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【第三十三回伊藤園お~いお茶新俳句大賞】文部科学大臣賞に小柳さん10歳 205万句から入賞2,000作品が決定!

文部科学大臣賞受賞作品が掲載された「お~いお茶」

文部科学大臣賞受賞作品が掲載された「お~いお茶」

株式会社伊藤園は、「お~いお茶」商品パッケージに掲載して発表する「第三十三回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」入賞作品2,000句を決定しました。

 

累計応募句数が4,100万句を突破!

33回目を迎えた今回は、国内と海外64カ国をあわせ517,367人より1,946,459句の作品が寄せられました。その数ある応募作品から、最高位の文部科学大臣賞に選ばれたのは、兵庫県川辺郡の小柳 咲姫(こやなぎ・さき)さん(10歳)の作品「雪がふる一つ一つに雪の神」です。

 
また金子兜太賞には、神奈川県大和市の杉山 結菜(すぎやま・ゆな)さん(15歳)の作品「秋の夜獣になって走りけり」に決定しました。

 
コロナ禍も3年目を迎え、コロナに関連した応募作品も多く、今回の金子兜太賞の作品は「2度延期となってしまった修学旅行に行けた歓びや行動制限で我慢していたものが弾けた」時の気持ちを詠んだ作品で、その影響は残りつつも少しずつ日常生活や心境に変化がみられる作品が見受けられました。

オンライン発表会「開会の挨拶(夏井いつきさんによる講評)」

オンライン発表会「開会の挨拶(夏井いつきさんによる講評)」

10月30日のオンライン入賞作品発表会では、文部科学大臣賞、金子兜太賞、各部門大賞作品と最終審査員による選評のほか、その他各部門の入賞者を含めた合計2,000名を発表しています。なお配信映像のアーカイブは、YouTubeでいつでも視聴が可能です。

★視聴はこちらから:https://itoen-shinhaiku.jp

 

 
また11月3日より「第三十四回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の募集も開始。詳細は新俳句大賞ホームページをご確認ください。

 

「第三十三回 伊藤園お~いお茶新俳句大賞」受賞作品

 
<文部科学大臣賞>
◎賞金:50万円
◎賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]

「雪がふる一つ一つに雪の神」
小柳咲姫(こやなぎ・さき)さん 10歳 兵庫県川辺郡

(選評)
雪がふる。その一つ一つの雪片は、六花の結晶で、空から音もなくきらきらと舞い降りて来ます。その途中でぶつかり合ったり重なり合ったりして、大きな雪片となって降ってくるのです。降り注ぐ一つ一つの雪片を、神様の降臨のような、大自然の意志のようにも見て、おごそかな気持ちで両手で受け止め、あるいは腕を広げて体全体で浴びているのではないでしょうか。不思議さに有難さが溶け込んで、しーんとした気分になりますね。

【作者コメント】
この俳句は冬に雪をイメージしてつくりました。もともと雪が多い地域ではないのですが、珍しく雪が降り、校庭一面が真っ白になりました。そんな景色を見ながら、なぜ雪は空から降ってくるのか不思議に感じ、神様が宿っているのかなと思ったことを詠みました。

33回文部科学大臣賞 小柳さん

33回文部科学大臣賞 小柳さん

 
<金子兜太賞>
◎賞金:20万円
◎賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額、入選作品集[自由語り]

「秋の夜獣になって走りけり」
杉山結菜(すぎやま・ゆな)さん 15歳 神奈川県大和市

(選評)
秋の夜、急に何かに憑かれたように体の中に衝動が込み上げてきたのでしょう。それは思春期特有の故知らぬ衝動なのかもしれません。思わず声を挙げたくなるような気持ちで、夜の闇に身を揉みこむように、獣になった気分で走り込んでいく。それを「獣になって走りけり」といったのです。若いいのちの叫びのような全心身運動といえるものかも知れません。

