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明治の隠れた偉人・西周の関連書籍が堀之内出版、慶應義塾大学出版会より9月同時刊行!

西周

西周

明治の隠れた偉人、西周(にし・あまね)の入門書『西周と「哲学」の誕生』(著:石井雅巳さん/堀之内出版)と、現代語訳『西周 現代語訳セレクション』(監訳:菅原光さん/慶應義塾大学出版会)が、9月に同時刊行されました。

 

「日本における哲学の父」西周の多面性と業績の意義を再検討

西周は、幕末から明治維新にかけて活躍した思想家であり、「日本における哲学の父」として知られています。しかし、彼が哲学のみならず、法学や日本語学、軍事や政治など様々な領域で活躍したことはあまり知られていないようです。

2つの出版社から刊行される入門書と現代語訳によって、西周の多面性や彼の業績の意義を再検討することは、日本の近代化やその基盤の上に立つ現代日本を新たな角度から見つめ直すきっかけになるはずです。

 
近代日本の基礎が形成された明治期に着目する場合、新たなリーダーとして活躍した政治家や、知識人としては慶應義塾を創設した福澤諭吉などが注目されがちです。

しかし、彼らと同時代を生き、ともに仕事をしていた西周は、官僚的な地位にいたこともあって、その後の日本に与えた影響は大きいものの、これまで広く喧伝されることはありませんでした。

 
西周の出身地である津和野(現在の津和野町、当時の津和野藩)に哲学研究者である石井雅巳さんが地域おこし協力隊として着任し、西周に着目したことから、西周の功績に再び着目するプロジェクトが始動しました。

現在、津和野町主催の西周賞(2018年第一回実施、2019年第二回募集中)の創設、西周の全集刊行プロジェクトの進行とともに、石井雅巳さんによる入門書が堀之内出版より、西周研究の第一人者である菅原光さんの監訳による現代語訳が慶應義塾大学出版会より刊行されることとなりました。

 
今回同時刊行される入門書と現代語訳は、どちらも最新の研究成果を踏まえて西周の功績を分かりやすく伝えるものです。

激動の時代を生き抜いた稀代の思想家・西周の知的格闘を知ることは、明治期の日本を再考することに寄与し、様々な危機が語られる現代の日本をこれまでとはちがった視点から眺めるヒントを与えてくれるでしょう。

 

西周とは

西周(にし・あまね)は、1829(文政12)年-1897(明治30)年。津和野藩御典医の家系に生まれる。幼名は経太郎。

藩校養老館で学ぶも、洋学を志し脱藩。その後津田真道らとオランダへの留学を経て、徳川慶喜の側近になる。大政奉還後は、沼津兵学校の頭取を務めるが、新政府への出仕を命じられ、官僚として近代軍制の整備にあたった。 他方で、福澤諭吉や森有礼らとともに明六社に参加し、思想家としても活躍。「哲学」をはじめとして、多くの学術用語を翻訳したことで知られる。東京学士会院会長、元老院議官、貴族院議員等を歴任。

主な著作に『百一新論』、「人世三宝説」。訳書に『万国公法』、『利学』など。

 

『西周と「哲学」の誕生』(著:石井雅巳さん)について

現在の島根県津和野町出身の思想家、西周(にし・あまね:1829- 1897年)。幕末から明治にかけて活躍し「哲学」という訳語を生み出したことで知られていますが、そんな西周とはいったいどんな人物だったのでしょうか。

しかし、この問いに一言で答えるのはなかなか困難です。というのも、西周は、ある時は幕府の重役にして日本初の憲法案の提出者であり、またある時は日本における哲学の父、あるいは明治政府の官僚にして悪名高い「軍人勅諭」の起草者であり、さらには教育者や政治家の顔までもった百面相的な人物であったからです。

本書は、翻訳論・日本語論・軍事論の三つをテーマに選び、多岐にわたる西周の思想や実践をコンパクトに紹介した入門書です。西周を「名前は知っているあの人」から、現実と格闘しつつ言葉に寄り添い思索し続けた者として、あるいは激動の時代を生き抜いた悩める先駆者としてその魅力を改めて知ることのできる一冊となっています。

