【第10回河野裕子短歌賞】兵庫・広瀬さん、兵庫・鈴木さんらが入賞
産経新聞社は、2010年に亡くなった歌人・河野裕子さんを顕彰する「第10回記念~家族を歌う~河野裕子短歌賞」の入賞作品を発表しました。
全国から寄せられた9337首の中から入賞作品が決定!
今回、《家族の歌・愛の歌》《自由題》と中高生向けの《青春の歌》の3部門に9337首が寄せられました。
最優秀の河野裕子賞には、兵庫県川西市の広瀬明子さんの「みたり子は妻を迎へてわが家族増えたるやうな減りたるやうな」など4首に決定しました。
選者は、河野さんの夫で歌人の永田和宏さん、漫画家・声楽家の池田理代子さん、歌人の俵万智さん。《青春の歌》は歌人・エッセイストの東直子さん、河野さんの長男で歌人の永田淳さんが務めました。
本短歌賞は今回で終了となり、第1回からの全作品を通じたグランプリ賞2首も選ばれました。なお、全10回の河野裕子短歌賞には、総計で12万9119首の作品が延べ7万9328人の投稿者から寄せられています。
各部門大賞の河野裕子賞、および全10回のグランプリ作品は次の通りです。(《家族の歌・愛の歌》の河野裕子賞はダブル受賞。年齢は2月21日現在)。
<第10回河野裕子短歌賞 入賞作品>
■河野裕子賞〈家族の歌・愛の歌〉
◎兵庫県川西市 広瀬明子さん(69)
「みたり子は妻を迎へてわが家族増えたるやうな減りたるやうな」
◎兵庫県高砂市 鈴木裕子さん(58)
「「さ」のしっぽ突然生えるちほちゃんさあのさそれでさ公園行ってさ」
■河野裕子賞〈自由題〉
和歌山市 松田容典さん(84)
「仁王門阿形の鼻孔に泥蜂が巣を作りいて繁く出入りす」
■河野裕子賞〈青春の歌〉
東京都立桜修館中等教育学校 小林杏珠さん(13)
「重要じゃないけど君と見たところ理科便覧の黄色い付箋」
<一般部門 グランプリ>
岐阜県揖斐郡池田町 太田宣子さん(50)
「雨上がり世界を語るきみとゐてつづきは家族になつて聞かうか」
(第1回 河野裕子賞 恋の歌・愛の歌)
<青春の歌 グランプリ>
鳥取県立鳥取東高校(当時) 石名萌さん(19)
「干からびたカエルをよけてすすみゆくばいばい、わたしは夏をのりきる」
(第7回 河野裕子賞 青春の歌)
※このほかの入賞・入選作品については、公式Webページ( https://www.eventscramble.jp/e/kawano )をご覧ください。
河野裕子短歌賞について
「河野裕子短歌賞」は、京都女子大学在学中の1969年に、戦後生まれの女性歌人として初めて角川短歌賞を受賞し、戦後女性歌壇をリードした歌人、河野裕子(こうの・ゆうこ)さん(1946~2010)を顕彰する公募短歌大会です。
河野さんと河野さんの夫で歌人の永田和宏さん、長男の淳さん、長女の紅さんの家族リレーエッセー「お茶にしようよ」を連載していた産経新聞社と、河野さんの母校・京都女子大学が共催(最終となる第10回は産経新聞社が単独主催)。
家族や愛する人、恋心を題材にした「家族の歌・愛の歌」、主題を限定しない「自由題」、中高生対象の「青春の歌」の3部門で構成されています。
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