【作者コメント】
コロナの影響を受けて2度延期になった修学旅行に、10月行くことができ、その時のことを詠みました。京都、奈良の二泊三日の旅の間友だちと一緒に行動でき、また宿泊先では、修学旅行に行けた歓びやそれまでの行動制限で我慢していたものが弾け、友人たちと廊下や部屋中をはしゃぎ回りました。その様子が、まるで周囲を気にしないで走り回る獣のようだったなあと思い返し「獣」と表現しました。とても楽しかったので、消灯後も走り回っていたため先生にも叱られましたが、それも良い思い出になりました。

33回金子兜太賞 杉山さん

33回金子兜太賞 杉山さん

 
<大賞>
◎賞金:20万円
◎賞品:賞状、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額、入選作品集「自由語り」

【小学生の部(幼児含む)】 応募総数 492,423句
「ロボットのむねの歯車春を待つ」

松浦弘樹(まつうら・ひろき)さん 10歳 愛媛県北宇和郡

(選評)
動くロボット人形が、玩具箱か倉庫の隅に置かれています。外は雪でしょうか。今は動くこともなく、一個の静止したモノとなっているのです。やがて春になれば、子供たちの遊び相手として、むねの歯車の螺子を巻いて動き出すのでしょう。それまではひたすら静かに、じっと我慢の子となって春を待っています。

 
【中学生の部】 応募総数 495,549句
「単身の父住む街の冬銀河」

栗原唯奈(くりはら・ゆいな)さん 12歳 福岡県八女市

(選評)
お父さんが地方へ転勤となり、今は家族と別れて暮らしています。見上げる夜空の冬銀河は、お父さんの住む街にもかかっていて、同じようにこの冬銀河を見上げ、家族のことを思っているのかもしれません。単身赴任のお父さんも淋しいでしょう。早く会いたいなあという気持ちが、冬銀河に照り映えています。

 
【高校生の部】 応募総数 799,630句
「石こうと夏の教室二人きり」

斉藤弥来(さいとう・みく)さん 17歳 東京都葛飾区

(選評)
放課後も教室に居残って、図工の課題の石膏像と取り組んでいます。この場合、「二人きり」の中味をどう受け取るのか。文脈からは、石膏像と二人きりと読めます。石膏像を作っている間に、いつか相棒のように呼びかけていたのかもしれません。この思い入れが、夏の教室をいのちの通い合いのように感じさせたのです。

 
【一般の部A(40歳未満)】 応募総数 42,857句
「カマキリの目力無人直売所」

柴崎誠也(しばざき・せいや)さん 33歳 埼玉県さいたま市
※「崎」は正式には「たつさき」

(選評)
無人直売所は、畑に近い路傍の小さな屋台風の掘立て小屋です。そこに置かれている野菜は新鮮で、おそらく朝採りのものでしょう。カマキリはその野菜を狙う生きものたちを許せないとみているのです。まだ誰も来る気配はありません。カマキリの目力がらんらんと輝いて来て、そろりと足を踏み出したところでしょうか。

 
【一般の部B(40歳以上)】 応募総数 79,070句
「二才児のうずまきだけの年賀状」

松井よしみ(まつい・よしみ)さん 58歳 福井県福井市

(選評)
二才児は、作者の年齢からみておそらくお孫さんでしょう。両親の年賀状に添え書きした孫のうずまきは、まだ字は書けないながら、精一杯のご挨拶の気持ちを表しています。舌のよく回らない言葉そのもののようにも受け取れて、たまらなく可愛い。その肉声に触れてみるように、筆跡をなぞっています。うずまきにいのちの渦を感じながら。

 
【英語俳句の部】 応募総数 33,941句
「looking for girl names
we pick
wildflowers」
(直訳)娘の名を求めながら野の花を摘むわたしたち

Edward Huddlestonさん 29歳 アメリカ

(選評)
授かるかもしれない娘のため、よい名前を探し求めながら、野に出て可憐な花を摘む二人。花の名にあやかりたいのか、とにかく何かインスピレーションを得たいわけです。素朴な親の愛情が、野花をめでる心と重なり、美しい景のもと、味わい深い句となりました。「野の花」は秋の季語とされますが、アメリカ人の作ですから、春や夏の野かも知れませんね。

