ナボコフ、エリオットらが絶賛し、ルー・リードが師と仰いだ「新世代の代弁者」デルモア・シュワルツの本邦初短編集『夢のなかで責任がはじまる』が刊行
「アメリカ文学史上の伝説的作家」デルモア・シュワルツの本邦初作品集『夢のなかで責任がはじまる』(序文:ルー・リード/訳:小澤身和子さん)が河出書房新社より刊行されました。
アメリカ文学史上の伝説的作家デルモア・シュワルツの本邦初短編集『夢のなかで責任がはじまる』
《20歳になる主人公の青年が映画館に入ると、若い頃の両親がリゾートでぎこちないデートをする姿が上映されていた。
強引な父が母の気持ちを汲まぬままデートを続けるのを見た主人公は、
「やめたほうがいい! 何もいいことなんか起きないんだ」
とスクリーンに向かって叫ぶが何も変えられず、係員にたしなめられる。
やがて父は母にプロポーズをしてしまい……》
ウラジーミル・ナボコフが、「アメリカ文学のお気に入りの6つの短編」として、サリンジャーの「バナナフィッシュ日和」などと並べて絶賛した、デルモア・シュワルツの短編「夢のなかで責任がはじまる」。
大恐慌時代の1937年に雑誌「パルチザン・レヴュー」で本作が発表されるや、時代の声を聴く「新世代の代弁者」として、若い読者を中心に熱狂的に受け入れられました。
日本国内でも柴田元幸さん、坪内祐三さん、鮎川信夫などアメリカ文学の紹介者からこよなく愛された作品です。
表題作のほか、若い作家たちが集うサークルでの群像劇「この世界は結婚式」、恐慌時代の中流ユダヤ人家庭の三世代の姿を描いた「生きる意味は子どもにあり」など、ニューヨークをおもな舞台に、若者たちが抱える焦りと輝きをクールな筆致で活写した全8編を収録。
「アメリカ文学史上の伝説的作家」による、本邦初作品集です。
孤高のアート探究者、ルー・リードによる「序文」収録!
《俺は書いてみたかった。あんたと同じくらいうまい一文を。
俺が目指す山。俺のインスピレーション。
あんたは史上最高の短編を書いたんだよ。
夢のなかで。》
――ルー・リード(本書「序文」より一部抜粋)
本書「序文」は、シラキューズ大学でシュワルツから文学、詩作を教わり、後の活動に大きな影響を受けたミュージシャンのルー・リードによるもの。
「おゝ デルモア あんたがいなくてどれだけ寂しいか」(O Delmore How I miss you)
という書き出しからはじまるこの序文には、師への敬愛の念と、彼との個人的なエピソードの数々が、まるで音楽に乗せ歌うように綴られています。
「これまで会ったなかでいちばん偉大な人だった」
と述懐するルーは、バンド初のアルバム「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」に収録した楽曲「European Son」を師シュワルツに捧げています。
本書の目次
序文(ルー・リード)
夢のなかで責任がはじまる
アメリカ! アメリカ!
この世界は結婚式
大晦日
卒業式のスピーチ
陸上競技会
生きる意味は子どもにあり
スクリーノ
訳者あとがき(小澤身和子)
著者プロフィール
[著]デルモア・シュワルツ(Delmore Schwartz)
アメリカの作家・詩人。1913~1966。ナボコフ、エリオットらがその才能を絶賛し、ソール・ベロー、鮎川信夫、ルー・リードなどに影響を与えた。短編集『夢のなかで責任がはじまる』、詩集『創世記』など。
[序文]ルー・リード(Lou Reed)
1942年生まれ、ニューヨーク州ブルックリン出身。1965年ヴェルヴェット・アンダーグラウンド結成。1972年ソロ活動に入る。2013年没。
[訳]小澤身和子 (おざわ・みわこ)さん
翻訳者。訳書に『アメリカ死にかけ物語』『サワー・ハート』(以上、河出書房新社)、『クイーンズ・ギャンビット』(新潮社)、覚醒せよ、セイレーン』(左右社)、『ベル・ジャー』(晶文社)など。
![]() | 夢のなかで責任がはじまる デルモア・シュワルツ (著), ルー・リード (著), 小澤 身和子 (翻訳) ニューヨークを舞台に、若者たちが抱える焦りと輝きをクールな筆致で捉え、ナボコフがサリンジャーと並べて鋭い才能を讃えた「新時代の代弁者」、待望の本邦初作品集! 「夢のなかで責任がはじまる」という一作の短編により鮮烈な登場を果たすや、ウラジーミル・ナボコフ、T・S・エリオットらにその鋭い才能を絶賛され、20世紀アメリカ文学史上に一条の軌跡を残した伝説的作家デルモア・シュワルツ。 ●序文=ルー・リード |
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