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ジブリ映画「君たちはどう生きるか」が「影響を受けた本」として注目『失われたものたちの本』の続編『失われたものたちの国』が刊行

異世界を旅する少年の成長を描いたダークファンタジー『失われたものたちの本』(著:ジョン・コナリーさん、訳:田内志文さん/創元推理文庫)が、〈宮﨑駿監督の映画『君たちはどう生きるか』が「影響を受けた本」〉として紹介されました。

なお、続編『失われたものたちの国』も東京創元社より発売中です。

 

異世界を旅する少年の冒険と成長を描いた物語

『失われたものたちの本』はアイルランドの作家、ジョン・コナリーさんが執筆したファンタジー作品です。おとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが生きる、美しくも残酷な物語の世界に迷い込んだ12歳の少年の冒険と成長を描き、全米図書館協会アレックス賞を受賞するなど高く評価されています。

 
【『失われたものたちの本』あらすじ】

母親を亡くして孤独に苛(さいな)まれ、本の囁(ささや)きが聞こえるようになった12歳のデイヴィッドは、死んだはずの母の声に導かれて幻の王国に迷い込む。

赤ずきんが産んだ人狼、醜い白雪姫、子どもをさらうねじくれ男……。そこはおとぎ話の登場人物たちが蠢(うごめ)く、美しくも残酷な物語の世界だった。元の世界に戻るため、少年は『失われたものたちの本』を探す旅に出る。本にまつわる異世界冒険譚。スピンオフ掌編「シンデレラ(Aバージョン)」を収録。訳者あとがき=田内志文さん。

 
日本では、翻訳者の田内志文さんが8年間にわたって「翻訳したい」と希望していた思いが結実し、2015年に東京創元社から単行本で刊行されました。新聞、雑誌、WEB等で多数の書評が掲載され版を重ねて、2021年に同社で文庫化されました。文庫版も好評で、すでに9刷に達しています。

 

スタジオジブリ映画「君たちはどう生きるか」が「影響を受けた本」として紹介

かねてから高評価を獲得し、多くの読者に愛されてきた『失われたものたちの本』ですが、〈宮﨑駿監督が手掛けた長編アニメ映画「君たちはどう生きるか」が「影響を受けた本」〉として紹介され、改めて大きな注目が集まっています。

 
映画「君たちはどう生きるか」はアニメ界の巨匠・宮﨑駿監督が、長編映画からの引退を撤回して取り組み、2023年7月に公開されたスタジオジブリの最新作。母を火事で亡くした少年が不気味な青サギに導かれ、生と死が入り交じる異世界に迷い込むファンタジーです。

劇場公開と共に国内外で大ヒットを記録し、その後、第96回米国アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞、第77回英国アカデミー賞アニメーション映画賞、第81回ゴールデン・グローブ賞アニメーション映画賞など、日本アニメーション史上初の快挙として数々の映画賞を受賞しました。

 
映画「君たちはどう生きるか」のBlu-ray、DVDが2024年7月に発売され、そのクレジットに

〈影響を受けた本 ジョン・コナリー著 「失われたものたちの本」〉

と表記・紹介され、再びスポットライトが当たっています。

 

待望の続編『失われたものたちの国』刊行

そして『失われたものたちの本』の待望の続編、『失われたものたちの国』が2024年6月28日、東京創元社より単行本にて刊行されました。

 
今作は、事故で昏睡状態に陥った娘の母親が、ある作家の書いた『失われたものたちの本』に導かれて、異世界を旅するストーリー。前作に続き、切り絵作家でイラストレーターの天羽間ソラノ氏製作の緻密で美しい切り絵により作品の世界観が見事に表現されたカバーになっています。

 
【『失われたものたちの国』あらすじ】

邪悪な魔女や人間を襲う人狼(じんろう)。クロスボウを構えたラプンツェル。人間を憎む恐ろしい妖精(フェイ)。
――「めでたしめでたし」なんて、無縁の世界。
ロンドンに暮らすセレスは、ひとりで8歳の娘を育てていたが、ある日、娘が交通事故で昏睡状態となってしまった。医師の勧めで、セレスは田舎にあるケア施設に娘を移すことにする。その施設の敷地には、『失われたものたちの本』という物語を書いた作家の古い屋敷があった。娘の看病を続けるセレスが限界を迎えた日、彼女は何者かに呼び寄せられるようにして屋敷の屋根裏部屋に入り込み、さまざまな本が呼びかけてくる声を聴いた。そこに突然現れた怪物に襲われ、屋敷から逃げ出すが、気がつくと知らない場所に迷い込んでいた。そこは魔女や人狼、巨人たちが存在する、美しくも残酷な世界だった。セレスは元の世界に戻れるのか? 異世界冒険譚『失われたものたちの本』続編!訳者あとがき=田内志文さん。

 

著者プロフィール

 
■ジョン・コナリーさん

1968年生まれ、アイルランド出身。犯罪小説、ホラー、ファンタジーなどを執筆。ダブリン大学およびダブリンシティ大学で学んだ後、フリーのジャーナリストとして活動。1999年のデビュー作『死せるものすべてに』はシェイマス賞を受賞したほか、ブラム・ストーカー賞とバリー賞にノミネートされた。

2007年に『失われたものたちの本』で全米図書館協会アレックス賞を、2014年に「キャクストン私設図書館」でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞とアンソニー賞の最優秀短編賞を受賞した。

 
■訳:田内志文(たうち・しもん)さん

文筆家、スヌーカー選手。訳書にコナリー『失われたものたちの本』『キャクストン私設図書館』、ジャクソン『10の奇妙な話』『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』、カウフマン『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件/奇妙という名の五人兄妹』、スティーヴンソン『新訳 ジキル博士とハイド氏』、オーウェル『1984』などがあるほか、アンソロジー『辞書、のような物語。』に短編「レネの村の辞書」が収録されている。

 

失われたものたちの本 (創元推理文庫)
ジョン・コナリー (著), 田内 志文 (翻訳)

本と物語を愛する私たちに必要な冒険がある。
32歳のセレスは、少女の姿に戻り、美しも残酷な異世界に迷い込んでしまう。
本にまつわるダーク・ファンタジー『失われたものたちの本』続編!

装画:天羽間ソラノ
装幀:藤田知子

失われたものたちの国
ジョン・コナリー (著), 田内 志文 (翻訳)

装画:天羽間ソラノ
装幀:藤田知子

 


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