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【第56回新潮新人賞】歌人・詩人の竹中優子さんと東京大学院生の仁科斂さんが同時受賞

新潮社は、純文学を対象とする公募の新人文学賞「第56回新潮新人賞」の受賞作を発表しました。

 

第56回新潮新人賞が決定!

第56回新潮新人賞は過去最高となる2,855編の応募作品の中から、次の通り受賞作品が決定しました。

 
<第56回新潮新人賞 受賞作品>

◎竹中優子(たけなか・ゆうこ)さん
「ダンス」(110枚)

◎仁科斂(にしな・れん)さん
「さびしさは一個の廃墟」(150枚)

 
竹中優子さんの「ダンス」は、20代会社員の「私」と、社内恋愛に失敗した30代の先輩・下村さん、それぞれに社会や世間に馴染めない女性二人が共にした人生のひとときを切り取った、新時代の会社員小説。歌人・詩人としての顔も持つ作者による、普遍的な題材をユーモアも交えて描き出したその完成度が評価されました。

仁科斂さんの「さびしさは一個の廃墟」は、建築学科の大学院生であり男婦のバイトをするレンが、奄美大島で観光ガイドをするなかで経験した出来事を描く。レンの移住の背景にある指導教員との歪んだ関係、奄美の方言や島唄、さらには英語や中国語などの異言語も入り混じった独特の色気のある語り口が評価されました。

 
選考委員は、上田岳弘さん、大澤信亮さん、小山田浩子さん、金原ひとみさん、又吉直樹さん。受賞作の全文、受賞記念インタビュー、各選考委員の選評については、10月7日発売の『新潮』11月号に掲載されます。

 
【選評より(抜粋)】

◆又吉直樹さん(「ダンス」について)
「台詞がユーモラスで、どの場面も余韻が残った。少ない線に、多くの情報が含まれているような省略の上手さを感じた。(略)このまま舞台でも受けそうな柔軟性を持ちながら、同時に小説という方法を選んだ必然性も随所に感じられた。」

◆金原ひとみさん(「さびしさは一個の廃墟」について)
「方言や島唄といったモチーフにより強烈な異世界感が漂い、独特な言葉遣いによって、普段自分が使っている言葉の意味と、小説内の言葉の意味が少しずつブレていくような感覚に、揺さぶられる思いがした。」

 
なお、候補作品は、以下の5作品でした。

【候補作品】
◎航也さん「ダイジェスト版」
◎直江典子「ラスコーリニコフは殺せない」
◎竹中優子さん「ダンス」
◎足和田健さん「ダンサー・イン・ザ・スーサイドフォレスト」
◎仁科斂さん「さびしさは一個の廃墟」

 

受賞者プロフィール

 
■竹中優子(たけなか・ゆうこ)さん

1982年生まれ、山口県出身。早稲田大学第一文学部卒業。2016年「輪をつくる」50首で第62回角川短歌賞、第一歌集『輪をつくる』(KADOKAWA)で2022年第23回現代短歌新人賞を受賞。同年、第60回現代詩手帖賞を受賞。第1詩集『冬が終わるとき』で第28回中原中也賞最終候補。

(c) 新潮社写真部

(c) 新潮社写真部

 
■仁科斂(にしな・れん)さん

1994年生まれ、東京都出身。オックスフォード大学PPEコース卒業。現在、東京大学大学院総合文化研究科に在籍。

(c) 新潮社写真部

(c) 新潮社写真部

 

新潮新人賞について

新潮新人賞は、純文学を対象とする公募の新人文学賞です。新潮社が主催。毎年3月31日を締め切り日とし、受賞作はその年の『新潮』11月号に掲載されます。

また、受賞者には正賞として特製記念ブロンズ楯が、副賞として50万円が贈られます。

 

新潮 2024年11月号
新潮編集部 (編集)

【第56回新潮新人賞発表】
受賞作 竹中優子「ダンス」 110枚
三人まとめて往復ビンタしてやろう――私は傷心の先輩に振り回される。新時代の会社員小説。

受賞作 仁科斂「さびしさは一個の廃墟」150枚
奄美の島唄を背に、屈折する「先生」への思い。色気のある語りが打ち寄せる、性の波間の物語。

 
【関連】
新潮新人賞 | 新潮社

 


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