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女子高生の恋バナ相手は70代のおじいさん――大前粟生さん『かもめジムの恋愛』が刊行

世代や性別を超えて、交わるはずのなかった人たちの人生が交差する群像小説、大前粟生さん著『かもめジムの恋愛』が小学館より刊行されました。

 

経営難のジムで生まれる、不器用な恋と友情の物語

 
【あらすじ】

北鴎町にある「かもめジム」はバブル期に建てられた7階建ての大型ジム。今では利用客が減り、経営難が続く一方で、会員の8割を締める高齢者たちの出会いの場となっていた。

ジムの受付でアルバイトをする17歳の柏夢は、70代男性・西原さんから会員の三田園さんという男性が好きだと相談を受ける。「恋なんてオレの人生でこれが最後」という西原さんを応援する夢も、次第に自身の恋を打ち明けはじめ、共通の悩みである“恋愛”を通して56歳差の友情が始まるが!?

30代半ばで結婚に焦りながらも推し活に勤しむサオリさん。会員になる気ゼロでも毎日愚痴を吐きに来るおばあさん・橋本さん。アイドルをやめてボディビル選手を目指すかえちゃん。憧れの先輩を追って野球部を辞め、吹奏楽部に入った道重くん……。
世代や性別を超えて、交わるはずのなかった人たちの人生が交差する群像小説。

 
<編集担当からのコメント>

『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(河出書房新社)や『きみだからさびしい』(文藝春秋)など話題作を次々に発表してきた気鋭の作家・大前粟生さん。本作で描かれる世代も性別もバラバラな人たちの交流を通し、他人のために本気で泣いたり、心配したり、がむしゃらに何かを伝えたり、そういう事が「やさしさ」なのかもしないと、何度もハッとさせられました。気づかぬうちに線引きしている自分の“世界”から一歩踏み出したくなる一作です。何気ないセリフや行動に思わず笑ってしまうシーンも満載なので、ぜひ最後までお楽しみください!

 

著者プロフィール

大前粟生(おおまえ・あお)さんは、1992年11月28日生まれ、兵庫県出身。2016年に短編「彼女をバスタブにいれて燃やす」でデビュー。2020年に刊行した『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』が金子由里奈監督により映画化、2021年『おもろい以外いらんねん』で織田作之助賞最終候補。

ほかの著書に『回転草』『きみだからさびしい』『死んでいる私と、私みたいな人たちの声』、初の児童書『まるみちゃんとうさぎくん』(装画・挿絵:板垣巴留さん)『チワワ・シンドローム』『ピン芸人、高崎犬彦』短編「まぶしさと悪意」収録のアンソロジー『噓があふれた世界で』など。

 

かもめジムの恋愛
大前 粟生 (著)

 
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