魚住陽子さん遺稿掌編小説集『野の骨を拾う日々の始まり』が刊行
故・魚住陽子さんの遺稿掌編小説集『野の骨を拾う日々の始まり』が駒草出版より刊行されました。
遺された未刊行小説、最後の書籍化
1951年に埼玉で生まれた魚住陽子さんは書店や出版社に勤務するかたわら同人誌に詩を発表、カルチャースクールで小説を学び、35歳の時に作家デビュー。1989年には「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞を受賞し、その他芥川賞をはじめとする文学賞へも幾度となくノミネートされました。
しかし腎臓の病を患い、残念ながら2021年8月、69歳でその生涯の幕を閉じましたが、その独自の世界観は多くの読者を魅了し、今なお根強い人気を獲得しています。
【魚住陽子文学の情熱と気品と静けさが堪能できる短編集】
本書には、芥川賞候補作「静かな家」の発表と同時期の1987年から1992年に書かれた小説とエッセイを中心に収録。詩から散文へと表現方法を転換していく、若き日の魚住陽子さんの瑞々しい感性が光ります。
『夢の家』を皮切りに、『坂を下りてくる人』『半貴石の女たち』『五月の迷子』と続いた、加藤閑さん編纂による魚住陽子さんの未刊行小説を書籍化する試みもこれで最後となります。埋もれさせてしまうには、あまりに惜しい作品をご堪能ください。
『野の骨を拾う日々の始まり』収録作品
<小説>
草の海
チョコレート夜話
花火の前
煮干のごろん
野の骨を拾う日々の始まり
草の種族
川原
鵙日和
<エッセイ>
恍惚として乾酪黴びたり
文学周辺を遠く離れた読書について
思いつめる日々
<付録>
詩編「草の種族」
同人誌時代の作品について 三浦美恵子
あとがき 加藤 閑
著者プロフィール
魚住陽子(うおずみ・ようこ)さんは、1951年生まれ、埼玉県出身。埼玉県立小川高校卒業後、書店や出版社勤務を経て作家に。1989年「静かな家」で第101回芥川賞候補。1990年「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞を受賞。1991年「別々の皿」で第105回芥川賞候補など。
2000年頃から俳句を作り、『俳壇』などに作品を発表。2004年の腎臓移植後、2006年に個人誌『花眼』を発行。
著書に『奇術師の家』(朝日新聞社)、『雪の絵』『公園』『動く箱』(ともに新潮社)、『水の出会う場所』『菜飯屋春秋』、短編集『夢の家』、個人誌「花眼(ホゥエン)」からの短編集『坂を下りてくる人』、未発表長編小説『半貴石の女たち』、遺稿掌編小説集『五月の迷子』(ともに駒草出版)がある。2021年8月に腎不全のため死去。
![]() | 野の骨を拾う日々の始まり 魚住 陽子 (著) 芥川賞候補作「静かな家」の発表と同時期の1987年から1992年に書かれた小説とエッセイを中心に収録。詩から散文へと表現方法を転換していく、若き日の魚住陽子の瑞々しい感性が光る。 |
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