谷川俊太郎さん×永井玲衣さん『13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば』が刊行
自分にもまわりにも鋭く感じてしまう10代と、その心を今でも持つおとなたちに向けた、心が解きほぐれる本『13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば』(原著:チャールズ・M・シュルツ/訳:谷川俊太郎さん/文:永井玲衣さん)が世界文化社より刊行されました。
多感な10代の心に寄り添う「ピーナッツ」の仲間たちのことば
スヌーピーやチャーリー・ブラウンで知られるコミック「ピーナッツ」は、チャールズ・M・シュルツによって1950年から半世紀にもわたり新聞連載されました。コミックに登場する個性豊かな仲間たちも、わたしたちと同じように、簡単にわりきれず、複雑で、なやみと笑いに満ちた日々を送っています。
本書では、友だち、将来、恋愛、そして自分のことなど10代が抱えるなやみについて、「ピーナッツ」の仲間たちの70のことばを集めています。
思わずクスッとしてしまうかわいいコミックで癒されながら、個性豊かなキャラクターたちの柔軟で新鮮で切実な考えに触れ、抱えていた悩みが解きほぐれる一冊です。
<70のことばより抜粋>
「ぼくはぼくであることで、ひとに好かれたい…」(チャーリー・ブラウン)
「こんな家族とはやってられない!!」(ルーシー)
「わたし、大きな鼻してると思う、チャック?
いつかだれかがわたしを愛してくれると思う?」(ペパーミント パティ)
「両親はオールAをとれない子でも、ほんとに愛せると思う?」(マーシー)
「ぼくらはみんな、未知のものをこわがるんだと思うよ」(ライナス)
「もし来週、学校でなにか聞かれて答えられなかったら、どうすればいいの?」(サリー)
「みんながそうするからって、きみがしなきゃならないってことはないんだ…」(スヌーピー)
ピーナッツの仲間たち×永井玲衣さん×きみ=70の「哲学対話」
チャールズ・M・シュルツが描き、谷川俊太郎さんが見事な翻訳を手掛けた「ピーナッツ」の世界と、多感な10代の心を持つ読者を繋ぐのは、いま注目の哲学者・永井玲衣さん。10代を決して子ども扱いせず、対等な立場から誠実に寄り添う文が真っ直ぐ心に届きます。
《わたしは13歳のころ、がっかりした子どもだった。世界に、他者に、そして何より自分にがっかりしていた。(中略)あなたはどう?》
――永井玲衣さん(本書「はじめに」より)
永井玲衣さんは、学校・企業・神社・美術館・自治体など、いろんなところで人々と考え合う「哲学対話」の場をひらいている哲学者です。初の著書『水中の哲学者たち』(晶文社)をきっかけに熱い眼差しが注がれ、2024年2月には「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」(2024年 第17回)を受賞。普段から10代の生の考えにも触れているからこそ、”感じているけれど言葉にできない想い”を実直なことばで表し寄り添ってくれます。
《「あなたはあなたのままで」とか「目の前のしあわせに気づこう」とか言ってくる本がきらいだった。そんなことはもう知っているから。そうじゃない社会や、実感できない自分におこっているのに、本はすべすべしたことばをくれるだけ。(中略)もしあなたが、13歳のころのわたしのようにがっかりしているなら、こっちに座っていっしょに考えよう。》
――永井玲衣さん(本書「おわりに」より)
「ピーナッツ」の仲間たちの個性に触れることができる
本書は、キャラクターごとに章が分けられているため、それぞれがどんなことを考え感じているのか、よく知ることができます。
良くも悪くも考えすぎるタイプのチャーリー・ブラウン、わがままだけど自分の気持ちに正直なルーシー、どんなにひどい成績でも自分を見失わないペパーミント パティ、勉強ができるけど実は両親の愛にうえているマーシー、「安心毛布」が手放せないけれど哲学的な名言が多いライナス、当たり前のことでも「なぜ?」が止まらない学校ぎらいなサリー、そして、ありのままの自分が好きで、日々のしあわせを見つけるのが得意なスヌーピー。ほかにも、おもちゃのピアノに没頭するシュローダーや、自分がなんの小鳥かも知らないウッドストックなど、お馴染みの仲間たちが登場します。
ひとつの物事に対する感じ方がそれぞれ違うからこそ、ややこしくて、ずっこけていて、魅力的である「ピーナッツ」の世界。それは、いろんな人たちがいっしょに生きているこの世界と同じです。本書を通して、自分やまわりの人に似ているキャラクターを探してみるのもいいかもしれません。
<一足先に読んだ子どもたちと保護者の感想>
「スヌーピーってこういう話だったのか、と初めて知った。ルーシーが特に面白く、『歴史上の男しか…』など、現代的で驚いた。この先を一緒に考えてみようという言葉かけがとても良く、娘に見せたい」(18歳の娘の父)
「自分が思っている心の言葉を言ってくれている気がした」(中学1年生)
「今の時代の感覚で文が書かれていてよいと思った」(中学3年生)
「スヌーピーの安心感とさくさく読める分量がよかった。『なかなおり』『もし同じものが好きなふたりなら』といったテーマがよかった。 多様な価値観があることを子どもに知ってほしい」(13歳の娘の母)
「ところどころキャラクター紹介があって楽しかった」(中学1年生)
著者プロフィール
■原著:チャールズ・M・シュルツ
1922年生まれ、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリス出身。通信教育で絵を学び、漫画家を志す。1950年、28歳のとき「ピーナッツ」の新聞連載を開始。以来、半世紀にわたり17897のコミックを描き、世界中で2600紙の新聞で掲載。2000年2月12日夜、77歳で永眠。それは、最終回の日曜版が配達される前日のことだった。
■訳:谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さん
1931年生まれ、東京都出身。詩人。1952年、21歳のとき初の詩集『ニ十億光年の孤独』を発表。1960年代後半より「ピーナッツ」の翻訳を手がけ『完全版 ピーナッツ全集』(河出書房新社)で完訳を果たす。日本の読者によく知られた「ピーナッツ」のなかまたちのことばは、その名訳によるもの。好きな登場人物はウッドストック。
■文:永井玲衣(ながい・れい)さん
1991年生まれ、東京都出身。哲学者。人びとと考えあう場である哲学対話を幅広く行っている。哲学エッセイの連載多数。2021年、30歳のとき初の著書『水中の哲学者たち』(晶文社)を発表。2024年、第17回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞。好きな登場人物は「安心毛布」の手放せないライナス。
13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば チャールズ・M・シュルツ (原著), 谷川 俊太郎 (翻訳), 永井 玲衣 (著) ひとりでがっかりしないで、一緒に考えよう。 ●友達、将来、学校、恋愛、そして自分のこと…… ●ややこしくて、ずっこけていて、それでも自分らしく生きる「ピーナッツ」の仲間たち。 わたしは13歳のころ、がっかりした子どもだった。 ●インクや製本までこだわり抜かれ、クールで愉快な「ピーナッツ」が表現された一冊は、プレゼントにもぴったりです。 誠実な文で読者と原作を繋ぐのは、学校や美術館などいろいろなところで様々な人々と「哲学対話」を行っている、いま注目の哲学研究者・永井玲衣。 日頃から「哲学対話」などで10代の生の声に真剣に向き合ってきたからこそ、決して読者を子ども扱いせず、友だちのように寄り添って新しい世界の見方を一緒に考えます。 個性豊かなキャラクターたちが、それぞれの在り方で一緒に生きる「ピーナッツ」の世界。本を |
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