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日本で1番売れている絵本『いないいないばあ』が700万部を突破! 刊行から53年、4世代にわたって読みつがれる絵本の魅力とは?

『いないいないばあ』(松谷みよ子さん・ぶん 瀬川康男さん・え)

『いないいないばあ』(松谷みよ子さん・ぶん 瀬川康男さん・え)

童心社が発行する日本で1番売れている絵本『いないいないばあ』(文:松谷みよ子さん/絵:瀬川康男さん)が11月24日付の重版で累計出版部数700万部を突破しました。

 
今回、あかちゃんが実際に絵本を楽しんでいるWEBムービー「700万の、あかちゃんの笑顔のひみつ」を製作。京都大学大学院教育学研究科・明和(みょうわ)政子教授があかちゃんの笑顔のひみつについて解説しています。

また、自分だけのオリジナル帯をサイト上で作り、応募した方の中から抽選でオリジナル帯をかけた『いないいないばあ』をプレゼントするキャンペーンも近日スタート予定です。

 

『いないいないばあ』が累計出版部数700万部を突破

童心社は、紙芝居の出版社として1957年に創立し、絵本、児童書と出版活動を広げ多くの作品を出版してきました。その中で、日本で1番売れている絵本(トーハン「ミリオンぶっく2020」調べ)、『いないいないばあ』も誕生しました。

 
『いないいないばあ』制作当時、いわゆるあかちゃん向けの絵本は、書店の店頭絵本塔に並べられている合紙絵本が主流でした。

「赤ちゃんに精神が芽生えはじめたこの時期に、(中略)美しい日本語を伝えたいし、よい絵本で育てたい。」(すばる書房盛光社刊『絵本』1974年10月号より)と考えていた『いないいないばあ』の著者・松谷みよ子は2人目の子どもを身ごもったとき、自らあかちゃん絵本を作ろうという思いを強くします。

 
松谷さんと親交があり、同じ思いをもつ母でもあった童心社初代編集長の稲庭(いなにわ)桂子さんは、「0歳からの絵本をつくりたいの。0歳からの文学があると思うの」(『子どもを見つめて 稲庭桂子遺稿集』<1977年10月24日>より)と松谷さんに依頼し、制作がはじまりました。

その後、画家の瀬川康男さん、当時絵本を手がけることは珍しかったブックデザイナー辻村益朗さんとともに試行錯誤を重ね、『いないいないばあ』は日本初の本格的なあかちゃん絵本として誕生しました。

 
1967年の発売当初より多くの読者から「あかちゃんがほんとうに笑うんです。」とうれしい声が寄せられ、半世紀以上が経ちました。今でもなおあかちゃんがはじめて出会う一冊として、世代を超えて読みつがれ、そして2020年11月24日付の重版で、339刷、累計出版部数700万部を突破しました。

 
「いない いない ばあ」と語りかけて一緒に楽しむことで、あかちゃんも大人も笑顔になり、心の交流を通じて親子の信頼を深めるきっかけになります。そんな読者の体験が口コミとなって広がり、支持され続けてきた絵本です。

 

『いないいないばあ』でうまれるあかちゃんの笑顔のひみつとは?

刊行以来、家庭や保育の場などさまざまな場面で読まれ、あかちゃんに笑顔を届けてきた『いないいないばあ』。

今回、乳幼児期の脳と心の発達が専門の京都大学大学院教育学研究科・明和政子教授が、あかちゃんの笑顔のひみつや読み聞かせのポイントについて解説しています。

(以下、明和政子教授のコメント)

 
ポイント(1) 笑顔は“予測”から? あかちゃんを魅了する展開と本づくり

『いないいないばあ』は誰もが知っている遊びを絵本にした、非常にシンプルなつくりになっていますが、なぜあかちゃんは笑うのでしょうか。そこにはあかちゃんの脳の発達、特に “予測する能力” の発達が深く関わっています。生後9ヶ月くらいになると、いわゆる「人見知り期」に入りますが、これは予測する能力が発達してきた証拠です。いつも聞いている親の声で「ばあ」という声を聞きながらページをめくる経験を積み重ねると、あかちゃんは「次に何が起こるか」を脳内で予測するようになります。予測のとおりになると、不安から安心へと気持ちが変化し、あかちゃんは笑います。

 
言い換えると、予測できない場面に直面するとあかちゃんは人見知りや場所見知りを示します。見知らぬ誰かが、 “いないいないばあ”をやっても、あかちゃんは最初は笑わないでしょう。なぜならこの時期のあかちゃんにとって、いつもとは違う誰かからの働きかけは予測が難しいからです。しかし、知らない人と『いないいないばあ』を読んで、その経験を積み重ねていくことでその人の声や表情が絵本と結びついて記憶されていきます。

