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【河合隼雄物語賞・学芸賞】物語賞は今村夏子さん、学芸賞は釈徹宗さんが受賞

第5回河合隼雄物語賞および第5回河合隼雄学芸賞の選考会が5月24日、京都市内で開催され、物語賞に今村夏子(いまむら・なつこ)さんの『あひる』(書肆侃侃房=しょそかんかんぼう)が、学芸賞に釈徹宗(しゃく・てっしゅう)さんの『落語に花咲く仏教-宗教と芸能は共振する-』(朝日新聞出版)が、それぞれ選ばれました。

 

河合隼雄物語賞・河合隼雄学芸賞とは

河合隼雄さんは、臨床心理学者で、京都大学名誉教授、文化庁長官などを歴任。臨床心理学にとどまらず、日本文学をはじめ、児童文学、絵本、神話、昔話などの研究に取り組みました。

河合隼雄物語賞および第5回河合隼雄学芸賞は、その河合隼雄さんの遺志を受け継ぎ、現代社会を生きる人びとのこころを豊かにし、日本文化の発展に寄与することを目的として設立された河合隼雄財団が主催。

 
物語賞は、人のこころを支えるような物語をつくり出した優れた文芸作品に与えられる賞で、児童文学もその対象としています。
選考委員は、上橋菜穂子さん、小川洋子さん、後藤正治さん、中島京子さん。

学芸賞は、優れた学術的成果と独創をもとに、様々な世界の深層を物語性豊かに明らかにした著作に与えられる賞です。
選考委員は、岩宮恵子さん、中沢新一さん、山極寿一さん、鷲田清一さん。

両賞とも、選考は1年ごとに行われ、毎年3月からさかのぼって2年の期間内に発表・発行された作品を選考対象とします。
また、受賞者には記念品および副賞100万円が贈られます。

 

受賞者のプロフィール

物語賞を受賞した今村夏子さんは、1980年、広島県生まれ。2010年に『あたらしい娘』で第26回太宰治賞を受賞。『こちらあみ子』と改題、同作と新作中短編『ピクニック』を収めた『こちらあみ子』で2011年に第24回三島由紀夫賞を受賞。2016年に文学ムック『たべるのがおそいvol.1』掲載の『あひる』が2016年上半期芥川賞候補となり、のちに単行本化されました。

 
学芸賞を受賞した釈徹宗さんは、1961年生まれ。宗教学者・浄土真宗本願寺派如来寺住職、相愛大学人文学部教授、特定非営利活動法人リライフ代表。
『不干斎ハビアン 神も仏も棄てた宗教者』『おてらくご』『法然親鸞一遍』『親鸞の教えと歎異抄』『ブッダの伝道者たち』『落語でブッダ』『死では終わらない物語について書こうと思う』『仏教シネマ』(秋田光彦さんとの共著)『聖地巡礼』(内田樹さんとの共著)『70歳!』(五木寛之さんと共著)『お世話され上手』等、著書多数。

 
 
受賞理由や受賞の言葉は河合隼雄財団の公式サイトにも掲載されていますが、正式な受賞の言葉や選評は、7月7日発売の『新潮』8月号の誌上で発表されるそうです。
また、今年から「Webでも考える人」でも授賞作を発表しています。

 

あひる
新たな今村夏子ワールドへ!

読み始めると心がざわつく。
何気ない日常の、ふわりとした安堵感にふとさしこむ影。
淡々と描かれる暮らしのなか、綻びや継ぎ目が露わになる。

あひるを飼うことになった家族と学校帰りに集まってくる子供たち。一瞬幸せな日常の危うさが描かれた「あひる」。おばあちゃんと孫たち、近所の兄妹とのふれあいを通して、揺れ動く子供たちの心の在り様を、あたたかくそして鋭く描く「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の3編を収録。

 
落語に花咲く仏教 宗教と芸能は共振する (朝日選書)
仏教を知れば、落語は何倍も楽しめる。宗教学者であり僧侶でもある著者が、小さい頃から親しんできた落語と宗教がじつは密接なつながりをもつことに着目し、歴史的に文化的に人間学的に読み解く。芸能の発生には宗教の儀礼がふかく関係し、古代の社会では宗教と芸能とアートは渾然一体となっていた。日本の「語り芸能」や「話芸」は仏教の説教の影響が大きく、説経節、講談、浪曲、落語などには仏教的要素があふれている。江戸時代の落語の祖である策伝上人『醒睡笑』から、現在の「八五郎坊主」「子ほめ」「平林」などの源流をさぐり、僧侶や宗派仏教を揶揄する噺を読み取り、宗教や芸能が交叉し響き合う部分を見通す。それは現代人の宗教性を成熟させる道のりでもある。「蒟蒻問答」「始末の極意」「後生鰻」「松山鏡」「宗論」など人気の噺の理解がぐっと深まる。

 
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