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【第44回サントリー学芸賞】鎌田雄一郎さん、今野元さん、邵丹さん、奈倉有里さん、村島彩加さん、岩間一弘さん、、藪耕太郎さん、、筒井清輝さん、中真生さんが受賞

第44回サントリー学芸賞が決定!

第44回サントリー学芸賞が決定!

公益財団法人サントリー文化財団は、広く社会と文化を考える、独創的で優れた研究、評論活動をした人物に贈る「第44回サントリー学芸賞」の受賞者・対象作品を発表しました。

 

第44回サントリー学芸賞が決定! 4部門計9名が受賞

第44回サントリー学芸賞では、2021年1月以降に出版された日本語の著作を対象に「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門において各選考委員より優れた作品が推薦され、2回にわたる選考委員会での審議を経て、受賞者および作品が次の通り決定しました。

なお、贈呈式は12月12日(月)に東京で開催される予定です。

 
<第44回サントリー学芸賞 受賞者・対象作品>

〔政治・経済部門〕
◎鎌田雄一郎(かまだ・ゆういちろう)さん(カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院准教授)
『雷神と心が読めるヘンなタネ ―― こどものためのゲーム理論』(河出書房新社)

◎今野元(こんの・はじめ)さん(愛知県立大学外国語学部教授)
『ドイツ・ナショナリズム ―― 「普遍」対「固有」の二千年史』(中央公論新社)

〔芸術・文学部門〕
◎邵丹(しょう・たん/Danae Shao)さん(東京外国語大学世界言語社会教育センター専任講師)
『翻訳を産む文学、文学を産む翻訳 ―― 藤本和子、村上春樹、SF小説家と複数の訳者たち』(松柏社)

◎奈倉有里(なぐら・ゆり)さん(翻訳家、早稲田大学等非常勤講師)
『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』(未知谷)を中心として

◎村島彩加(むらしま・あやか)さん(明治大学兼任講師、青山学院大学非常勤講師)
『舞台の面影 ―― 演劇写真と役者・写真師』(森話社)

〔社会・風俗部門〕
◎岩間一弘(いわま・かずひろ)さん(慶應義塾大学文学部教授)
『中国料理の世界史 ―― 美食のナショナリズムをこえて』(慶應義塾大学出版会)

◎藪耕太郎(やぶ・こうたろう)さん(仙台大学体育学部准教授)
『柔術狂時代 ―― 20世紀初頭アメリカにおける柔術ブームとその周辺』(朝日新聞出版)

〔思想・歴史部門〕
◎筒井清輝(つつい・きよてる)さん(スタンフォード大学社会学部教授)
『人権と国家 ―― 理念の力と国際政治の現実』(岩波書店)

◎中真生(なか・まお)さん(神戸大学大学院人文学研究科教授)
『生殖する人間の哲学 ―― 「母性」と血縁を問いなおす』(勁草書房)

 
【選考委員】

◎政治・経済部門:大竹文雄さん(大阪大学特任教授)、北岡伸一さん(東京大学名誉教授)、田所昌幸さん(国際大学特任教授)、土居丈朗さん(慶應義塾大学教授)、牧原出さん(東京大学教授)、待鳥聡史さん(京都大学教授)

◎芸術・文学部門:池上裕子さん(神戸大学教授)、片山杜秀さん(慶應義塾大学教授)、沼野充義さん(名古屋外国語大学教授)、三浦篤さん(東京大学教授)、三浦雅士さん(文芸評論家)、渡辺裕さん(東京大学名誉教授)
ショウ・タン Danae Shao
◎社会・風俗部門:井上章一さん(国際日本文化研究センター所長)、鹿島茂さん(作家、フランス文学者)、玄田有史さん(東京大学教授)、佐伯順子さん(同志社大学教授)、佐藤卓己さん(京都大学教授)、武田徹さん(ジャーナリスト、評論家)

