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堀江敏幸さん訳『土左日記』が「河出文庫 古典新訳コレクション」より刊行

河出文庫・古典新訳コレクション『土左日記』

河出文庫・古典新訳コレクション『土左日記』

河出書房新社は「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」収録作品として2016年1月に刊行された『竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記』から、堀江敏幸さん訳『土左日記』を文庫化し、河出文庫より刊行しました。

 

虚実のあわいで綴られる55日間の船の旅

をとこもすなる日記といふものををんなもしてみむとてするなり。

 
『土左日記』は平安時代前期から中期にかけて活躍した歌人・紀貫之(きのつらゆき)によって書かれた日本最古の日記文学です。土佐国司の任を終えて京の自邸に戻るまでの五十五日間の船旅の経験をもとに仮名文字で書かれ、のちの女流文学にも大きな影響を与えたと言われています。

 
堀江敏幸さん訳『土左日記』では、日記の現代語訳に加え、『土左日記』を起草するまでの貫之の境遇と筆をおいたあとの心境を理解するため、訳者によって書かれた「貫之による緒言」と「結言」を収録。貫之の生涯に添い、自問の声を聞き、その内面を想像して用意されたテクストによって、作品への理解がいっそう深まります。

 
平安文学ブームのいま、日本最古の日記文学を芥川賞作家・堀江敏幸さんによる試みに満ちた現代語訳で、ぜひお愉しみください。

 
「船が揺れ、貫之も揺れ、語り手が揺れて、私もまだ揺れている。」
――堀江敏幸さん

 

訳者プロフィール

堀江 敏幸(ほりえ・としゆき)さんは、1964年生まれ、岐阜県出身。1999年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年『河岸忘日抄』、2010年『正弦曲線』で読売文学賞、2012年『なずな』で伊藤整文学賞、2016年『その姿の消し方』で野間文芸賞などを受賞。

その他の著書に、『郊外へ』『書かれる手』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『オールドレンズの神のもとで』『中継地にて 回送電車Ⅵ』『未見坂』など多数。

 

土左日記 (河出文庫)
堀江 敏幸 (翻訳)

日本最古の日記文学を試みに満ちた新訳で味わう。貫之の自問の声を聞き、その内面を想像して書かれた緒言と結言を合わせて収録。

 


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