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【第12回大阪ほんま本大賞】特別賞に岸政彦さん×柴崎友香さん『大阪』

大阪の本屋と問屋が大阪ゆかりの”ほんまに読んでほしい本”を選ぶ「第12回大阪ほんま本大賞」の特別賞に、岸政彦さん&柴崎友香さん共著のエッセイ『大阪』(河出文庫)が選出されました・

なお、大賞は7月に発表されており、寺地はるなさんの『ほたるいしマジカルランド』が受賞しています。

 

「大阪」へ来た人と、「大阪」を出た人と、90年代から2010年代に至るまでの時代と呼吸を活写

今年で第12回を迎えるOsakaBookOneProject「大阪ほんま本大賞」にて、社会学者・岸政彦さんと作家・柴崎友香さんの共著エッセイ『大阪』(河出文庫)が特別賞に決定しました。

 
OsakaBookOneProject(OBOP)は、「書店・販売会社の垣根を越えて、大阪に関する1冊の本を、力を合わせてみんなで売る。そして、そこで得られた利益の一部で、子どもたちに本を寄贈する」という趣旨のもと、関西の書店員・販売会社社員の有志で集まり、立ち上げられたプロジェクトです。2013年に発足し、有志で選出した文庫本を関西一円の書店で販売。第4回からは「大阪ほんま本大賞」という新たな通称のもと、「大賞」に加えて「特別賞」も新設され、2作あわせて大阪・関西の書店店頭で大きく展開してきました。

第12回となる2024年は、大賞に寺地はるなさんの小説作品『ほたるいしマジカルランド』(ポプラ文庫、2024年7月25日受賞発表)、特別賞に共著エッセイ『大阪』(河出文庫、本日発表)が選ばれました。

 
『大阪』は、1987年に大学進学のため大阪へ「来た人」=岸政彦さん、2005年に拠点を東京へ移すため故郷の大阪を「出た人」=柴崎友香さんによる、1990年代から2010年代に至るまでの「大阪」という街と人の呼吸を活写した共著エッセイです。

 
《大阪を語る語り方が「コテコテ」から遠く離れたのは、いつからだろうか。いまではもう、たこ焼きやヤクザや吉本で大阪を語るものはほとんどいない。
柴崎さんがここで書く大阪は、貧しくなる前の大阪、そこらじゅうに小劇場やミニシアターやライブハウスがあり、いつもどこかでアート展や演劇やお笑いライブが開催され、洋書や写真集や画集が並ぶ書店にはいつも人がいっぱいで、チェーン店ではなく個人が経営する美味しい店が並んでいて、すこしバイトをすればぜいたくはできないが飯は食っていける、そんな大阪だ。
そして、私が見てきた大阪は、そういうものがほとんとなくなり、すてきな小物が並んでいた雑貨屋やセレクトショップもばたばたと倒れて、焼け野原になったところにコンビニとユニクロとイオンがまるで墓標のように立ち並んでいく、そんな大阪だ。
それでも私は、そしてもちろん柴崎さんも、そんな大阪を愛している。》
(岸政彦さん『大阪』「はじめに」より抜粋)

 
大阪に37年住む気鋭の社会学者・岸政彦さんと、大阪で30年生まれ育ち文学の最前線で活躍する作家・柴崎友香さん。お二人の初めての共著である『大阪』は、大阪を愛するすべての人におススメの、愛があふれる一冊です。

 

岸政彦さん&柴崎友香さん 受賞コメント

 
◆岸政彦さん

「1987年に大阪と出会った瞬間に、俺は一生ここに住むんだと決め、そしてそうなりました。本籍も移し、家も建て、今日も大阪の場末の路地裏でひっそりと生きてます。大阪のおかげです、ありがとうございます。」

 
◆柴崎友香さん

「大阪で生まれて、大阪の街と人に育ててもらいました。どこにいても、自分の街は大阪やなって思います。この賞をいただけてほんとうにうれしいです。ありがとうございます。」

 

著者プロフィール

 
■岸政彦(きし・まさひこ)さん

1967年生まれ。社会学者。

2016年『断片的なものの社会学』で紀伊國屋じんぶん大賞2016、2021年『リリアン』で第38回織田作之助賞、2022年、編著書『東京の生活史』で第76回毎日出版文化賞「紀伊國屋じんぶん大賞2022」大賞を受賞。

他の著書に『同化と他者化』『街の人生』『はじめての沖縄』『マンゴーと手榴弾』『にがにが日記』、小説に『ビニール傘』『図書室』、編著書に『東京の生活史』『大阪の生活史』など。

 
■柴崎友香(しばさき・ともか)さん

1973年生まれ、大阪府出身。1999年に『文藝別冊』に掲載された短編「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」でデビュー。2000年に同作を含む『きょうのできごと』を刊行。同作品は2003年に田中麗奈さん・妻夫木聡さん主演、行定勲さん監督により映画化。

2007年『その街の今は』で第57回藝術選奨文部科学大臣新人賞、第23回織田作之助賞大賞、2006年度咲くやこの花賞、2010年『寝ても覚めても』で第32回野間文芸新人賞、2014年『春の庭』で第151回芥川賞を受賞。『寝ても覚めても』は2018年に東出昌大さん主演、濱口竜介さん監督により映画化。2024年『続きと始まり』で第74回芸術選奨」文部科学大臣賞第60回谷崎潤一郎賞を受賞。

他の著書に『わたしがいなかった街で』『待ち遠しい』『千の扉』『百年と一日』など。

 

「大阪ほんま本大賞」について

大阪ほんま本大賞は、大阪の本屋と問屋の有志が立ち上げた「OsakaBookOneProject」が主催し、大阪ゆかりの「ほんまに読んで欲しい1冊」を決定する文学賞です。

なお、翌年1月末まで、大阪および関西近隣の全書店で受賞作の販促を展開し、販売期間内に書店店頭で販売された金額の一部は大阪府社会福祉協議会を通じて行われる児童福祉施設への図書寄贈費に充てられます。

 

大阪 (河出文庫)
岸 政彦 (著), 柴崎 友香 (著)

大阪へ来た人、大阪を出た人――街と人の呼吸を活写した初の共著エッセイ。解説:西加奈子

 
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