生涯を描いた映画で再評価、夭逝の俳人・住宅顕信の句集『未完成』が16年ぶりに増刷 孤独と絶望の中から生み出された慟哭の自由律俳句
春陽堂書店は6月28日、1987年に25才で急性骨髄性白血病により亡くなった自由律俳句の俳人・住宅顕信さんの句集『未完成』を、刊行より16年ぶりに増刷しました。
2019年5月にはその生涯を描いた映画『ずぶぬれて犬ころ』(本田孝義監督作品)も公開され、第二次の“顕信ブーム”も予見されています。
映画『ずぶぬれて犬ころ』、朝日新聞「天声人語」などで再注目
住宅顕信(すみたく・けんしん=本名:住宅春美)さんは1961年生まれ。岡山県出身。25年の短い生涯の中で、出家、結婚、発病、離婚と人生の浮き沈みを経験、晩年は病床で子育てをしながら句作を続けました。
句集『未完成』は住宅顕信さんが遺した281の俳句すべてを収録し2003年に刊行。「点滴と白い月とがぶらさがっている夜」「抱きあげてやれない子の高さに坐る」「若さとはこんなに淋しい春なのか」など、生と死、孤独と絶望の中で生み出された自由律の句は、著名人の紹介などによる“顕信ブーム”の影響もあり、多くの若者の支持を受けました。
そして、2019年5月にはその生涯を描いた映画『ずぶぬれて犬ころ』が公開されたことをきっかけに、再びその生き方や作品に注目が集まり、朝日新聞「天声人語」(6月9日付)にも紹介されると、読者から句集『未完成』への問い合わせも急増、このたび刊行以来16年ぶりに増刷することが決定しました。
春陽堂書店について
株式会社春陽堂書店は明治11年創業以来、夏目漱石、泉鏡花、田山花袋など多くの文豪の作品を出版してきました。戦後も西條八十、北原白秋、金子みすゞなど、詩人、俳人の書籍を発刊。中でも1972年に刊行した『定本 山頭火全集』は漂泊の俳人・種田山頭火の存在を世に知らしめ、俳句ブームの火つけ役となりました。
今回の16年ぶりの重版も、静かに話題を呼んでいる俳句、自由律という表現が若者を中心に支持されているということの表れと見ています。
★URL:http://shunyodo.co.jp/blog/
住宅顕信 句集 未完成 (顕信文庫) 住宅顕信 (著) |
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▼ずぶぬれて犬ころ 公式サイト