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磯野真穂さん『コロナ禍と出会い直す』刊行記念!磯野真穂さん×永井玲衣さんトークイベントを開催

朝日新聞の言論サイト「Re:Ron」での連載を書籍化した、人類学者・磯野真穂さん著『コロナ禍と出会い直す』が柏書房より刊行されました。これを記念して、朝日新聞東京本社にて、磯野真穂さんと哲学者・永井玲衣さんによるトークイベント「信じられる言葉はありますか? 人類学者×哲学者の対話」が7月21日(日)にオンライン&リアル開催されます。

 

人類学者が「不要不急」のフィールドワークから考えた、「和をもって極端となす」日本社会の思考の癖、感じ方の癖

【本書の内容】

最後のお別れすら許さない病院、火葬すら立ち会わせない予防策、子どもたちへの黙食指導、至る所に設けられたアクリル板、炎天下でも外せないマスク、連呼された「気の緩み」――あの光景はなんだったのか?

 
コロナ禍で連呼された「大切な命」というフレーズ。それは恐らく、一面的には「正しい」フレーズであった。しかし、このフレーズのもとに積み重ねられた多様で大量の感染対策が、もとから脆弱であった人々の命を砕いたのも事実である。そしてその余波は、いまだに続いている。

 
もちろん必要な対策もあっただろう。しかし、「批判を避けたい」「みんながそうしている」「補助金が欲しい」といった理由に基づく名ばかりの「感染対策」はなかったか。そのような対策が、別の命をないがしろにしていた可能性はなかったか。忘却する前に、思い出す必要があるはずだ。未来の命を大切にするために。

 
“出会いとは、自分が予想し得なかった人や出来事との遭遇のことを指す。だからこそ、出会いの瞬間、私たちは驚き、戸惑い、右往左往する。2020年冬にやってきたコロナも私たちにとっては出会いであった。驚いた私たちは困惑し、社会は恐れと怒りに包まれた。あれからすでに4年が経過する。人でごった返す繁華街から人影が消えたあの時の風景に私たちはどのように出会い直せるだろう。”

 
「出会い直し」とは、過去に出会った人や出来事の異なる側面を発見することを通じ、それらとの関係を新たに編み直すことを指す。本書では、コロナ禍のフィールドワークで集めた具体例とともに、「コロナ禍と出会い直す」ためのいくつかの視点を人類学の観点から提供する。現地に赴くフィールドワークを、研究者自らの手でエッセンシャルから「不要不急」に追いやっていいのだろうか。感染予防のためなら、暮らしのほとんどは「不要不急」になるのだろうか。

人間の生とは何か。人類学者が問いかける。

 

トークイベント「信じられる言葉はありますか? 人類学者×哲学者の対話」開催概要

今回のイベントでは、朝日新聞の言論サイト「Re:Ron」の連載を書籍化された人類学者の磯野真穂さんと、Re:Ronアドバイザーで「問いでつながる」を連載中の哲学者・永井玲衣さんが語り合います。

 
■開催日時:2024年7月21日(日)14:00~17:00

■会場:朝日新聞東京本社2階 読者ホール + オンライン配信(2024年10月31日までのアーカイブ配信あり)

■登壇者:磯野真穂さん、永井玲衣さん

■定員
◎会場:60人程度(先着順)
◎配信:なし

■対象:朝日新聞デジタル有料会員

■料金
◎会場(U40〈40歳以下〉):800円
◎会場(一般〈41歳以上〉):1,000円
◎配信:無料(※会員料金のみ)

■申込み締切
◎会場:2024年07月17日(水)20:00
◎配信:2024年10月31日(木)20:00

★詳細&申込み:https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11014218

 

登壇者プロフィール

 
■磯野真穂(いその・まほ)さん

人類学者。専門は文化人類学、医療人類学。2010年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。早稲田大学文化構想学部助教、国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より在野の研究者として活動。2024年より東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。一般社団法人De-Silo理事。応用人類学研究所・ANTHRO所長。

著書に『なぜふつうに食べられないのか――拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界――「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想――やせること、愛されること』(ちくまプリマー新書)、『他者と生きる――リスク・病い・死をめぐる人類学』(集英社新書)、宮野真生子さんとの共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社)がある。

★X (旧Twitter):https://x.com/mahoisono

 
■永井玲衣(ながい・れい)さん

1991年生まれ、東京都出身。哲学者。人びとと考えあう場である哲学対話を幅広く行っている。せんそうについて表現を通し対話する、写真家・八木咲との「せんそうってプロジェクト」、後藤正文らを中心とするムーブメント「D2021」などでも活動。

2021年、初の著書『水中の哲学者たち』(晶文社)を発表。2024年、第17回「わたくし、つまりNobody賞」を受賞。他の著書に『世界の適切な保存』(講談社)がある。

X (旧Twitter):https://x.com/nagainagainagai

 

コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート
磯野 真穂 (著)

【目次】
はじめに
プロローグ 私たちがコロナ禍に出会い直さねばならない理由
1章 新型コロナの〝正しい理解〟を問い直す――人類学の使い道
 補論1 アクリル板とは一体なんだったのか? 
2章 新型コロナと出会い直す――医療人類学にとって病気とは何か
 補論2 不調に名前がつくとういうこと――「コロナ後遺症」をめぐって
3章 「県外リスク」の作り方――医療人類学と三つの身体
 補論3 島の境界――濃厚接触者たちの理不尽な2週間
4章 新型コロナと気の力――感染拡大を招いたのは国民の「気の緩み」?
 補論4 緊急事態宣言と雨乞い
5章 私たちはなぜやりすぎたのか――日本社会の「感じ方の癖」
 補論5 ありきたりの発言に勇気を要した日
6章 いのちを大切にするとは何か?――介護施設いろ葉の選択
エピローグ コロナ禍の「正義」に抗う

 
【関連】
Re:Ron連載書籍化『コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート』(柏書房)刊行記念 信じられる言葉はありますか?人類学者・磯野真穂さん×哲学者・永井玲衣さんの対話(応募ページ)

 


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