【第11回新潮ミステリー大賞】二礼樹さん「悪徳を喰らう」が受賞
新潮社は公募の文学賞「第11回新潮ミステリー大賞」の審査結果を発表しました。
道尾秀介さん「賞創設以来、最高に面白かった」 受賞作は圧倒的完成度を誇る新世代のヴァンパイア・ミステリー
第11回新潮ミステリー大賞(主催:株式会社新潮社、後援:東映株式会社)では、全応募作172篇のなかから4篇が最終候補に選ばれ、貴志祐介さん、道尾秀介さん、湊かなえさんを選考委員に迎えた最終選考会が7月31日に開催されました。その審査の結果、二礼樹さんの「悪徳を喰らう」が大賞に決定しました。

二礼樹さん (c)新潮社
選考会では
「完成度という点で一頭地を抜いていたと思う。相当数の読者を獲得しそうな華もある」(貴志祐介さん)、
「リーダビリティが高いうえに、登場人物も魅力的。印象深いセリフもたくさんあって独特な世界観にどっぷり浸かった」(湊かなえさん)、
「人間の感情や空気の冷たさといった、目に見えないものも上手く描けていて、『文章世界』という言葉を思い出させてくれた。賞創設以来、いままで読んだなかでも最高に面白かった」(道尾秀介さん)
…と、新人離れしたリーダビリティーと独自の作品世界をつくりあげる高い筆力に多くの賞賛の声が集まりました。選評および受賞作の抄録は、9月22日発売の「小説新潮」10月号に掲載されます。
なお、最終候補作4篇は、東映での映像化が検討されます。受賞作は来春、新潮社より単行本として発売、贈賞式も同時期に開催予定です。
【最終候補作】
◎小石陽太さん「とある浴室からの脱出」
◎日部星花さん「罪の引力、あるいは匣の底」
◎二礼樹さん 「悪徳を喰らう」
◎長沼憲弘さん「ひばかり峠」
受賞作あらすじと受賞者プロフィール
【「悪徳を喰らう」あらすじ】
リストランテ〈オンブレッロ〉。統一戦争をしぶとく生き抜いたこの店にはある秘密があった。みかけはただの高級店のなりをしているが、その実、裏では得意客を相手に「晩餐会」を催すことで、政財界やマフィアとの独自ルートを築いていたのだ。とある事情から〈オンブレッロ〉で雇われの身となった元軍人のオズヴァルドは、その腕を見込まれ、晩餐会で出す特別な「食材」の解体処理を任されていた。
ある日、誤発注された「食材」の状態を確かめるべく、店の冷凍庫へと向かったオズヴァルド。そこで、吸血鬼に出会うのだった……。名はルカ。飴細工みたいな金髪の男だった。
<二礼 樹(にれ・いつき)さん プロフィール>
1997年生まれ、宮城県出身。システムエンジニア。現在東京都在住。
新潮ミステリー大賞について
新潮ミステリー大賞は、新潮社が主催し、2014年にスタート。日本推理サスペンス大賞、新潮ミステリー倶楽部賞、ホラーサスペンス大賞の後継と位置付けられた公募の文学賞です。
大賞受賞者には賞金300万円が贈られ、大賞受賞作品は新潮社から単行本として刊行されます。また、東映が後援しており、最終候補作を対象に映画化が検討されます。
『チェレンコフの眠り』が第35回山本周五郎賞候補となった一條次郎さん、短篇集『#真相をお話しします』が本屋大賞にノミネートされ、累計50万部を突破した結城真一郎さん、『ループ・オブ・ザ・コード』が第36回山本周五郎賞候補となり、『不夜島』で第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞した荻堂顕さんらを輩出してきました。
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