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「闇落ち」なんて生ぬるい! 月村了衛さん『虚の伽藍』が刊行

『土漠の花』(日本推理作家協会賞受賞)、『欺す衆生』(山田風太郎賞受賞)、『半暮刻』など、数多くのベストセラーを通して、現代日本の抱える闇を描き続ける作家・月村了衛さんが闇社会をのし上がっていく若き僧侶を描く『虚の伽藍』が新潮社より刊行されました。

 

坊主、フィクサー、ヤクザ――より多くの金をつかんだ者が、京都を制する!

 
『闇金ウシジマくん』『九条の大罪』の作者、真鍋昌平さんも驚愕!
「月村先生、よくぞここまで書きましたね」

 
『欺す衆生』で「豊田商事事件」に材をとり、現代日本を描破した月村了衛さんが本書『虚の伽藍』では、バブル期の京都でくり広げられた壮絶な地上げ戦争を描きます。

宗派内の派閥争いに巻き込まれた若き僧侶が、地上げ戦争を制し京都の支配者へとのし上がるまでを描く本作は、地上げ戦争が繰り広げられる第一部、伝統仏教最大宗派の頂点をめぐる貫主選挙を追う第二部で構成された、ダイナミック、かつ重厚な物語となっています。

 
【あらすじ】
バブル前夜。実家の寺を助けるため、仏教最大宗派である燈念寺派の宗務院に勤務し、出世を目指す僧侶・凌玄。ある日、寺の所有する土地売却の立ち合いで、燈念寺派が二重帳簿を付けていることに気付く。そのことで宗派内の実力者ににらまれ、窮地に追い込まれた彼に手を差し伸べたのは、京都闇社会の実力者・和倉だった。欲望にまみれた燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に染まっていく凌玄。ヤクザを利用し敵を排除、人殺しすら躊躇わない凌玄は、燈念寺派の総貫首にまで登りつめる。はたして、金と欲にまみれた求道の果てに待っていたのものとは……。

 
若き僧侶が、地上げ戦争を制して京都の支配者へとのし上がっていく物語のリアリティーは、『闇金ウシジマくん』『九条の大罪』の著者である真鍋昌平さんも驚くほど。

政治権力すら及ばない古都・京都。その最深部でくり広げられた壮絶な利権争いを活写し、欲望に翻弄される人間たちを描く著者の新たなる代表作です。

 
なお、10月22日発売の「小説新潮」11月号では、『虚の伽藍』刊行を記念して、月村了衛さんと真鍋昌平さんの対談が実現。「絶望」に満ちた現実を見つめ続ける二人の社会派作家にとっての「希望」とは……。

 

著者プロフィー

月村了衛(つきむら・りょうえ)さんは、1963年生まれ、大阪府出身。早稲田大学第一文学部文芸学科卒業。2010年『機龍警察』で小説家デビュー。

2012年『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞、2013年『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞、2015年『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、2019年『欺す衆生』で第10回山田風太郎賞を受賞

他の著書に『追想の探偵』『機龍警察 狼眼殺手』『悪の五輪』『東京輪舞』『暗鬼夜行』『奈落で踊れ』『ビタートラップ』『脱北航路』『十三夜の焔』『香港警察東京分室』『白日』『暗鬼夜行』『半暮刻』『対決』など。

 

虚の伽藍
月村 了衛 (著)

より多くの金をつかんだ者が京都を制する――最後に嗤うのは仏か鬼か。
日本仏教の最大宗派・燈念寺派。弱者の救済を志す若き僧侶・志方凌玄がバブル期の京都で目にしたのは、暴力団、フィクサー、財界重鎮に市役所職員……古都の金脈に群がる魑魅魍魎だった。腐敗した燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に身を投じる凌玄だが、金にまみれた求道の果てに待っていたのは――。人間の核心に迫る圧巻の社会派巨編。

小説新潮 2024年11月号

【特集】秋の時代小説 [対談]真鍋昌平(漫画家)×月村了衛

 
【関連】
試し読み | 『虚の伽藍』月村了衛 | 新潮社

 


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