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赤神諒さん〈堂々たる「敗者」たち〉の物語『碧血の碑』が刊行

赤神諒さんの幕末小説集『碧血の碑』が小学館より刊行されました。

 

堂々たる「敗者」たちの、知られざる物語

 
「赤神氏は、隠れた人生の機微を「敗者」の歴史から掘り起こす天才だ」
――榎木孝明さん(俳優)

 
三条大橋、養浩館、江戸城、横須賀造船所、碧血碑――現代にも残る所縁の地に宿る、堂々たる「歴史の敗者」たちの、知られざる物語4篇を収録した、魂震わす傑作小説集です。

 
【収録作品】

◆「七分咲き」
「総司、三条大橋で京娘と恋をしてこい」
近藤勇の命を受けた沖田は医師の娘と逢瀬を重ねるも、任務の真の目的を前に恋と大義の間で揺れ動く。

 
◆「蛟竜逝キテ」
「されば、御免!」
福井藩主・松平慶永との初引見で、突如池に飛び込んだ藩士こそ橋本左内。夭折の志士が、養浩館に残した秘密とは。

 
◆「おいやさま」
「これは女子(おなご)の戦いであらしゃいます!」
政略結婚のため江戸城に入った和宮。大奥は京風と武家風で激しく対立するも、和宮自身は夫の徳川家茂、そして義母の天璋院篤姫に惹かれていく。

 
◆「セ・シ・ボン」
「日本人が、私の期待に応えられるか否かは知らないがね」
立身出世の野望を胸に横須賀へ来た、若きフランス人技師ヴェルニー。一本のネジを後生大事に持ち歩く風変わりなサムライ・小栗上野介との友情の行方は。

 

編集担当 コメント

『はぐれ鴉』で大藪春彦賞を受賞した赤神諒氏が一話一話丁寧に描き切った、渾身の幕末小説集。
第二話、福井の養浩館を舞台にした「蛟竜逝キテ」は錚々たる編纂委員による『時代小説ザ・ベスト 2024』(日本文藝家協会・編)にも選出されています。

担当者のイチ推しは、第三話「おいやさま」。
大奥でのバトルをこわごわと面白がっているうちに、「いやや」が口癖だった和宮の成長や、徳川家茂とのふれあい、江戸城が危機に陥ったときの天璋院との女の友情に、胸を熱くし、思わず涙しながら編集作業をしていました。

現代にも残る全国の名所を舞台にしているので、本書を持って足を運んでみるのも楽しいかもしれません。

 

本書の目次

第一話 七分咲き(三条大橋・沖田総司)

第二話 蛟竜逝キテ(養浩館・橋本左内)

第三話 おいやさま(江戸城・和宮)

第四話 セ・シ・ボン(横須賀造船所・ フランソワ・レオンス・ヴェルニー)

結び 函館誄歌(碧血碑・柳川熊吉)

 

著者プロフィール

赤神諒(あかがみ・りょう)さんは、1972年生まれ、京都市出身。同志社大学文学部卒業。私立大学教授、法学博士、弁護士。2017年「義と愛と」(『大友二階崩れ』に改題)で第9回日経小説大賞を受賞し作家デビュー。

2023年『はぐれ鴉』で第25回大藪春彦賞を受賞。2024年、佐渡を舞台にした時代ミステリ『佐渡絢爛』で第13回日本歴史時代作家協会賞作品賞と第14回本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞。

その他の著書に『仁王の本願』『大友の聖将(ラクレス)』『大友落月記』『神遊の域』『戦神』『妙鱗』『計策師 甲府駿相三国同盟異聞』『空貝 村上水軍の神姫』『北前船用心棒 赤穂ノ奏 犬侍見参』『立花三将伝』』『太陽の門』『仁王の本願』『誾』『火山に馳す 浅間大変秘抄』『醉象の流儀 朝倉盛衰記』、土佐の若武者・長宗我部信親を描く戦国青春群像劇『友よ』など多数。

 

碧血の碑
赤神 諒 (著)

 
【関連】
試し読み|「碧血の碑」|小学館

 


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