「毎日風呂に入るのは当たり前」という感覚はいったいどこからきたのか? 川端美季さん『風呂と愛国』が刊行
川端美季さんによる、衛生と統治をめぐる日本近代史『風呂と愛国 「清潔な国民」はいかに生まれたか』がNHK出版より刊行されました。
日本人=入浴好き?
「心身から老廃物を排出し、人々に健康と清潔、社会に寛容と調和をもたらす入浴は、人間が生み出した最高ランクの文明だ。本書はその自明性を解きほぐす。」
――ヤマザキマリさん(漫画家、『テルマエ・ロマエ』作者)
日本人らしさとしても語られがちな「毎日風呂に入るのが当たり前」という意識。私たちが無意識に内面化しているこの感覚は、いったいどこからきたのでしょう?
本書は、西洋人が見た江戸の庶民の入浴習慣から「日本人は風呂好き」言説のルーツ、家政書で説かれた女性の役割、さらには教育勅語と関わる国民道徳論で議論された精神の「潔白性」まで、入浴をめぐる日本の歴史を丹念に紐解き、新しい日本近代史を示します。

法隆寺の浴室(著者撮影)

山東京伝『賢愚湊銭湯新話』、国立国会図書館蔵
本書の構成
まえがき
第一章 風呂とは古来なんだったのか―前近代の湯屋と西洋のまなざし
第二章 管理・統制される浴場―明治期の湯屋をめぐる風景
第三章 「風呂好きな日本人」の誕生―入浴はなぜ美徳になったのか
第四章 日本の新しい公衆浴場―欧米の公衆浴場運動と日本の入浴問題
第五章 近代日本の新たな「母親」像―家庭衛生から「国民」の創出へ
第六章 精神に求められる清潔さ―国民道徳論と「潔白性」
第七章 世のため国のための身体―国定修身教科書のなかの清潔規範
あとがき
著者プロフィール
川端美季(かわばた・みき)さんは、1980年生まれ、神奈川県出身。立命館大学生存学研究所特別招聘准教授。専門は公衆衛生史。立命館大学先端総合学術研究科修了。博士(学術)。
著書に『近代日本の公衆浴場運動』(法政大学出版局)、共編著に『障害学国際セミナー2012―日本と韓国における障害と病をめぐる議論』(生活書院)がある。
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