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逸木裕さん〈精緻でビター〉な連作ミステリ『彼女が探偵でなければ』が刊行

逸木裕さんの連作ミステリ小説『彼女が探偵でなければ』がKADOKAWAより刊行されました。

 

たった1行――この謎解きは切なく、痛い

 
探偵は向き合う。現代の空白に、少年たち(ぼくら)の心の空白に。
みどり、また一段と良い探偵になったじゃないか。
――阿津川辰海さん

本作は、収録作「スケーターズ・ワルツ」が第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉を受賞した『五つの季節に探偵は』と対になる短編集です。

人の〈本性〉を暴かずにはいられない探偵・森田みどりが、探偵として生きてきた自分自身と向き合っていきます。たった1行の切ない真相が読者の心に刺さる、精緻なミステリと重厚な人間ドラマとなっています。

 
【あらすじ】

こうなることを知っていたら、わたしは探偵をやめていただろうか。

森田みどりは、高校時代に探偵の真似事をして以来、人の〈本性〉を暴くことに執着して生きてきた。気づけば二児の母となり、探偵社では部下を育てる立場に。

時計職人の父を亡くした少年(「時の子」)、千里眼を持つという少年(「縞馬のコード」)、父を殺す計画をノートに綴る少年(「陸橋の向こう側」)。〈子どもたち〉をめぐる謎にのめり込むうちに彼女は、真実に囚われて人を傷つけてきた自らの探偵人生と向き合っていく。謎解きが生んだ犠牲に光は差すのか。痛切で美しい全5編。

 
〔収録作品〕
時の子/縞馬のコード/陸橋の向こう側/太陽は引き裂かれて/探偵の子

 
〈全国の書店員さんから感動の声、続々!〉

真実を包み隠さず明かすことが、幸せとは限らない。
しかし、それでも彼女は真実を追い求める。
自身が傷つきながらも、謎と対峙し進みゆく姿に、強い決意と信念を感じました。
胸に痛みをともないながらも、繊細で美しい心が満ち溢れた、ヒューマンサイコロジー小説。
――紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん

みどりのその後が読めた!嬉しい!
謎に執着することをやっぱり悩んでいる。真実を知らなかった方がいいことも世の中にはあるのかも知れない。だけど向き合うことで進めることもあるんじゃないのか。色々と考えてしまった。
それにしても面白い。ミステリーをしっかり楽しめた読後感。最高でした。
――宮脇書店ゆめモール下関店 吉井めぐみさん

謎を解明し真実を明らかにする事が、果たして誰にとっても正義なのだろうか。
自らの加害性に気付かされてしまう、心に突き刺さるミステリ。
――HMV&BOOKS OKINAWA 中目太郎さん

 

収録短編「時の子」冒頭30ページを公開!

父の本当の姿を、僕は知っていたのだろうか。時計師だった父の死から2ヶ月。店に現れた探偵は、3年前に防空壕で起きた出来事に興味津々で――。

★収録短編「時の子」の冒頭30ページを「カドブン」note出張所にて公開中。
https://note.com/kadobun_note/n/ncfaaca5f7d30

 

著者プロフィール

逸木裕(いつき・ゆう)さんは、1980年生まれ、東京都出身。学習院大学法学部法学科卒業。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。

2022年「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉を受賞。同作を含む『五つの季節に探偵は』の他、『少女は夜を綴らない』『星空の16進数』『銀色の国』『空想クラブ』『四重奏』など著書多数。

 

彼女が探偵でなければ
逸木 裕 (著)

装画:げみ
装丁:原田郁麻

<既刊>

五つの季節に探偵は (角川文庫)
逸木 裕 (著)

“人の本性を暴かずにはいられない”探偵が出会った、魅惑的な5つの謎。

高校二年生の榊原みどりは、同級生から「担任の弱みを握ってほしい」と依頼される。担任を尾行したみどりはやがて、隠された“人の本性”を見ることに喜びを覚え――。(「イミテーション・ガールズ」)

探偵事務所に就職したみどりは、旅先である女性から〈指揮者〉と〈ピアノ売り〉の逸話を聞かされる。そこに贖罪の意識を感じ取ったみどりは、彼女の話に含まれた秘密に気づいてしまい――。(「スケーターズ・ワルツ」第75回日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞作)

精緻なミステリ×重厚な人間ドラマ。じんわりほろ苦い、珠玉の連作短編集。

装画:禅之助
装丁:原田郁麻

試し読み

 
【関連】
試し読み|彼女が探偵でなければ

 


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