片岡義男さん〈写真+珈琲エッセイ+短編小説〉『僕は珈琲』が刊行

片岡義男さん著『僕は珈琲』
2018年に刊行されたヒット作『珈琲が呼ぶ』から5年――片岡義男さんが新たに書き下ろした珈琲エッセイ『僕は珈琲』が光文社より刊行されました。
52篇のエッセイ、そのすべてが珈琲とつながっている
大瀧詠一/スティーヴ・マックイーン/男はつらいよ/刑事コロンボ/植木等/チャールズ・ブロンソン/歯科診察券/宮沢賢治/リチャード・ブローティガン……
エッセイに登場する人物、モノ、事柄は実に多彩。これらがどう珈琲と関係してくるのか、推理しながら読むのも楽しい一冊です。
エッセイの本文中に挿し込まれた写真も見どころのひとつ。「25歳のとき、自分が映っている写真をすべて捨ててしまった」という片岡義男さんが、25歳以降の秘蔵写真を「時系列に並べて」公開しています。ファンにとっては驚きのポートレート群と言えるでしょう。
「自然光に黒バック」で、著者自らが撮影した写真もエッセイに数多く添えられていて、写真家としても知られる片岡義男さんの世界を堪能できるつくりになっています。
片岡義男さんの必殺フレーズ、ますます健在!
あの独特の乾いた筆致は、この書き下ろしエッセイ集でも冴えわたっています。そのごく一部を紹介すると………
「遠く離れたところにぽつんとひとりでいるのが僕だ、と長いあいだ、僕は思ってきた。そのように自分を保ってきた、という自負は充分にあった」
「ピリオドを打ったなら、その文章はそこで完全に終わる。と同時に次の文章が始まるのだから、どこからどのような言葉で始まるのか、よくわかっていないことには、完全なピリオドにはなっていないのだ」
「ドトールの謎なら、なんと言ってもミラノサンドだ。なぜ、ミラノなのか。近くにテューリンがある。トリノと読めばいい。ジェノアもある。モナコ。サンマリノ。ローマ。どれもみな、サンドと合うではないか。トリノ・サンド。ローマ・サンド。なぜ、ミラノなのか」
「短編小説が生まれるまで」の過程をエッセイで、そして生まれた小説を特別掲載!
本書には短編珈琲小説「謎なら解いてみて」が収録されていますが、その小説が生まれるまでの過程を、エッセイ二篇でつぶさに明らかにしています。
作家がどのようにして物語を編んでいくのか、そして珈琲はその過程でどのように作用するのか、この企みに満ちた文章は必読です。
著者プロフィール
著者の片岡義男(かたおか・よしお)さんは、1939年生まれ、東京都出身。作家、写真家、翻訳家。1974年に『白い波の荒野』で作家としてデビュー。
『スローなブギにしてくれ』『ロンサム・カウボーイ』『日本語の外へ』など著書多数。近著に『珈琲が呼ぶ』『彼らを書く』『言葉の人生』『これでいくほかないのよ』など。
僕は珈琲 片岡 義男 (著) 珈琲を片手に、ゆっくりと読みたいエッセイ 大瀧詠一/スティーヴ・マックイーン/男はつらいよ/刑事コロンボ/植木等/チャールズ・ブロンソン/歯科診察券/宮沢賢治/リチャード・ブローティガン/髭面のエルヴィス/ドトールのミラノサンド/植草甚一/銭湯/天国と地獄/モーニング・サーヴィス/大統領の陰謀/リック・ダンコ/危険な年齢…… |
<既刊>
珈琲が呼ぶ 片岡義男 (著) なぜ今まで片岡義男の書き下ろし珈琲エッセイ本がなかったのか? 珈琲が呼ぶザ・ビートルズ四人のサイン。珈琲が呼ぶボブ・ディラン。 他にも「一杯のコーヒーが百円になるまで」「インスタントコーヒーという存在」「僕がアイスコーヒーを飲まない理由」「高級ホテルのコーヒー代とは入場料」「理想のマグのかたち」「五時間で四十杯のコーヒーを飲んだ私」「喫茶店のコーヒーについて語るとき、大事なのは椅子だ」「ブラック・コーヒー三杯で彼女は立ち直れたのか」などを主題に、乾いた筆致でコーヒーが主役の書き下ろしエッセイを44篇収録。本文と密接に絡み合う、豊富なカラー写真やコミックスのひとコマなどが、ふんだんに添えられています。 「サード・ウェーヴ」以来、大ブームになっている「コーヒー本」「喫茶店ムック」「カフェGUIDE」とは全く違う角度からコーヒーを捉えた、作者の異色作です。 |
◆ひそやかに奏でる想い、抱きしめた記憶――上野千鶴子さんエッセイ集『マイナーノートで』が刊行 | 本のページ
◆文筆家・僕のマリさん〈「食」と「記憶」〉を繋げるエッセイ『記憶を食む』が刊行 | 本のページ
◆友近さん初の旅行エッセイ『友近の思い立ったらひとり旅』が刊行 | 本のページ
◆昔のように食べられないことは、みっともないことなんかじゃない! 白央篤司さんエッセイ『はじめての胃もたれ』が刊行 | 本のページ