【第46回講談社 本田靖春ノンフィクション賞・第40回講談社科学出版賞】ノンフィクション賞は大森淳郎さん『ラジオと戦争』と宋恵媛さん・望月優大さん・田川基成さん『密航のち洗濯 ときどき作家』、科学出版賞は近藤一博さん『疲労とはなにか』が受賞
講談社は7月18日、第46回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」および第40回「講談社科学出版賞」の受賞作品を発表しました。
第46回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」受賞作品
第46回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」の受賞作品が次の通り決定しました。
<第46回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」 受賞作品>
◎大森淳郎(おおもり・じゅんろう)さん・NHK放送文化研究所
『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』(NHK出版)
◎宋恵媛(ソン・ヘウォン)さん、望月優大(もちづき・ひろき)さん、写真:田川基成(たがわ・もとなり)さん
『密航のち洗濯 ときどき作家』(柏書房)
今回の受賞作品の一つである『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』は、2023年11月に第77回毎日出版文化賞も受賞しています。
受賞者には、賞状・記念品および各作品ごとに副賞100万円が贈られます。
選考委員は、赤坂真理さん、魚住昭さん、後藤正治さん、最相葉月さん、原武史さん。
なお、「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」は、1979年に創始された「講談社ノンフィクション賞」を2019年より改称したものです。講談社が2019年に創業110周年という節目の年を迎えるにあたり、戦後日本を代表するノンフィクションの書き手の一人・本田靖春さん(1933~2004)の名を冠することとなりました。
<参考>最終候補作品
◎春日太一さん『鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』(文藝春秋)
◎木寺一孝さん『正義の行方』(講談社)
◎宋恵媛さん・望月優大さん・田川基成さん『密航のち洗濯 ときどき作家』(柏書房)
◎乗京真知さん『中村哲さん殺害事件 実行犯の「遺言」』(朝日新聞出版)
◎森合正範さん『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(講談社)
第40回「講談社科学出版賞」受賞作品
第40回「講談社科学出版賞」の受賞作品が次の通り決定しました。
<第40回「講談社科学出版賞」 受賞作品>
近藤一博(こんどう・かずひろ)さん
『疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた』(講談社)
受賞者の近藤一博さんには、賞状・記念品および副賞100万円が贈られます。
選考委員は、黒田玲子さん、小林誠さん、竹内薫さん、西成活裕さん、藤嶋昭さん。
![]() | ラジオと戦争: 放送人たちの「報国」 大森 淳郎 (著), NHK放送文化研究所 (著) 第77回「毎日出版文化賞」受賞! 戦時下ラジオの責任を真正面から見据えた話題作。 1925 年に登場し、瞬く間に時代の寵児となったラジオ。ラジオ放送に携わった人々は、その成長と軌を一にするかのように拡大した「戦争」をどう捉え、どう報じたのか、あるいは報じなかったのか。また、どう自らを鼓舞し、あるいは納得させてきたのか。そして敗戦後はどう変わり、あるいは変わらなかったのか――。 本書では、「放送人」たちが遺した証言と記録、NHKにある稀少な音源・資料などを渉猟し、丁寧にたどり、検証しながら、自省と内省の視点を欠くことなく多面的に「戦争とラジオ」の関係を追い、ひいては、いまメディアに携わる者がどのように思考・模索し、振る舞うべきなのかをも照射したノンフィクション。 |
![]() | 密航のち洗濯 ときどき作家 宋 恵媛 (著), 望月 優大 (著), 田川 基成 (写真) 〈密航〉は危険な言葉、残忍な言葉だ。だからこれほど丁寧に、大事に、すみずみまで心を砕いて本にする人たちがいる。書き残してくれて、保存してくれて、調べてくれて本当にありがとう。100年を超えるこのリレーのアンカーは、読む私たちだ。心からお薦めする。 本書を通して、「日本人である」ということの複雑さ、曖昧さ、寄る辺のなさを、多くの「日本人」の読者に知ってほしいと切に願います。 1946年夏。朝鮮から日本へ、男は「密航」で海を渡った。 朝鮮と日本の間の海を合法的に渡ることがほぼ不可能だった時代。それでも生きていくために船に乗った人々の移動は「密航」と呼ばれた。 1946年夏。一人の男が日本へ「密航」した。彼が生きた植民地期の朝鮮と日本、戦後の東京でつくった家族一人ひとりの人生をたどる。手がかりにしたのは、「その後」を知る子どもたちへのインタビューと、わずかに残された文書群。 「きさまなんかにおれの気持がわかるもんか」 植民地、警察、戦争、占領、移動、国籍、戸籍、収容、病、貧困、労働、福祉、ジェンダー、あるいは、誰かが「書くこと」と「書けること」について。 この複雑な、だが決して例外的ではなかった五人の家族が、この国で生きてきた。 蔚山(ウルサン)、釜山、山口、東京―― |
![]() | 疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス) 近藤 一博 (著) 2023年に日本人10万人を対象に実施した調査によると、じつに78・5%の人が「疲れている」と答えたという。だが欧米では、「疲れているのに働く」ことは自己管理ができないだらしない行為と見なされるため、疲労の科学的な研究は軽視されてきた。「疲労」が美徳とされ、お互いを「お疲れさま」と称えあう特異な国だからこそ、日本の疲労研究は世界のトップを走っている。本書は、その日本で疲労研究をリードする著者が、数々のノーベル賞級の新研究をなしとげて見えてきた、疲労の驚くべき実像を明らかにするものである。 ◆どれだけ疲れているかは、唾液中のヘルペスウイルスの数でわかる! ◆うつ病は、疲労とウイルスから生じる遺伝子が原因である! ◆新型コロナ後遺症は、うつ病と同じ病的疲労の症状だった! ◆病的な疲労を起こす脳内炎症を消火する物質こそが、疲労対策のカギである! ◆そのほか、栄養ドリンクの飲みすぎはなぜ危険なのか、軽い運動はなぜ疲労を軽減するのか、トレーニングのしすぎはなぜうつ病の原因になるのか、など本当に役に立つ知識も満載! |
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