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郭強生さんが『惑郷の人』を語る 「歴史に忘れ去られた少数派の人たちの声を代弁」

郭強生さんが『惑郷の人』を語る

郭強生さんが『惑郷の人』を語る

台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで6月29日、2019年第1回「台湾カルチャーミーティング」が開催され、ゲストに日本の文壇でも注目されている郭強生さんを招き、日本で翻訳出版された作品『惑郷の人』(原題:惑郷之人)について、同書の翻訳者である関西学院大学社会学部教授の西村正男さんと対談を行いました。

会場には90名余りが出席し、郭強生さんと西村さんが創作および翻訳のエピソードを語りました。

 
台湾文化センターの王淑芳・センター長は、「2016年に台湾カルチャーミーティング文学講座を始めて、今年で4年目となる。これまで多くの台湾の作品を紹介し、作品を通して日本人に台湾への理解を深めていただいた。今年は台湾文学作品に焦点を当て、講座のほか、台湾文学祭も開催し、これらのイベントを通して、より日本人に台湾の感動的な物語を紹介し、台湾の出版物と文化の魅力を知っていただきたい」と挨拶しました。

 
郭強生さんは、「『惑郷の人』は、執筆人生における大切な長編小説であり、この小説を書き始めてから、歴史に忘れ去られた少数派の人たちの声を代弁しなければならないと思った。この本の構想を温めてから、出版に至るまで、忘れられない不思議な出会いの旅となった」と述べ、日本語版が出版されたことにより、日本との縁もつながったと強調しました。

また、西村さんは、この本は台湾と日本の歴史に加え、東南アジアの歴史、映画、音楽の要素が盛り込まれている非常に野心的な作品であり、読み応えのある小説であることを解説しました。

 
郭強生さんは、1964年生まれ。国立台湾大学外国文学科卒業、米国ニューヨーク大学演劇学博士を取得し、国立東華大学英米語文学科教授を経て、現職は国立台北教育大学言語創作学科教授。
高校生のときに「聯副」(聯合報副刊)に小説を発表して文壇入りし、22歳で短編小説集『作伴』を初出版。2012年に長編小説『惑郷の人』が文化部金鼎賞を受賞。2015年に散文『何不認真來悲傷』が文化部金鼎賞、中国時報「開巻」年度良書賞、台湾文学金典賞の3つの創作大賞を受賞しました。主な小説作品『夜行之子』『断代』などは、いずれも台北国際書展大賞にノミネートされました。

 
今回のイベントで紹介された『惑郷の人』は、花蓮が日本統治時代に日本からの移民村となったことを背景に、主人公が台湾で生まれ育った日本人(湾生)であり、第二次世界大戦後に日本に引き揚げたが、日本が自分の故郷と思えず、再び台湾に戻ってくるというストーリー。主人公は日本では異郷人のようであり、台湾を真の故郷と感じた。同書は複雑に重なり合う台湾の郷土史観を描いています。

 

惑郷の人 (台湾文学セレクション)
郭 強生 (原著, 著), 西村 正男 (翻訳)

未完の日台合作映画に魅入られた少年たちの流転の軌跡

その年、李香蘭が台湾公演に来た。その年、日本は戦争に負けた。
その年、ブルース・リーがこの世を去った。その年、日本は経済大国になった。
その年、彼らはみな17歳だった。

1973年、台湾東部の吉祥鎮に日本から映画のロケ隊がやってきた。撮影のために吉祥戯院の付近がまるで日本統治時代のように姿をかえると、時空のねじれと記憶の逆流が住民の生活リズムに変化をもたらしはじめる。そんななか映画館の看板書きの息子・小羅が生徒役に抜擢されて、幼なじみであるフィルムの運搬屋・阿昌、アイス屋の養女・蘭子、3人の関係がゆらぎはじめる。
2007年、台北にアメリカからアジア映画研究者・健二がおとずれる。戦後台湾映画と日本映画の関係をテーマとする健二の台湾訪問には、もう一つの目的があった……
中国東北地方出身の父と原住民の母をもつ小羅、日系二世の研究者・健二、湾生(台湾生まれの日本人)の映画監督・松尾、そして霊魂となってさまよう台湾人日本兵・敏郎。
映画『多情多恨』に導かれるように、70年の時空を往来して少年たちのもつれた記憶が解き明かされる。
周縁の人生を幽明のあわいに描いた長篇小説。

 
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