 
<目次>

第一章 西周と「哲学」の舞台裏
第二章 新しい「日本語」を求めて
第三章 秩序の生成へ

<著者・石井雅巳(いしい・まさみ)さん プロフィール>

1990年生まれ。島根県津和野町役場町長付(地域おこし協力隊)を経て、慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程在籍。専門は哲学(レヴィナス、西周)。NPO法人bootopia副代表理事。

共訳書にグレアム・ハーマン『四方対象』(人文書院、2017年)。主要論文に「『全体性と無限』における享受論の実在論的読解――レヴィナスはいかなる意味で現象学的か」(『フッサール研究』第13号、2016年)、「翻訳と日本語―西周の言語哲学―」(『北東アジア研究』第29号、2018年)など。

 

『西周 現代語訳セレクション』(監訳:菅原光さん、訳:相原耕作さん・島田英明さん、企画・構成:石井雅巳さん)について

「日本における哲学の父」西周が残した多くの著作のうち、とくに哲学との関連が深い論考を精選。“philosophy”を「哲学」と訳した最初の文献である「百一新論」、根を同じくする政治と宗教とが西欧においてどのように分かれていったのかを説く「教門論」など、先駆的かつ現在にも通じる著作を、読みやすい日本語で現代によみがえらせました。

 
<目次>

第一章 徂徠学に対する志向を述べた文
第二章 某氏に復するの書
第三章 百一新論
第四章 洋字を以て国語を書するの論
第五章 教門論
第六章 人世三宝説

 
監訳者等プロフィール

■監訳:菅原光(すがわら・ひかる)さん
1975年生まれ。立教大学法学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専修大学法学部教授。博士(学術)。専門は日本政治思想史。著書に『西周の政治思想――規律・功利・信』(ぺりかん社、2009年)など。

■訳:相原耕作(あいはら・こうさく)さん
明治大学政治経済学部専任講師。

■島田英明(しまだ・ひであき)さん
九州大学法学部准教授。

企画・構成:石井雅巳(いしい・まさみ)さん
慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程在籍。

 

西周と「哲学」の誕生
石井 雅巳 (著)

現在の島根県津和野町出身の思想家、西周(にし・あまね:1829- 1897年)。幕末から明治にかけて活躍し「哲学」という訳語を生み出したことで知られていますが、そんな西周とはいったいどんな人物だったのでしょうか。しかし、この問いに一言で答えるのはなかなか困難です。というのも、西周は、ある時は幕府の重役にして日本初の憲法案の提出者であり、またある時は日本における哲学の父、あるいは明治政府の官僚にして悪名高い「軍人勅諭」の起草者であり、さらには教育者や政治家の顔までもった百面相的な人物であったからです。 本書は、翻訳論・日本語論・軍事論の三つをテーマに選び、多岐にわたる西周の思想や実践をコンパクトに紹介した入門書です。西周を「名前は知っているあの人」から、現実と格闘しつつ言葉に寄り添い思索し続けた者として、あるいは激動の時代を生き抜いた悩める先駆者として新たに甦らせる一冊となっています。

西周 現代語訳セレクション
西 周 (著), 石井 雅巳 (その他), 菅原 光 (翻訳), 相原 耕作 (翻訳), 島田 英明 (翻訳)

▼「日本における哲学の父」西周の著作のうち、哲学に関する文章を現代語訳で紹介。
▼収録された6つの論考から、言語や文体をめぐる西の知的格闘のドラマが浮かび上がってくる。

“philosophy”の訳語に「哲学」をあてたことや、日本最初の近代的学術団体・明六社の中心人物として知られる明治期の思想家・西周(にしあまね、1829~97)。
本書は、“philosophy”を「哲学」と訳した最初の文献である「百一新論」、根を同じくする政治と宗教とが西欧においてどのように分かれていったのかを説く「教門論」など、先駆的かつ現在にも通じる著作を、読みやすい日本語で現代によみがえらせる。

 


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