 
【新俳句フォトの部】 応募総数 2,989句
「切れかけた蛍光灯を置いて行く」

林愛美(はやし・まなみ)さん 24歳 兵庫県川西市

33回新俳句フォト大賞作品

33回新俳句フォト大賞作品

(選評)
誰もが人生の中で経験する引っ越しのような写真や俳句にしないところに視点を向け、その時のちょっとした気持ち、気づいても俳句にするかという際どいところを表現している。見過ごしそうな話であるのに、でも人生の中のいくつかの句読点の中に入れ込んできた作者の感受性の豊かさというか、個性が感じられました。このような情景を言葉に残すのは俳句の技の一つですが、人の心に印象を残せる作者の人柄が好ましい。写真も凡庸に見えますが、実は結構神経使っていて、人物の顔が映ってないのも技がありますね。俳句と写真のディテールが、ものすごく繊細でありながら無理なく非常にすんなりと入ってきます。

 
※文部科学大臣賞~一般の部B大賞作品選評 最終審査員 安西篤さん
※英語俳句の部大賞作品(選評・直訳) 最終審査員 星野恒彦さん
※新俳句フォトの部大賞作品選評 最終審査員 浅井愼平さん

※各受賞者の年齢はすべて応募時のものです。

 

第三十三回伊藤園お~いお茶新俳句大賞 概要

■応募部門(7部門)
◎日本語俳句:「小学生の部(幼児含む)」、「中学生の部」、「高校生の部」、「一般の部A(40歳未満)」、「一般の部B(40歳以上)」
◎英語俳句:「英語俳句の部」
◎その他:「新俳句フォトの部」

■賞・賞品(「新俳句フォトの部」以外)
<入賞>
◎文部科学大臣賞 日本語俳句より1名(賞金50万円と副賞)
◎金子兜太賞: 日本語俳句より1名(賞金20万円と副賞)
◎大賞: 各部門より1名(賞金20万円と副賞)
その他、佳作特別賞までの合計2,000名の作品を「お~いお茶」パッケージに掲載
<入選>
部門問わず佳作の5,000名に、入賞入選者7,000名の作品が掲載された作品集『自由語り』を進呈

■賞・賞品(「新俳句フォトの部」)
◎大賞 :1名(賞金20万円と副賞)
◎優秀賞:3名(賞金5万円と副賞)

■主催:伊藤園新俳句大賞実行委員会

■審査員(50音順、敬称略)
◎日本語俳句:浅井愼平(写真家)、安西篤(俳人)、いとうせいこう(作家・クリエイター)、金田一秀穂(日本語学者)、黒田杏子(俳人)、夏井いつき(俳人)、宮部みゆき(作家)、村治佳織(ギタリスト)、吉行和子(女優)
◎英語俳句 :アーサー・ビナード(詩人)、星野恒彦(俳人)
◎新俳句フォト:浅井愼平(写真家)

 

伊藤園お~いお茶新俳句大賞について

「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」は、感じたことや思ったことを、季語や定型にこだわることなく、五・七・五のリズムにのせてのびのびと表現してもらい、どなたでも自由な発想で応募できるコンテストととして1989年(平成元年)からスタートしました。

 
第一回に41,373句であった応募作品数は、今回で累計応募総数が約4,165万句になりました。

最近では、俳句を取り上げたテレビ番組が人気になるなど、これまで俳句との接点が少なかった中高生や、若い世代の俳句への関心が高まっているほか、教育現場でも日本文化の継承として俳句創作が定着しつつあります。第三十三回は、国内の小学校1,042校、中学校974校、高校1,123校、海外団体合わせて3,173校から応募がありました。ちなみに、全国の高校のうち、4校に1校程度の学校が新俳句大賞に取り組んでいることになります。

 
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