累計170万部突破!「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズ第3弾『歪んだ幸せを求める人たち』が刊行
累計170万部を突破した「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズ第3弾、宮口幸治さん著『歪んだ幸せを求める人たち ケーキの切れない非行少年たち3』が新潮社より刊行されました。
「幸せを求めて不幸を招く人」の戦慄のロジック
オビの「不均等なケーキ3等分」の図が衝撃を呼び、2019年に大ベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』。そのシリーズの最新の論考が発売になりました。『ケーキの切れない非行少年たち』『どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2』に続く、著者が「三部作」と位置づける論考の一作です。
非行少年の中には、時にとてつもない歪んだ考え方に基づいて行動してしまう子がいます。
例えば本書には、「おばあちゃんを悲しませたくないので殺そうと思いました」と語る少年が出てきます。
彼は、将来を悲観して自殺しようと考えたのですが、自分が自殺すると大好きな祖母が悲しむことになる。祖母は悲しませたくない。だったら、自分の自殺を知って悲しまなくてもいいように、祖母を先に死なせてあげよう、と考えたのです。普通の思考回路なら、「祖母を悲しませたくないから自殺をやめよう」と考えていいはずですが、そうはならないのです。
この少年が極めて歪んだ考え方をしていることは明らかです。
それでも「幸せになりたい」「誰かを幸せにすることで自分も幸せになりたい」という考え方は、普通の人と共通しています。だとしたら、どうやって「歪み」を解消していけばいいのか。著者は歪みを生む原因として5つの理由を挙げ、丁寧に腑分けを試みています。
本書では、歪んだ幸せを求める人たちの戦慄のロジック、そしてその歪みから脱却する方法を、豊富な臨床例と共に詳述しています。
本書の構成
はじめに
第1章 歪んだ幸せを求めてしまった人たち
叔母の犬を助けて命を落とした甥っ子/祖母を悲しませたくないから死なせてあげよう/相手を喜ばせたいという動機が相手を悲しませる/女性への歪んだ想いから殺人未遂に/マナーの悪さが命取りに/窃盗の被害者に生まれた加害者への殺意
第2章 幸せの前に立ちはだかる5つの歪み
怒りの歪み/過剰反応で傷害事件/嫉妬の歪み/自己愛の歪み/所有欲の歪み/見せびらかしから生じた悲劇/判断の歪み/認知機能のレベル/情動のレベル/思考のレベル/行動のレベル/固定観念のレベル
第3章 身近にある歪み
勘違いによる怒り/怒りや嫉妬で判断が歪む/年配大学教授の恥ずかしい振る舞い/身近な自己愛の歪み/自己中な人たち/自分の時間だけを大切にする人/時間をあまり気にしない人/これだけやってあげたのに……/身近な所有欲の歪み/身近な判断の歪み~自分と他者の感覚のズレ/「自分のことが分からないと人のことも分からない」/よかれと思ってありがた迷惑に/「○○さんがこんなことを言っていましたよ」/「いい人をやめよう」/「みんなと同じでなくていい」/「少し休んだら?」/「人によって態度を変えるな」/「やられたらやり返せ」/「自分も頑張ってきたんだから君も頑張れるはずだ」/「一つのことを成し遂げろ」「失敗を恐れるな」/身近な固定観念の歪み/金儲けする人は悪い?/真面目な人は頭が固い?/要領がいい人はずるい?/できる子は〇〇が違う?
第4章 歪みの壁を乗り越えるために
相手のストーリーを知ると楽になる/みんな幸せになりたい/みんな自分を見てほしい/みんな人の役に立ちたい/相手のストーリーの歪みを正すのは難しい/自分のストーリーを変えてみる/怒りの段階/感情、思考、認知機能に働きかける/人のふり見て我が身を直す/自分の思い通りにならないと許せない/トラブルとの遭遇/問題解決トレーニング/ゴールを設定し、解決方法を考える/他人と比較しない、比較されない/自分よりも我慢できている人がいる/物ごとは見方によって変化する/合わない人とも付き合うことのメリット/マイナスもバランスを取るために生まれた現象/一喜一憂しない/大事なのは目の前のこと
おわりに
著者プロフィール
宮口幸治(みやぐち・こうじ)さんは、立命館大学大学院人間科学研究科教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院等に勤務。2016年より立命館大学教授。医学博士、臨床心理士。
著書『ケーキの切れない非行少年たち』は、シリーズ累計で170万部超。著者自ら原作も手掛けるコミック版が、現在コミックサイト「くらげバンチ」で連載中(単行本は8巻まで刊行)。
![]() | 歪んだ幸せを求める人たち:ケーキの切れない非行少年たち3 (新潮新書) 宮口 幸治 (著) 「おばあちゃんを悲しませたくないので殺そうと思いました」。非行少年の中には、時にとてつもない歪んだ考え方に基づいて行動してしまう者がいる。しかし、そうした少年でも「幸せになりたい」という思いは共通している。問題はその「幸せ」を求める方法が極めて歪んでいることであり、それは非行少年に限らないのだ。彼らの戦慄のロジック、そしてその歪みから脱却する方法を、豊富な臨床例と共に詳述する。 |
<既刊>
![]() | ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) 宮口 幸治 (著) 児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。 |
![]() | どうしても頑張れない人たち~ケーキの切れない非行少年たち2 (新潮新書) 宮口 幸治 (著) 「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張れないがゆえに、切実に支援を必要としているのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。 |
【関連】
▼試し読み | 『歪んだ幸せを求める人たち―ケーキの切れない非行少年たち3―』宮口幸治 | 新潮社
▼宮口幸治「ケーキの切れない非行少年たち」シリーズ特設サイト | 新潮社
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