ブレイディみかこさん初の長編小説『両手にトカレフ』が文庫化
ポプラ社は、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』著者ブレイディみかこさんが14歳の少女を描く、初の小説『両手にトカレフ』がバービーさんとの対談を追加し、文庫化しました。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で書けなかったことを描きたかった
ブレイディみかこさんの初の長編小説『両手にトカレフ』は、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』では書けなかったティーンたちを描きたいという想いから生まれました。
主人公は、14歳のミア。シングルマザーの家庭で育ち、弟の世話を一手に担うヤングケアラーです。そんなミアは、ある日、図書館でカネコフミコの自伝と出合います。カネコフミコ―― ブレイディさんが敬愛する、大正時代の思想家・金子文子です(実際に、ブレイディさんがお住まいの英国ブライトンの図書館には、英訳された金子文子の本が置いてあるそうです)。
ミアは夢中でフミコの自伝を読み進めるうち、同級生の誰よりもフミコが近くに感じられるようになります。一方、学校では同級生たちに自分の重い現実を誰にも話せません。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、ミアは少しずつ変わり始めます――。
ここではないどこかではなく「世界はここから変えられる」というブレイディさんの想いが込められた本作。各界から推薦の言葉が寄せられています。
この物語は、かき消されてきた小さな声に力を与えている。
その声に私たちが耳を澄ますことから、全ては始まるのだ。
――西加奈子さん
今、この時代にブレイディさんは必要とされていて、
この物語は、ブレイディさんにしか、つくれない。
――ヨシタケシンスケさん
私たちはもう呪いから解放されていいんだ。
2人の少女を抱きしめながら、私も一緒に泣きたくなった。
――長濱ねるさん
自分が失いかけていたものを取り戻したような気持ちになった。
一人でも多くの人に読んでほしい。
――バービーさん
自分だけの美しいものを見つける長い旅が人生となっていくのだろう。
読後、子ども時代の自分を抱きしめて「頑張れ」と声をかけたくなった。
――中江有里さん
ページをめくる手が止まらなかった。
〝ここではないどこか〟を夢見ずして生きてこられた人なんて、いるのだろうか。
――宇垣美里さん
また文庫の特典として、巻末には、推薦文も寄せているバービーさんとの対談「『私は私なんだ』という想いを持つ」を掲載。「私は私」という軸をしっかりと持つおふたりの対談は、読み応えたっぷりです。
【あらすじ】
寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。いつもは閉じているエレベーターの扉が開いて、ミアは思わず飛び乗る。図書館で出合ったのは、カネコフミコの自伝。夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられた。一方、学校では自分の重い現実を誰にも話せなかった。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、ミアは少しずつ変わり始める――。
著者プロフィール
ブレイディみかこさんは、1965年生まれ、福岡市出身。ライター・コラムニスト。1996年から英国ブライトン在住。2017年『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で第16回新潮ドキュメント賞、2019年『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で第73回毎日出版文化賞特別賞、第2回Yahoo! ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞、第7回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)などを受賞。
その他の著書に『転がる珠玉のように』『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』『THIS IS JAPAN――英国保育士が見た日本』『女たちのテロル』『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』、『転がる珠玉のように』や、小説作品に『リスペクト──R・E・S・P・E・C・T』、『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』などがある。
両手にトカレフ (ポプラ文庫) ブレイディ みかこ (著) 私の価値を決めるのは、私だ。 |
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