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越境する欧羅巴文学――「ヨーロッパ文芸フェスティバル2019」開催 日欧の作家が意見交換、参加者との交流も

「ヨーロッパ文芸フェスティバル2019」開催

「ヨーロッパ文芸フェスティバル2019」開催

駐日欧州連合(EU)代表部、在日EU加盟国大使館およびEUNIC Japan(在日EU加盟国文化機関)は、11月2日~11月4日の3日間、盛況を博したこれまでの2回の開催に続き、欧州の文芸界の現状を直接知ることのできる機会を提供する「ヨーロッパ文芸フェスティバル」を東京で開催します。

ヨーロッパ各国の作家や翻訳者が日本の識者と共に朗読やレクチャー、対談、パネルディスカッションに参加。さまざまなイベントを通じて注目のヨーロッパ人作家や作品を紹介します。

 

共通テーマは「越境する欧羅巴文学」

本年の文芸フェスティバルでは、「越境する欧羅巴文学」という共通テーマの下、15のEU加盟国の作家および専門家が登壇します。また、同フェスティバルには、芥川賞受賞者を含む著名な日本人作家も参加します。

さらに、本年はグラフィックノベルを紹介するセッションを設け、この作品ジャンルを称えます。

 
3日間のフェスティバル期間中、欧州の作家たちは、日本の識者と共に欧州文学をさまざまな視点から考察するレクチャーや対談、パネルディスカッションに参加します。

 
<「ヨーロッパ文芸フェスティバル2019」 開催概要>

■日程:2019年11月2日~11月4日

■会場:インスティトゥト・セルバンテス東京、イタリア文化会館、駐日EU代表部

★詳細:https://eulitfest.jp/

 

イベント概要

 
<DAY1>11月2日(土)

■ヨナス・ヨナソン「ヨーロッパの外へ、そして中へ」

ヨナス・ヨナソンさんが2009年に発表した『窓から逃げた100歳老人』(西村書店)は、故郷を飛び出した高齢者が世界を変えるという諷刺小説でした。続篇『世界を救う100 歳老人』(西村書店、2019 年)では、国際政治の中で揺れる欧州が描かれます。ヨナソンが見る欧州とは、そして世界とは? ヨナソンの小説に強い関心を寄せてきた杉江松恋さんが、作家本人から聞き出します。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day1-1/

 
■北欧から日本へ――翻訳者パネルディスカッション

北欧のさまざまなジャンルの本と日々向き合い、試行錯誤を重ねている翻訳者たちが、北欧各国の言語の翻訳に携わろうと考えたきっかけ、北欧文学を日本語に翻訳することの意義、その楽しさ、難しさ、今後の課題などについて、ざっくばらんに語ります。北欧文学の最新トレンドも紹介します。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day1-2/

 
■日本語で読むヨーロッパの最新グラフィックノベル

2016年11月にデンマークで出版されて以来、アメリカ、ヨーロッパ、韓国など世界17の国や地域で翻訳され、数々の賞を受賞した『ゼノビア』(日本語版はクラウドファンディングによりサウザンブックス社刊)のモーテン・デュアーさん、アムステルダムのゴッホ美術館からの依頼で制作され、ゴッホの晩年3年をモチーフにし、世界中20カ国以上で刊行されるベストセラーとなっている『ゴッホ 最後の3年』(花伝社)のバーバラ・ストックさんが、それぞれの作品を紹介します。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day1-3/

 
■パネルディスカッション:Breaking Walls, Building Bridges

二極体制の終焉をもたらしたベルリンの壁の崩壊から30年。以来、国としてのアイデンティティやイメージは大きく変化し、新たな局面を迎えているにもかかわらず、こうした変化による影響の全貌を、私たちはまだ捉えきれていません。国境を越えることは、物理的な壁のみならず、人々の心の壁、価値観や態度の違いを超えることでもあります。こうした変化は、ヨーロッパの作家たちが生み出す作品にどのように関与しているのか? 旧体制の崩壊によって約束された自由は達成されたのだろうか? ドイツ、チェコ、イタリア、ポルトガル、ベルギーの5カ国の作家たちが壁崩壊から30年後のヨーロッパ、そこに寄せる希望と不安を語ります。司会は芥川賞作家の小野正嗣さん。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day1-4/

 
<DAY2>11月3日(日)

■世界の記憶としての杉原千畝の功績を語り継ぐ

第二次世界大戦中「命のビザ」を発行し、6,000人以上のユダヤ人戦争難民の命を救った外交官、杉原千畝について、15年以上の年月を費やしてリトアニア、ポーランド、日本で調査を重ねてきたシモナス・ストレルツォヴァスさんが、杉原を扱った最新作(英題:The Good, the Bad, and the Miserable 、2020年に日本語訳刊行予定)に基づいてディスカッションを行います。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day2-1/