 
『いないいないばあ』の特徴のひとつは、絵本のキャラクターの白目と黒目のコントラストがはっきりしていることにあります。生まれたばかりのあかちゃんでも、白目と黒目のコントラストに反射的に注意を向けることが知られています。あかちゃんは「ばあ」のページで、とくに目に注意を向けているはずです。

 
また『いないいないばあ』は、日常生活の中に溶け込むようなやわらかく温かいタッチ、色刺激が強すぎない日常場面で目にする質感に近い色彩で描かれていることも、あかちゃんが顔に注意を向けやすい一因になっていると思います。

ポイント(2) 気持ちのいい感覚がわきたつ! 絵本を楽しむ中でうまれるスキンシップ

親は読み聞かせと同時に、あかちゃんの手を触ってあげたり、ぎゅっと抱きしめてあげたりと、スキンシップをしています。ヒトを含むほ乳類動物は、スキンシップによって子どもだけでなく親の側にも「心地よい感覚」をわきたたせる身体の仕組みをもっています。身体を優しく接触させることで、オキシトシンという内分泌ホルモンが脳内から分泌されるからです。脳が最も発達する乳児期に親との身体接触の機会を豊かにもつ、つまり幼少期からコミュニケーションに対して心地よさを感じる経験は、将来親以外の他者との安定した対人関係を築くための土台となります。

ポイント(3) 今こそ大切! 絵本を読みあう時間は親子ともに笑顔になる最高の場面――家族にとってのファーストブック

『いないいないばあ』を読むことで、あかちゃんには笑顔がうまれます。一方で親にとって育児は手応えを感じづらく、自分がやっていることはあかちゃんにとって良いことなのかと不安に感じることが多いのではないでしょうか。日常の育児場面であかちゃんと絵本を読みあうことは、「自分があかちゃんに対してやっていることは間違っていない。喜んでくれている。」という自信、つまり”育児効力感”を高めることにつながります。親子がともに笑顔になれる最高の場面です。

 
昨今の新型コロナウイルスの影響によって変化する日常があかちゃんの脳と心の発達にもたらしうるリスクについても危機感を持っています。ヒトは顔らしい刺激に特化して活動する神経細胞をもっていますが、それを働かせるには、日常場面で多様に「動く」顔(喜怒哀楽といった表情)をたくさん見る経験が不可欠です。豊かな表情で声かけを行いながら、絵本を読む中で積極的にコミュニケーションをはかっていただきたい。マスク着用で口の動きが覆い隠されることが当たり前となりつつある今だからこそ、あかちゃんにとってそうした機会が重要となるでしょう。

<京都大学大学院教育学研究科・明和政子教授 プロフィール>

京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。京都大学霊長類研究所研究員、京都大学大学院教育学研究科准教授などを経て、現在、同教授。日本学術会議連携会員。ヒトとヒト以外の霊長類を胎児期から比較し、ヒト特有の脳と心の発達とその生物学的基盤を明らかにする「比較認知発達科学」という分野を世界にさきがけて開拓した。単著に『まねが育むヒトの心』(岩波書店)、『ヒトの発達の謎を解く―胎児期から人類の未来まで』(筑摩書房)など。2016年放送のNHKスペシャル2編『ママたちが非常事態? 最新科学で迫るニッポンの子育て1・2』,2017年放送の『ニッポンの家族が非常事態!?~第1集 わが子がキレる本当のワケ~』等の監修・出演により、現代社会が抱える子育てにかんする様々な問題を、最新の科学的知見から理解する活動にも力を注いでいる。

 
~あかちゃんが『いないいないばあ』を楽しむ様子をおさめたWEBムービーが公開~

実際に『いないいないばあ』の読み聞かせを行っている親子の映像を見ながら、明和政子教授があかちゃんの笑顔のひみつや読み聞かせについてコメントするWEBムービーが公開中です。

 
◆「700万の、あかちゃんの笑顔のひみつ」

 

700万部突破記念特設サイトが近日オープン! 著名人らによる作品へのメッセージも公開

700万部突破を記念した特設サイトでは、700人の著名人や、書店員、図書館関係者、読者の方たちなど様々な立場の方からのメッセージを紹介します。

また、自分だけのオリジナル帯を画面上で作り、応募した方の中から抽選で200名に、その帯をかけた『いないいないばあ』をプレゼントするキャンペーンも、近日スタート予定です。

 

いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本)
松谷 みよ子 (著), 瀬川 康男 (イラスト)

「あかちゃんがほんとうに笑うんです。」1967年、発売当初より多くの読者からいただくうれしい声。「あかちゃんだからこそ美しい日本語と最高の絵を」の想いから、日本初の本格的なあかちゃん絵本として誕生して半世紀、あかちゃんがはじめて出会う一冊として、世代を越えて読みつがれています。
いないいない、ばあ。にゃあにゃが、くまちゃんが、ほらね、いないいない…。 母と子の伝承あそびをはじめて絵本の形に再創造。

 
【関連】
松谷みよ子あかちゃんの本 – 童心社

 


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