「日本書紀」の全現代語訳+解説本(全8巻)が刊行開始

寺田惠子さん著『日本書紀 全現代語訳+解説〈一〉神代─世界の始まり』
寺田惠子さんによる「日本書紀」の全現代語訳+解説本(全8巻)がグッドブックスより刊行が開始されました。
6月発売の第1巻「神代─世界の始まり」には、多くの別伝もすべて収録。『古事記』にはない神話のバリエーションが楽しめます。以後、年2冊のペースで刊行予定です。
人気の名講義をもとに、読みやすく構成 最古の「正史」がいきいきと現代によみがえる!
今から1300年前に成立した「日本書紀」は1000年以上にわたって読み継がれてきた「最古の正史」。あの紫式部も読んだと言われています。
これまで日本書紀に関する本は、全現代語訳でも解説のないもの、面白い場面を拾い出してまとめたものがほとんどでした。そこで、日本書紀30巻をすべて現代語に訳し、解説をつけて一般人も親しめるような本にしようとスタートしたのが本シリーズです。
この国が「日本」と名のりはじめたちょうどその頃に、私たちの国はこんな国ですと、アイデンティティを内外に示した歴史書が「日本書紀」。ここには、神々の時代から、建国、国内外の緊張や動乱、そして古代国家の安定期に至るまでの興味深い物語がたくさん記されています。
シリーズの第一巻「神代─世界の始まり」には、天地開闢から、イザナキとイザナミの国生み、天の岩窟隠れ、天孫降臨、カムヤマトイワレビコ(神武天皇)までの「神代の巻」を収録。
日本書紀には数多くの別伝が掲載されていますが、それもすべて現代語に訳し、一般の人向けにわかりやすく解説しています。
30巻もあって長いし、難しいと思われがちな日本書紀ですが、著者は女子大や社会人講座で人気の寺田惠子さん。社会人講座では、原文を一文一文、現代語に訳しながら解説をしていくスタイルで、30巻を、約8年をかけて3回おこなっています。
受講者からは、当時の人々の様子が目の前に浮かぶようだといった声がたくさん寄せられています。その講義録をベースに、できるだけ読みやすく構成したのが本シリーズです。
◎現代語訳と解説を色分けして一目で分かるように工夫。
◎多くの別伝は、文字を小さくして本文との違いを強調し、番号を振りました。
◎印象的なシーンには、ダイナミックな作風で知られる渡邊ちょんとさんの水墨画を挿入。イザナキとイザナミ、アマテラスとスサノヲの誓約(うけい)などを1ページや2ページ(見開きページ)に収めています。
◎難しい語句は脚注をつけ、漢字や神様名にはできるだけフリガナをつけ、中学生でも読めるようにしています。
重要な内容を含む「別伝」も、すべて現代語訳
『日本書紀』には「一書にいう」という形で多くの別伝が記されています。
一般向けの日本書紀の本のほとんどが別伝を割愛していますが、じつは別伝の中には重要な内容が含まれており、また別伝を割愛してしまうと辻褄が合わなくなる部分も出てきます。そのため本書では、別伝もすべて現代語訳して解説を加えています(下のページ見本参照)。『古事記』にない神話のバリエーションを楽しむことができます。
そして、本書の魅力は、なんといっても、著者・寺田惠子さんの解説。例えば、
◎男女の交わりのシーンを神話に入れたのはなぜか(国生みの段)
◎世界の神話におけるアマテラスの特殊性(天のイワヤの段)
◎大地母神としてのイザナミ、そして生と死の起源(神々の誕生の段)
◎ヤマタノオロチの正体(ヤマタノオロチの段)
など。ストーリーの面白さだけではなく、そこに込められた深い意味、また比較神話学の観点から、当時の人々が考えた「日本」を読み解きます。
本書の構成(第1巻の内容)
〈第1段〉 天地ひらく
〈第2段〉 イザナキとイザナミ
〈第3段〉 神世七代(かみよななよ)
〈第4段〉 国生み
〈第5段〉 神々の誕生
〈第6段〉 アマテラスとスサノヲの誓約(うけい)
〈第7段〉 天の石窟(いわや)
〈第8段〉 ヤマタノオロチ
〈第9段〉 天孫降臨
〈第10段〉 海幸・山幸
〈第11段〉 カムヤマトイワレビコ(神武天皇)の誕生
以下、続刊予定
〈2巻〉建国と神々の祭り (神武天皇~欠史八代、垂仁天皇)
〈3巻〉ひろがるヤマト (景行天皇~応神天皇)
〈4巻〉巨大古墳の時代 ( 仁徳天皇~雄略天皇)
〈5巻〉海外との往来ー緊張と需要 (清寧天皇~欽明天皇)
〈6巻〉日出ずる国 (敏達天皇~皇極天皇)
〈7巻〉大化の改新から壬申の乱 ( 孝徳天皇~天智天皇、天武天皇 上)
〈8巻〉律令国家へ (天武天皇 下~持統天皇)
著者プロフィール

寺田惠子さん
寺田惠子(てらだ・けいこ)さんは、東京都出身。豪州シドニー大学を卒業後、日本女子大学大学院博士課程単位修了。湘南短期大学教授を経て、現在、学習院女子大学、和洋女子大学講師。上代文学会理事。古事記、日本書紀、万葉集の講義は社会人講座等でも人気を博す。
編著書に『日本神話事典』『万葉ことば事典』(共著、大和書房)などがある。
![]() | 日本書紀 全現代語訳+解説 <1> 神代 ー 世界の始まり ー 寺田 惠子 (著) 紫式部も読んだ! 日本書紀がこんなにおもしろいとは知らなかった! わかりやすい現代語訳、興味深い解説 本文と解説を色分けし、多くの漢字にふりがなを施して、中学生から読める本づくり。 印象的なシーンをダイナミックかつ繊細に描く水墨画を要所に挿入。 歴史上、初めて「日本」という言葉を冠して、日本のアイデンティティーを内外に示した書「日本書紀」。 |