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【2024年度 野間賞】野間文芸賞は中村文則さん、野間文芸新人賞に豊永浩平さん、野間児童文芸賞に長谷川まりるさん、野間出版文化賞にナガノさんら

講談社は11月5日、第77回野間文芸賞、第46回野間文芸新人賞、第62回野間児童文芸賞、第6回野間出版文化賞の受賞者・受賞作品を発表しました。

 

2024年度「野間賞」各賞が決定!

各賞の受賞者・受賞作品は次の通りです。

 
第77回野間文芸賞

中村文則(なかむら・ふみのり)さん
『列』(講談社)

 
第46回野間文芸新人賞

豊永浩平(とよなが・こうへい)さん
『月ぬ走いや、馬ぬ走い(ちちぬはいや、うんまぬはい)』(講談社)

 
第62回野間児童文芸賞

長谷川まりる(はせがわ・まりる)さん
『杉森くんを殺すには』(くもん出版)

 
第6回野間出版文化賞

◎新潮文庫(しんちょうぶんこ) ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独(ひゃくねんのこどく)』プロジェクトチーム
◎ナガノさん(代表作『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』

〔特別賞〕青山剛昌(あおやま・ごうしょう)さん(代表作『名探偵コナン』)

 

「野間賞」について

野間文芸賞、野間文芸新人賞、野間児童文芸賞の各賞は、講談社初代社長・野間清治さんの遺志により設立された財団法人野間文化財団が主催。「日本の文芸の質的向上を図り、その発展に寄与することを願って」設けられた文学賞です。

野間文芸賞は、純文学の小説や評論を対象とし、受賞者には正賞として賞牌、副賞として300万円が贈られます。
選考委員は、奥泉光さん、佐伯一麦さん、多和田葉子さん、町田康さん、三浦雅士さん。

野間文芸新人賞は、純文学の新人の作品を対象とし、受賞者には、正賞として賞牌、副賞として100万円が贈られます。
選考委員は、小川洋子さん、川上弘美さん、川上未映子さん、高橋源一郎さん、長嶋有さん。

野間児童文芸賞は、児童向けの文学やノンフィクションを対象とし、受賞者には正賞としてブロンズ像、副賞として200万円が贈られます。
選考委員は、いとうひろしさん、柏葉幸子さん、金原瑞人さん、富安陽子さん。

 
また、野間出版文化賞は2019年度より新設されたもので、「出版の再発明」をめざす講談社が創業110周年の記念事業の一環として、「出版にまつわるすぐれた表現活動を行った個人・団体を顕彰」することを目的としています。受賞者には、正賞として賞牌、副賞として100万円が贈られます。
選考委員は、林真理子さん、弘兼憲史さん、茂木健一郎さん、野間省伸さん(講談社代表取締役社長)。

 


中村 文則 (著)

男はいつの間にか、奇妙な列に並んでいた。
先が見えず、最後尾も見えない。そして誰もが、自分がなぜ並んでいるのかわからない。
男は、ある動物の研究者のはずだった。

現代に生きる人間の姿を、深く、深く見通す――。

競い合い、比べ合う社会の中で、私達はどう生きればいいのか。
この奇妙な列から、出ることはできるのだろうか。
ページをめくる手が徐々に止まらなくなる、最高傑作の呼び声も高い、著者渾身の一作。

月ぬ走いや、馬ぬ走い
豊永 浩平 (著)

第67回群像新人文学賞受賞!新たな戦争の時代に現れた圧倒的才能!21歳の現役大学生、衝撃のデビュー作。
先祖の魂が還ってくる盆の中日、幼い少年と少女の前に、78年前に死んだ日本兵の亡霊が現れる――。時空を超えて紡がれる圧巻の「語り」が、歴史と現在を接続する!

島尾敏雄ほか先人のエコーを随所に響かせながら、沖縄に深く堆積したコトバの地層を掘り返し、数世代にわたる性と暴力の営みを、『フィネガンズ・ウェイク』的な猥雑さで、書きつけた作品。Z世代のパワフルな語部の登場を歓迎する。
―― 島田雅彦

十四章の構成で沖縄の近現代史を描き切る、しかも連関と連鎖、いわば「ご先祖大集合、ただし無縁者も多い」的な賑わいとともに描き切る、という意図はものになった、と私には感じられた。/この小説はほぼ全篇、ある意味では作者自身のものではない言葉で綴られていて、だからこそ憑依的な文体を自走させている。つまり、欠点は「長所」なのだ、と私は強弁しうる。要するにこの「月ぬ走いや、馬ぬ走い」は小さな巨篇なのだ。
―― 古川日出男

「読んだものを茫然とさせ、彼のいままでを氷づけにし、そのうえで、読むことをとおしてあたらしい魂を宿らせる、そんな小説でありたい……テクストでの魂込め(まぶいぐみ)とでも呼ぶべきところが、ぼくの目標です。」豊永浩平(受賞のことば)

ぼくがここにいて、そしてここはどんな場所で、なによりここでぼくはこうして生きてきた、ってことを歌って欲しいんだ、ほとばしるバースはライク・ア・黄金言葉(くがにくとぅば)、おれらは敗者なんかじゃねえぞ刻まれてんのさこの胸に命こそ宝(ぬちどぅたから)のことばが、月ぬ走いや、馬ぬ走いさ!

杉森くんを殺すには (くもんの児童文学)
長谷川 まりる (著), おさつ (イラスト)

――「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。

傷ついた心を、取りもどす物語

 
【関連】
野間文芸賞 : 講談社
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