんは元気にしているかなあ。
――村上春樹

 

本書の目次

はじめに 吉本由美

Ⅰ 庭と街
人生の第二章が始まった 吉本由美
忘れがたい春と募金箱のこと 田尻久子
ひさしぶりに散歩に出ると 吉本由美
ピンクのリボン 田尻久子
この夏いちばんのできごと 吉本由美
雨と引っ越し 田尻久子
探しもの 吉本由美
家の記憶、ひとの記憶 田尻久子
味噌天神まで 吉本由美
冬の到来 田尻久子
味噌天神にて 吉本由美

II ちいさな隣人たち
記憶の海を旅する 田尻久子
春の動物園探訪 吉本由美
藤の花のもとで 田尻久子
運動として街を歩くその前に 吉本由美
梅雨時の庭 田尻久子
空を見上げる 吉本由美
活字を食べて生きてきた 田尻久子
映画にまつわるいくつかの話 吉本由美

III 猫のいる部屋
あの時代、あの場所でしか味わえないこと 田尻久子
年をとって猫と暮らすということ 吉本由美
変わる視点、そこから見えるもの 田尻久子
いつも阿蘇へ行っていた 吉本由美
拾われ猫フジタが生きた十四年 田尻久子
春爛漫の熊本で 吉本由美
ご近所の花巡り 田尻久子
ただいま老人特訓中 吉本由美
時の経過とともに 田尻久子

おわりに 田尻久子

 

著者プロフィール

 
■吉本由美(よしもと・ゆみ)さん

1948年生まれ、熊本市出身。作家・エッセイスト。セツ・モードセミナー卒業後、雑誌『スクリーン』編集部、大橋歩さんのアシスタントを経てインテリア・スタイリストに。『an・an』『クロワッサン』『オリーブ』などの女性誌を中心に活躍後、執筆活動に専念。2011年、熊本に帰省。

著書に『吉本由美〔一人暮し〕術・ネコはいいなア』(晶文社)、『ひみつ』(角川書店)、『かっこよく年をとりたい』(筑摩書房)、『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』(村上春樹さん、都築響一さんとの共著、文春文庫)、『イン・マイ・ライフ』(亜紀書房)、『道草散歩』『日本のはしっこへ行ってみた』『みちくさの名前。雑草図鑑』(いずれもNHK出版)などがある。

 
■田尻久子(たじり・ひさこ)さん

1969年生まれ、熊本市出身。「橙書店 オレンジ」店主。会社勤めを経て2001年、熊本市内に雑貨と喫茶の店「orange」を開業。2008年、隣の空き店舗を借り増しして「橙書店」を開く。2016年より文芸誌『アルテリ』の発行・責任編集をつとめる。2017年、第39回サントリー地域文化賞を受賞。

著書に『猫はしっぽでしゃべる』(ナナロク社)、『みぎわに立って』(里山社)、『橙書店にて』(2020年・熊日出版文化賞/晶文社)、『橙が実るまで』(写真:川内倫子さん/スイッチパブリッシング)、『これはわたしの物語』(西日本新聞社)などがある。

 

熊本かわりばんこ
吉本 由美 (著), 田尻 久子 (著)

花と猫を愛する日々を綴った「熊本暮らし」随想集。 【村上春樹さんお薦め】

18 歳で上京、64 歳で帰郷した吉本由美さんが綴る熊本は、かつての記憶と未知の魅力が併存する街。他界した親から譲り受けた「実家」での庭造りや多くの猫との暮らし、新たな友人たちと展開するイベントや市政への参加などに、老いの問題をまじえて、リズム感とユーモア溢れる筆致で記す。
熊本で生まれ、市内で書店を営む田尻さんは最近、祖父母が暮らしたエリアに住まいを移した。子ども時代を過ごした山や池が残る地域での新しい暮らしを軸に、ほろ苦い思い出、保護猫たちとの出会い、季節の花々や近隣の人びととの触れ合いを、精緻かつ上質な描写で綴る。
互いが持つ友情や敬意によって「かわりばんこ」に紡がれたエッセイには、地方都市での暮らし(移住)や老後の生活、女性が積極的に参加するコミュニティづくり、潔い生き方の実践など、さまざまな示唆もある。エッセイ好きだけではなく、社会的な問題や女性の自立に関心のある層にも届けたい一冊。

 


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