ガブリエル・ガルシア=マルケスの歴史的傑作『百年の孤独』が50年の時を経て文庫化
新潮社は2024年6月26日、新潮文庫の夏のフェア「新潮文庫の100冊 2024」の目玉新刊の一冊として、ガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』文庫版を刊行します。
『百年の孤独』とは
『百年の孤独』は、1967年にアルゼンチンのスダメリカナ社から刊行され、現在まで46言語に翻訳されて5000万部を売り上げている世界的なベストセラーです。
著者は自作を黒澤明監督が映像化することを熱望しましたが、NETFLIXが2022年にノーベル平和賞受賞40年を祝して『百年の孤独』の映像化の権利獲得を発表、大きな話題を呼びました。
著者の生地をモデルにした不思議な村「マコンド」を舞台にした数世代にわたる一族の物語で、奇想天外なエピソードが延々と続きますが、不思議な中毒性があり、読後には大どんでん返しで奇妙な感動に包まれます。世界の名だたる作家たちが賛辞を惜しまず、その影響下にあることを公言している名著中の名著です。
筒井康隆さんによる書き下ろし解説を収録
本書巻末には小説家・筒井康隆さんが解説を寄稿しています。
筒井さんはSF同人誌「NULL」を創刊し、江戸川乱歩に認められて小説家として出発。中央公論社が発行していた伝説の文芸誌「海」の編集長・塙嘉彦さんと出会い、「もっと前衛的なものを書いてくれ」と求められました。同誌の海外文学特集に触発されながら、『虚人たち』『虚航船団』『残像に口紅を』『モナドの領域』といった傑作を次々と発表。60年以上の作家人生でフィクションの限界を突破し続けています。
筒井さんにとってガルシア=マルケスは特別な存在で、本書解説では〈「ラテン・アメリカの土俗性が喜ばれるのは日本の後進性を示している」などと嘯いていた〉文壇の老大家に〈まず鳩尾(みぞおち)に十七回突きを入れ、六十九回両ビンタを食わしてやりたいね〉と書いています。舌鋒鋭い解説をお楽しみください。
そのほか本書の翻訳者の故・鼓直さんによる訳者あとがきも収録されています。
世界的イラストレーター三宅瑠人さんが装画を担当
装画はイラストレーターの三宅瑠人さんが担当。三宅さんnはGucci、Birkenstock、Bottega VenetaやTOYOTAなどに作品を提供し、世界的な注目を集めるイラストレーターです。NHKの朝ドラ「虎に翼」のロゴ&メインビジュアルを制作したことでも話題になりました。
本作では「ブエンディア一族の年代記」をテーマとした作品を提供しています。
ガブリエル・ガルシア=マルケスについて
ガブリエル・ガルシア=マルケスは、1927年コロンビアの小さな町アラカタカ生まれ。ボゴタ大学法学部中退。「エル・エスペクタドル」紙の記者となってヨーロッパにわたり、ジュネーブ、ローマ、パリ各地を転々とする。
1955年に処女作『落葉』を発表。1967年に『百年の孤独』を発表後も、『族長の秋』『予告された殺人の記録』『コレラの時代の愛』『迷宮の将軍』など次々と歴史的傑作を刊行。1982年にはノーベル文学賞を受賞した。
キューバで社会主義政権を樹立したフィデル・カストロと深い親交を結び、アメリカ連邦捜査局から長年監視されたが、ラテンアメリカ世界では英雄的な作家であり、2014年に逝去した際には祖国コロンビアで国民が三日間にわたって服喪した。

ガブリエル・ガルシア=マルケス (c) LM.PALOMARES
<遺作の全世界発売も話題に>
本年3月にはガルシア=マルケスが生前最後に取り組んだ遺作『出会いはいつも八月』が世界中で刊行され、日本でも旦敬介さんによる翻訳で出版されたばかりです。ガルシア=マルケスの作品では珍しい、リアリズムに立脚した作品で、著者が最後まで新しい挑戦を続けていたことがわかります。
![]() | 百年の孤独 ガブリエル・ガルシア=マルケス (著) 100年の傑作が50年の時を経て文庫化。6月26日発売決定。世界46言語に翻訳され、5000万部を売り上げている世界的ベストセラー。宿業を運命づけられた一族の、目も眩む百年の物語。 |
![]() | 出会いはいつも八月 ガブリエル・ガルシア=マルケス (著), 旦 敬介 (翻訳) ひとりの女性がある島で営む、秘密の行為とは――。圧巻のラストに息をのむ、ノーベル文学賞作家が最期まで情熱を注いだ、未完の傑作! |
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▼試し読み | 『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア=マルケス、鼓直/訳 | 新潮社
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