◎思想・歴史部門:宇野重規さん(東京大学教授)、苅部直さん(東京大学教授)、熊野純彦さん(東京大学教授)、田中明彦さん(国際協力機構理事長)、堂目卓生さん(大阪大学教授)、細谷雄一さん(慶應義塾大学教授)

 
受賞者略歴は、https://www.suntory.co.jp/news/article/14268-2.html を、
選評は、https://www.suntory.co.jp/news/article/14268-3.html をご覧ください。

 

サントリー学芸賞について

サントリー学芸賞は、1979年に創設。サントリーの創業80周年を記念して同年に設立されたサントリー文化財団(https://www.suntory.co.jp/sfnd/)が主催する学術賞です。

「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門に分かれ、毎年、前年1月以降に出版された著作物を対象に選考し、広く社会と文化を考える、独創的で優れた研究、評論活動をされた方を顕彰します。

選考に際しては、個性豊かで将来が期待される新進の評論家、研究者であること、本人の思想、主張が明確な作品であることに主眼が置かれています。また、代表候補作品だけでなく、これまでの一連の著作活動の業績を総合して選考の対象としています。

なお、2018年2月のサントリー文化財団設立40周年を機に、人文学・社会科学分野における既存の枠組にとらわれない自由な評論・研究活動のさらなる発展を願い、副賞を従来の200万円から300万円に増額しています。

 
<公益財団法人サントリー文化財団について>

サントリーの創業80周年を記念して1979年2月に大阪で設立。以来、わが国の国際化、情報化の時代に応えて、社会と文化に関する学術研究の助成、これらの分野における優秀な人材の育成をめざし、わが国および世界の学術文化の発展に寄与することを目的に事業を進めています。

★ホームページ:https://www.suntory.co.jp/sfnd/

 

雷神と心が読めるヘンなタネ : こどものためのゲーム理論
鎌田雄一郎 (著)

ゲーム理論研究者の贈る、人の気持ちや行動を論理的に想像する力をつけるための物語。不思議な雷神と出会った小学生・啓一は、「相手の立場に立つ」ことでふりかかる問題を解決できるか?!

カリフォルニア大学バークレー校准教授が、経済学の最重要理論・ゲーム理論を、こどもたちに贈るーー
ストーリー+解説で、「相手の立場に立って考える」力、「論理的に想像する」力が身につく

もしも、〈心が読めるタネ〉を手に入れたら……?
主人公の小学6年生・啓一が、学校や公園で出会う問題に、なぞの〈雷神〉がくれた〈心が読めるタネ〉を使いながら挑む。
啓一は、どのように考えて、こたえを出していくのか?
いっしょに悩みながら読み進めるうち、ゲーム理論的な視点をマスターできる!

超おもしろくて、小学生から役に立つ!

ドイツ・ナショナリズム-「普遍」対「固有」の二千年史 (中公新書)
今野 元 (著)

アメリカの世界覇権が陰りを見せるなか、欧州で主導権を握り、存在感を増すドイツ。しかし英仏など周辺国からの反撥は根強い。そこには経済をはじめとする国力の強大化への警戒感だけでなく、放漫財政を指弾し、難民引き受けや環境保護を迫るなど、他国にも西欧的=「普遍」的価値観に照らして「正しい」ことを求めるドイツの姿勢がある。二千年にわたる歴史を繙き、ドイツはいかにしてドイツとなったのかをさぐる。

翻訳を産む文学、文学を産む翻訳: 藤本和子、村上春樹、SF小説家と複数の訳者たち
邵丹 (著)

村上春樹という作家の文化的ルーツの一つには1970年代の翻訳文化がある。この時代の「新しさ」の視点から「新しい翻訳」「新しい形」で出版された実際の翻訳書や若者文化の勃興のもとで誕生した「新たな」文化空間を、藤本和子、SF小説の翻訳家たちの翻訳を通して丹念に辿る。翻訳という行為の壮大な可能性が見えてくる。
▶︎津野海太郎、藤本和子、巽孝之、柴田元幸、岸本佐知子、伊藤夏実、くぼたのぞみ(以上敬称略)といった翻訳家、SF評論家、編集者の方々に著者がインタビューした内容も収録。

アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯
奈倉有里 (著)

神秘的な世紀末から革命の大火まで、ときに麗しの貴婦人の騎士、ときに人生を燃やす狂気の人、ときに混沌と死の体現者として、激動のロシア社会を歌った詩人ブローク(1880-1921)。そこには童心を胸にあらゆる枠組みをはねのけ無効化しようとする闘いと、思想や倫理を超えた「火の詩情」を希求しつづける夢があった──。折々の詩を交えつつブロークの生涯を最新の伝記研究に基づいて描き出すとともに、同時代の批評との関係も踏まえながらその詩学の核心に迫る本格的評伝。東京大学而立賞受賞。

舞台の面影──演劇写真と役者・写真師
村島彩加 (著)

人々はいつの時代もスターの面影に憧れ、その姿を追い求めてきた。
本書では歌舞伎役者を描いた江戸の浮世絵版画から、近代の「演劇写真」への変遷を、役者と写真師を中心に、印刷、出版、絵画などの周辺文化の展開とともに多面的に描く。

中国料理の世界史:美食のナショナリズムをこえて
岩間 一弘 (著)

ラーメン、チャジャン麺、フォー、パッタイ、海南チキンライス、チャプスイ……
まるで、歴史のフードコート!

▼世界に広がり、人々に愛され「国民食」へと変貌をとげた「中国料理」。
国家建設とナショナリズムに注目しながら、アジアからアメリカ、ヨーロッパを縦横無尽に旅して、中国料理と中国系料理の巨大で口福な歴史を味わいなおす。

▼登場する料理の一部
北京ダック、満漢全席、小籠包、焼売、フカヒレ煮込み、タピオカミルクティー、左公鶏、牛肉麺、マントウ、パッタイ、フォー、バクテー、広東麺、ニョニャ料理、チャプチェ、チャジャン麺、チャンポン、チャプスイ、春巻き、卓袱料理、ラーメン、餃子、天津飯、沖縄そば、中華おせち

柔術狂時代 20世紀初頭アメリカにおける柔術ブームとその周辺 (朝日選書)
藪耕太郎 (著)

ジャポニズム、日露戦争、大衆消費社会を背景とした20世紀初頭の柔術・柔道の世界的な流行。嘉納治五郎に期待され米大統領に柔道指南する柔道家もいれば、レスラーと異種格闘技試合をする柔術家もいた。熱狂の時代を豊富な図版資料とともに描く。

人権と国家: 理念の力と国際政治の現実 (岩波新書)
筒井 清輝 (著)

今や政府・企業・組織・個人のどのレベルでも必要とされるSDGsの要・普遍的人権の理念や制度の誕生と発展をたどり、内政干渉を嫌う国家が自らの権力を制約する人権システムの発展を許した国際政治のパラドックスを解く。冷戦体制崩壊後、今日までの国際人権の実効性を吟味し、日本の人権外交・教育の質を世界標準から問う。

生殖する人間の哲学: 「母性」と血縁を問い直す
中 真生 (著)

人間はみな、広義には「生殖」するものである。差異と普遍性の双方を考慮しつつ、生殖を軸に人間をとらえ返す、斬新な哲学的試み。

本書は、生殖に関するいまだに根強い従来の見方を再考し、「産む」ことや、自分の子どもをもつことだけでなく、「育てること」や、子どもとの関係からなる「親であること」もまた生殖の一部として考察していく。そこでは生殖に関するいくつかの境界線(妊娠出産経験の有無、血縁の有無、子どもの有無)が揺るがされ、無効化されることになるだろう。

 
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