生物学者・稲垣栄洋さん〈新しい短歌&俳句鑑賞の手引き〉『古池に飛びこんだのはなにガエル?』が刊行
『生き物の死にざま』『はずれ者が進化をつくる』などベストセラー多数の人気の生物学者で、実際に短歌も詠む稲垣栄洋さんによる新しい短歌&俳句鑑賞の手引き『古池に飛びこんだのはなにガエル? 短歌と俳句に暮らす生き物の不思議』が辰巳出版より刊行されました。
短歌と俳句は、生き物に注目すれば、もっと面白くなる!
歌人・岡本真帆さん推薦!
「知っているつもりになっていた名歌や名句。
この本のおかげで鮮やかに出会い直すことができました」
本書は、「短歌&俳句は生物学の視点があるともっと面白く鑑賞できる!」をテーマに、人気の生物学者・稲垣栄洋さんが名歌&名句で描かれる生き物を解説していくものです。
例えば、松尾芭蕉の有名な一句【古池や蛙飛びこむ水の音】では、「このカエルとは何ガエルなのか」をテーマとしています。俳句においてカエルの定番と言えば、“カジカガエル”なのですが、ここは裏庭にいる“ツチガエル”と著者は考えます。その理由を生物学の視点で解き明かしていくのです。
このように名歌や名句には、生き物や自然について私たちが気付いていない新しい見方や楽しみ方が隠されており、本書は、短歌&俳句が好きな方はもちろん、生き物に興味がある方にもおススメの一冊です。
<本書で取り上げている短歌&俳句の一部>
・「閑さや岩にしみ入る?の声」松尾芭蕉 →鳴いたセミの種類をめぐって大論争!
・「のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳根の母は死にたまふなり」斎藤茂吉 →ツバメはどこから亡くなった母を見ていたのか
・「むざんやな甲の下のきりぎりす」松尾芭蕉 →カブトの中では、本当にキリギリスが鳴いているのか?
・「やれ打つな蝿が手をすり足をする」小林一茶 →ハエが手足をすり合わせるには、理由がある
・「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」若山牧水 →ハクチョウはなぜ白いのだろうか
……など、全部で57の名歌・名句を掲載。
本書「はじめに」より
五七五七七の短歌や、五七五の俳句は、世界でもっとも短い定型詩と言われている。
この短い定型の中で、季節季節の動物や植物の活き活きとした姿が詠み込まれているのは本当にすごいことだ 。
さぁ、名歌や名句に登場する動物や植物を生物学の視点から読み解きながら、作者の自然に対するまなざしに思いを寄せてみることにしよう。
著者プロフィール
稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)さんは、1968年生まれ、静岡県出身。岡山大学大学院修了。農学博士。農林水産省、静岡県農林技術研究所などを経て、静岡大学農学部教授。
中学校、高校の国語の教科書に著書が掲載されている他、昨今は入試の再頻出作家として知られている。
40歳を過ぎてから、中学校時代の国語の先生の勧めで短歌を始める。コスモス短歌会会員。
主著に『身近な雑草の愉快な生きかた』『弱者の戦略』『雑草はなぜそこに生えているのか』『生き物が大人になるまで』『生き物が老いるということ』『植物に死はあるのか』『はずれ者が進化をつくる』『生き物の死にざま』『手を眺めると、生命の不思議が見えてくる』『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』、小島よしおさんとの共著『雑草はすごいっ!』などがある。
![]() | 古池に飛びこんだのはなにガエル?短歌と俳句に暮らす生き物の不思議 稲垣 栄洋 (著) 短歌と俳句は、生き物に注目すれば、もっと面白くなる! 『生き物の死にざま』『はずれ者が進化をつくる』などベストセラー多数! |
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