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俳人・小津夜景さんエッセイ『いつかたこぶねになる日』が刊行

俳人・小津夜景さんのエッセイ集『いつかたこぶねになる日』が新潮文庫より刊行されました。

 

詩は短くて、切実で、愉快な友――。

世界を愛することと、世界から解放されること――。詩はこのふたつの矛盾した願いを叶えてくれる。

本書は、南フランス・ニースにくらす俳人のしなやかな言葉に導かれて、世界をより広く、眩しく感じることのできる一冊。著者は、海を空を眺めながら古今東西の先人たちの詩(うた)を日々の暮らしに織り交ぜて、新たなイメージの扉をしなやかに開いていきます、

杜甫、白居易、夏目漱石、徐志摩らの漢詩を優しく手繰り寄せて翻訳し、いつもの風景にあざやかな色彩を与える、全31編のエッセイ集です。

よるはてとてを つなぎあい
あなたとあそぶ ゆめをみた
あさにめざめて はんかちで
ふけどなみだは とまらない
(げんしんのゆめ/白居易)―――「あなたとあそぶゆめをみた」

わんたんをつくったら
いつにもましておいしくできた
肉餡に春の韮がとけ
噛むとふくよかな香りがひろがる
(わんたんスープ/楊静亭)―――「スープの味わい」

からっぽの中につかのま僕はいて
なおかつ存在によいもわるいもない
ちっぽけな自分をからっぽにゆだね
風の吹くままに生きてゆこう
(僕はどこから来たのか/良寛)―――「紙ヒコーキの乗り方」

 

著者プロフィール

小津夜景(おづ・やけい)さんは、俳人。1973年生まれ、北海道出身。2000年よりフランス在住。

2013年「出アバラヤ記」で攝津幸彦記念賞準賞、2017年に句集『フラワーズ・カンフー』で田中裕明賞を受賞。

著書に句集『花と夜盗』、エッセイ集『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者・須藤岳史さんとの共著『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』など。

 

いつかたこぶねになる日 (新潮文庫)
小津 夜景 (著)

南フランスにくらす俳人のしなやかな言葉に導かれて、世界をより広く、眩しく感じることのできる一冊。杜甫、白居易、夏目漱石、徐志摩…古今東西の先人たちの言葉とわたしたちの日常がつながる31編。漢詩とエッセイ、ふたつの様式の響き合いが、いつもの風景にあざやかな色彩を与える、まったく新しい作品集。

 
【関連】
試し読み | 小津夜景 『いつかたこぶねになる日』 | 新潮社

 


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