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山口未桜さん「第34回鮎川哲也賞」受賞作『禁忌の子』が刊行

長編ミステリを公募する新人文学賞「第34回鮎川哲也賞」を受賞した、山口未桜さん著『禁忌の子』が書籍化され、東京創元社より刊行されました。

なお、「第34回鮎川哲也賞」の選評が掲載された『紙魚の手帖』vol.19も同時発売されています。

 

現役医師が描く医療×本格ミステリ『禁忌の子』

東京創元社が主催する文学新人賞「鮎川哲也賞」。多くの書き手を輩出しているミステリの新人賞から、今年も注目すべき才能の登場です。選考委員の青崎有吾さん、東川篤哉さん、麻耶雄嵩さんの満場一致で選出されました。

 
主人公は救急医の武田と、武田の旧友で消化器内科医の城崎。
ある日、武田の元に搬送されてきた一体の溺死体。その遺体を目にした武田たちスタッフに衝撃が走ります。身元不明のその遺体は、武田と瓜二つだったのです。
その男はなぜ死んだのか、武田自身との関係性は何なのか。
武田は城崎と共に調査を開始するが、ようやく謎の鍵を握る人物に辿り着いた矢先、その人物は死体となって発見される……。

 
著者の山口未桜さんは、1987年生まれ、兵庫県出身。現役の医師として働きながら小説を執筆しています。本作は医師である著者だからこそ描けた、リアルでさらに一歩踏み込んだ医療ミステリであり、読者を物語の世界に引き込んで離さない本格ミステリとなっています。

 
本作の冒頭に「受賞の言葉」として執筆への思いや選考委員への感謝などが述べられています。
また、巻末では選考委員各氏の選評も掲載されています。

 
【あらすじ】
救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ! 第三十四回鮎川哲也賞受賞作。

 
★「私が鮎川哲也賞を受賞するまで(第1回)」山口未桜(WEB東京創元社マガジン)
https://note.com/tokyosogensha/n/nea589c485bae

★「私が鮎川哲也賞を受賞するまで(第2回)」山口未桜(WEB東京創元社マガジン)
https://note.com/tokyosogensha/n/n9d3d8d1cb864

★「私が鮎川哲也賞を受賞するまで(第3回)」山口未桜(WEB東京創元社マガジン)
https://note.com/tokyosogensha/n/n31d1ffb217f0

 
『禁忌の子』には、刊行前から多くの作家から絶賛の声が寄せられています。

さらに、書店員からもコメントが続々と寄せられています。その一部を紹介します。

「物語の始まりから、ぐっと惹き込まれます。知りたいようで、知ってはならないと揺れてしまう。思いもよらぬ真実に絶句。物語が終わっても、まだ考え続けてしまう。ミステリと共に、医療の光と影を炙り出す作品でした。」
――未来屋書店大日店 石坂華月さん

「自分と同じ姿形の遺体。それだけで自分の存在というものを信じられなくなってしまう。自分のルーツとは。調べ始めたら起こる事件に翻弄される主人公。医療小説だが大変読みやすく、ミステリとしてもかなり驚かされた。」
――宮脇書店ゆめモール下関店 吉井めぐみさん

「社会派、医療ミステリであるとともに、論理の展開が本格ミステリで、その多重的な構造に圧倒されました。探偵役の城崎のキャラクター造形がとても魅力的でした。一作の探偵役で終わるには勿体ないキャラクターだと思いました。」
――ジュンク堂書店旭川店 松村智子さん

「読み終えて、タイトルに込められた本当の意味がわかった時の戦慄。これは美しくも悲しい愛の物語でもある。これがデビュー作とは末恐ろしい作家がまた1人誕生した。」
――六本松 蔦屋書店 峯多美子さん

「非現実的な出来事に衝撃を受けた冒頭から、軽やかな語り口に誘われるまま引き込まれて夢中になって読んだ。医療ミステリだから専門用語も多いが、会話も含めた文章のテンポが良く、詰まらずに読める。ミステリの醍醐味を存分に味わえた傑作。これこそ読書の、ミステリの楽しみ。」
――HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん

 

著者プロフィール

山口未桜(やまぐち・みお)さんは、1987年生まれ、兵庫県出身。大阪府在住。神戸大学卒業。現在は医師として働く傍ら、小説を執筆している。2024年『禁忌の子』で第三十四回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。

 

鮎川哲也賞について

鮎川哲也賞は、東京創元社が主催し、「創意と情熱溢れる鮮烈な推理長編」を公募する新人文学賞です。正賞はコナン・ドイル像、賞金は「印税全額」となっています。受賞作は10月に東京創元社より刊行されます。

なお、第1回(平成2年度)の芦辺拓さん以来、石川真介、加納朋子、近藤史恵、愛川晶、北森鴻、満坂太郎、谺健二、飛鳥部勝則、門前典之、後藤均、森谷明子、神津慶次朗、岸田るり子、麻見和史、山口芳宏、七河迦南、相沢沙呼、安萬純一、月原渉、山田彩人、青崎有吾、市川哲也、内山純、市川憂人、今村昌弘、川澄浩平、方丈貴恵、千田理緒、岡本好貴の各氏をはじめ、 これまで斯界に新鮮な人材を輩出しています。

 

禁忌の子
山口 未桜 (著)

【第34回鮎川哲也賞受賞作】

投稿作であることも忘れ手に汗握った。
読者を没入させるストーリーテリングができる方だ
青崎有吾

とにかく書きっぷりが達者で、私は作品の半ばまで読んで
「これが今年の鮎川賞だな」と確信した
東川篤哉

良質なサスペンスドラマのように、主人公が歩みを進めるたびに
真相に近づいていく展開は見事のひと言
麻耶雄嵩

救急医・武田の元に搬送されてきた自身と瓜二つの溺死体。
彼はなぜ死んだのか、なぜ同じ顔をしているのか。
「俺たち」は誰なんだ。

現役医師が描く医療×本格ミステリ
第34回鮎川哲也賞、満場一致の受賞作

装画:Q-TA
装幀:大岡喜直(next door design)

 
【関連】
試し読み|禁忌の子
鮎川哲也賞 | 東京創元社
「私が鮎川哲也賞を受賞するまで(第1回)」山口未桜|Web東京創元社マガジン
「私が鮎川哲也賞を受賞するまで(第2回)」山口未桜|Web東京創元社マガジン
「私が鮎川哲也賞を受賞するまで(第3回)」山口未桜|Web東京創元社マガジン

 


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