本のページ

SINCE 1991

ロシア文学者・奈倉有里さんエッセイ集『文化の脱走兵』が刊行

講談社が発行する『群像』での連載を書籍化した、ロシア文学者・奈倉有里さんが言葉を愛する仲間たちに贈るエッセイ集『文化の脱走兵』が同社より刊行されました。

 

本を片手に、戦う勇気ではなく逃げる勇気を。

<川上弘美さん絶賛!>
「軽やかで、優しくて、豊かで、そしてなんと性根のすわった作家なのだろう。」

 
「国でいちばんの脱走兵」になった100年前のロシアの詩人、ゲーム内チャットで心通わせる戦火のなかの人々、悪い人間たちを化かす狸のような祖父母たち──あたたかい記憶と非暴力への希求を、文学がつないでゆく。

 
本書は、紫式部文学賞を受賞したロングセラー『夕暮れに夜明けの歌を』の著者による、言葉を愛する仲間たちに贈るエッセイ集です。装画は、さかたきよこさん、装幀は名久井直子さんが担当。

 
「もし本が好きになったら──私たちがその人たちを見つけて、めいっぱい大切にしよう。世界中のたくさんの本を翻訳して、朗読して、笑ったり泣いたりしよう。」
(「クルミ世界の住人」より)

 
〔本書より一部公開〕

★「クルミ世界の住人」:https://gendai.media/articles/-/133273
★「ほんとうはあのとき」(7月31日公開予定):https://gendai.media/articles/-/133278
★「巣穴の会話」:https://gendai.media/articles/-/133175
★「あとがき 文化は脱走する」:https://gendai.media/articles/-/133275

 

担当者 コメント

大人になってから、自分の気持ちをことばにして伝えるむずかしさを実感しています。

相手を論破するためでも、正義を振りかざすためでもない、大切なものを愛しく守るための「ことば」。奈倉さんの文章を読むと、それがどんな「ことば」なのかが分かります。

素直な気持ちの「伝えかた」に悩んでいる方に ぜひ読んでほしい1冊です。

 

本書の目次

クルミ世界の住人
秋をかぞえる
渡り鳥のうた
動員
ほんとうはあのとき……
猫にゆだねる
悲しみのゆくえ
土のなか
道を訊かれる
つながっていく
雨をながめて
君の顔だけ思いだせない
こうして夏が過ぎた
巣穴の会話
かわいいおばあちゃん
年の暮れ、冬のあけぼの
猫背の翼
あの町への切符
柏崎の狸になる
あとがき 文化は脱走する

 

著者プロフィール

奈倉有里(なぐら・ゆり)さんは、ロシア文学研究者、翻訳者。1982年生まれ、東京都出身。2002年からペテルブルグの語学学校でロシア語を学び、その後モスクワに移住、モスクワ大学予備科を経て、ロシア国立ゴーリキー文学大学に入学、2008年に日本人として初めて卒業し、「文学従事者」という学士資格を取得。東京大学大学院修士課程を経て博士課程満期退学。博士(文学)。研究分野はロシア詩、現代ロシア文学。

2021年、博士論文『アレクサンドル・ブローク 批評と詩学 ――焼身から世界の火災へ――』で第2回東京大学而立賞、2022年『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』で第32回紫式部文学賞、同年『アレクサンドル・ブローク 詩学と生涯』で第44回サントリー学芸賞を受賞。

著書に『ことばの白地図を歩く』、『文学キョーダイ!!』(弟・逢坂冬馬さんとの共著)、『ロシア文学の教室』など。訳書にミハイル・シーシキン『手紙』、リュドミラ・ウリツカヤ『陽気なお葬式』、フョードル・ドストエフスキー『白夜』『未成年(縮約版)』、ウラジーミル・ナボコフ『マーシェンカ』、サーシャ・フィリペンコ『理不尽ゲーム』、(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『亜鉛の少年たち』(日本翻訳家協会賞・翻訳特別賞受賞)、サーシャ・フィリペンコ『赤い十字』ほか多数。

 

文化の脱走兵
奈倉 有里 (著)

 
【関連】
『文化の脱走兵』試し読み|講談社BOOK倶楽部

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です