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はたして神は幾何学者なのか?『時空のゆがみを解きほぐす数学』が刊行

フィールズ賞受賞の世界的権威の数学者が現代物理学の基盤である〈一般相対性理論〉を徹底解説する、スティーヴ・ネイディスさん&シン=トゥン・ヤウさん著『時空のゆがみを解きほぐす数学』(監訳:辻川信二さん)がすばる舎より刊行されました。

 

重力論・宇宙論のあゆみを一気に読める!

時空のゆがみ(=重力)の働きを、宇宙の摂理として記述するのに不可欠なツールとなった幾何学とは?
謎めいた原題《The Gravity of Math》(数学の重力)にこめられたものがボディブローのように沁みてきます。

 
本書「あとがき」で「ブラックホールに関する経験的証拠は議論の余地のないものとなっている」と、原著者の一人であるヤウ教授は断言しています。

いわく、かつてはSF(サイエンス・フィクション)領域の空想の産物だったブラックホールは、「いまや一般相対性理論の限界を探り、量子重力へのさまざまなアプローチの可能性を評価するための主要な実験場の一部」となっています。時空と重力、そして摩訶不思議なブラックホールに関連して「無毛定理」や「宇宙検閲官仮説」、さらには「弦理論」「11次元多様体」など、〈私たちの宇宙〉を探りつづける〈科学者たちの歩み〉を総覧することもできる内容です。

 

本書の構成

はじめに

前奏曲 円錐の切り方は一つじゃない

第1章 落下する物体、移り変わるパラダイム

第2章 「一般」へ至る道すじ

第3章 最高傑作

第4章 特異すぎる解

第5章 その波を追いかけて

第6章 全宇宙の方程式

第7章 質量問題という問題のかたまり

第8章 「統一」への探求

後奏曲 真のミステリースポットはどこにある?

おわりに

監訳者あとがき

原註/索引

 

著者プロフィール

 
■スティーヴ・ネイディス(Steve Nadis)さん

サイエンス・ライター。米国マサチューセッツ州ケンブリッジ在住。ハンプシャー・カレッジ卒。米国の著名な科学誌《Discover》 で寄稿編集者、同じく米国の科学誌《Quanta》 のライターをつとめる。ヤウさんとの共著は(本書を含め) すでに5冊を数え、そのうち、『見えざる宇宙のかたち―ひも理論に秘められた次元の幾何学』(訳:水谷淳さん/岩波書店/ 2012年/原題は《The Shape of Inner Space》)、『宇宙の隠れた形を解き明かした数学者―カラビ予想からポアンカレ予想まで』(訳:久村典子さん/日本評論社/2020年/原題は《The Shape of a Life》)の2冊が日本語版として刊行されている。

 
■シン=トゥン・ヤウ(Shing-Tung Yau)さん

中国・広東省汕頭市出身。香港中文大学卒業後に渡米。カリフォルニア大学バークレー校で学び、1971年に博士号取得。1990年、米国籍取得。ハーヴァード大学名誉教授。現在は北京在住で、2022年より清華大学で数学主任教授。時空の余剰次元を6次元とする「カラビ=ヤウ多様体」 の生みの親として宇宙論の分野で名を知られ、数学に関する賞の最高権威「フィールズ賞」 を1982年に受賞。また、アインシュタインの友人で同級生だったスイスの数学者グロスマン(本書にも登場)の名を冠した「マルセル・グロスマン賞」 を2018年に受賞した。漢字表記は丘成桐(きゅう・せいとう/ヤウ・シントゥン)

 
■監訳:辻川信二(つじかわ・しんじ)さん

早稲田大学先進理工学部物理学科教授。専攻は一般相対性理論、宇宙論。博士(理学)。東京大学理学部数学科卒業後、早稲田大学大学院理工学研究科で宇宙物理学を専攻。2001年、同研究科で博士後期課程修了。2003年、英国ポーツマス大学 Institute of Cosmology and Gravitation に研究員として滞在。2004年に帰国し、群馬工業高等専門学校講師、東京理科大学准教授、同教授をへて、2020年より現職。著書bに『入門 現代の宇宙論』(講談社/2022年)、『相対性理論が描く宇宙の未来』(C&R研究所/2015年)、『現代宇宙論講義』(サイエンス社/2013年)など。

 

時空のゆがみを解きほぐす数学
スティーヴ・ネイディス (著), シン=トゥン・ヤウ (著), 辻川 信二 (監修)

はたして神は幾何学者なのか?

フィールズ賞受賞の世界的権威の数学者が、現代物理学の基盤である〈一般相対性理論〉を徹底解説。
時空のゆがみ(=重力)の働きを、宇宙の摂理として記述するのに不可欠なツールとなった幾何学とは?
謎めいた原題《The Gravity of Math》(数学の重力)にこめられたものがボディブローのように沁みてもくる好著。

本書「あとがき」で「ブラックホールに関する経験的証拠は議論の余地のないものとなっている」と、原著者の一人であるヤウ教授は断言する。いわく、かつてはSF(サイエンス・フィクション)領域の空想の産物だったブラックホールは、「いまや一般相対性理論の限界を探り、量子重力へのさまざまなアプローチの可能性を評価するための主要な実験場の一部」となっている。時空と重力、そして摩訶不思議なブラックホールに関連して「無毛定理」や「宇宙検閲官仮説」、さらには「弦理論」「11次元多様体」など、〈私たちの宇宙〉を探りつづける〈科学者たちの歩み〉を総覧することもできる本。

 


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