 
■イルゼ・アイヒンガー『映画と災厄』翻訳出版記念トーク ~半ユダヤ人として、女として、双子として~

オーストリアを代表する女性作家イルゼ・アイヒンガーさん(1921-2016)の自伝的エッセイ『映画と災厄』の日本語訳の出版を記念してドイツ語圏文学者3名がトーク。アイヒンガーさんの人物や作品の特徴について、作中で描かれるウィーンという場について、他のオーストリアの(女性)作家たちとの関係や、オーストリア文学における位置づけについてなど、アイヒンガーとその作品を様々な角度から語る。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day2-2/

 
■朗読&トーク:ヘレナ・ヤネチェク&多和田葉子「母国語の多様性」

日本初の21世紀イタリア短篇集『どこか、安心できる場所で ― 新しいイタリアの文学』(国書刊行会、2019年10月発売)の邦訳出版を記念し、同作品に短篇小説 Trieste in love(恋するトリエステ)が収録されているヘレナ・ヤネチェクさんと、1982年よりドイツに住み、日本語・ドイツ語両言語で作品を手がけ、国内外で多くの文学賞を受賞している多和田葉子さんが対談します。聞き手は Trieste in love を翻訳したイタリア現代文学研究者の橋本勝雄さん。両作家による朗読も予定しています。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day2-3/

 
■朗読&トーク:トーマス・ブルスィヒ「東西統一とその後」

壁の崩壊とそれに伴う東西ドイツ統一について、ときに真摯に、ときに諷刺をこめて、旧東ドイツの生活を描いてきた作家のトーマス・ブルスィヒさんを迎え朗読と対談を行います。朗読では小説 Wie es leuchtetを取り上げ、続く対談では、ブルスィヒ作品の翻訳者でもある粂川麻里生さん(慶応義塾大学教授)が対談相手を務め、すでに失われた旧東ドイツを文学において回顧的に描くことについて、また作品の中のスポーツの位置づけについて考察します。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day2-4/

 
■朗読&トーク:サラ・ボーム「文化と自然を翻訳する」

作家およびビジュアル・アーティストとして活躍するサラ・ボームさんの処女長編『きみがぼくを見つける』(ポプラ社、2016年)は高い評価を受け、各国語に翻訳されました。翻訳者の質問に答えるという経験を通して翻訳という行為に興味を持った作家が、翻訳とは何か、文化や自然をどのように翻訳するのか、『きみがぼくを見つける』の日本語訳を手がけた加藤洋子さんと語り合います。作品からの朗読も予定しています。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day2-5/

 
<DAY3>11月4日(月)

■朗読&トーク:パヴェル・ブリッチ

現代チェコ文学を代表するパヴェル・ブリッチさんが、北ボヘミアの町モスト(「橋」の意味)を舞台にした『私の失われた町』、『夜な夜な天使は舞い降りる』(東宣出版、2012年)について、翻訳者の阿部賢一さんとともにディスカッションを行ないます。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day3-1/

 
■日本語で読めるハンガリー、ポーランド文学の最新事情

『ヴォブルン風オムレツ コストラーニ・デジェー短篇集』(未知谷、2018年)に続くコストラーニ・デジェーさんの邦訳第2弾の刊行に合わせ、訳者の岡本真理さんが作家の生まれ育った環境や風土、文化的背景などを紹介します。これを受け、ポーランド文学・スラヴ文学を専門とする沼野充義さんが、最近翻訳されて読めるようになったポーランドの文学作品を紹介しながら、文芸翻訳の最新事情などについて語り合います。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day3-2/

 
■世界で活躍するヨーロッパの作家たち

◎第1部:スペイン、ポルトガル、フィンランドの3カ国を代表する作家による朗読と自作の紹介
◎第2部 オーストリア、ベルギーの作家による朗読と自作紹介に続き、芥川賞作家・上田岳弘さんとのトーク。日欧の文学界で活躍する作家たちによるセッション。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day3-3/

 
■クロージングイベント&レセプション

主催者による挨拶および各日の参加者と共に本年のヨーロッパ文芸フェスティバルを総括した後、ヨーロッパのワイン、ビールで乾杯しつつ、作家や翻訳家とファンの交流の時間を楽しみます。

★詳細&参加申込み:https://eulitfest.jp/day3-4/

 
【関連】
ヨーロッパ文芸フェスティバル 2019 – 参加無料・要事前申し込み
EU文芸フェス2019 パンフレット〔PDF〕

 


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